今年もお祝いをする ③
誕生日のお祝いをして、パパとママとゆっくり過ごした翌日――パパとママと一緒に出掛けるためにわたしは早起きした。
こんな風に早起きする必要はないのだけど、楽しみだし、目が覚めてしまうんだよね。
だってパパとママと出かけられるのって、毎回凄く楽しい。
よくお出かけに連れて行ってもらっているのに、毎回楽しくて仕方がないんだよ。パパとママが大好きだから、楽しいって思うんだと思う。
「楽しみだなぁ」
わたしはワクワクしながら、そんな独り言をつぶやく。
まだパパもママも起きていない時間帯なので、何をしようかなと思いながら部屋の中を見渡す。
すっかり家具とか、物が沢山溢れている部屋を見るとなんだか好きなもので溢れていてなんだか嬉しい気持ちになる。
あれはパパが買ってくれたもの、あれはパパとママと一緒にお出かけした時に集めたもの――そうやって一つ一つに思い出があって、これからもその思い出の品は増えていくのだ。
わたしは自室に持ち込んでいた本を読むことにする。
これはね、パーティー用のドレスの本なの! 今のわたしは貴族ではないからドレスを着ることはあまりないかもしれないけれど、こういうドレス素敵だなってよく見るの。
ニコラドさんから聞いたのだけど、学園だとドレスを着る機会あるんだって。学園内でもちょっとしたパーティー行われるみたいだし。
わたしが大人になったら、大人っぽいドレスも似合うようになるのかな?
明るい色合いのものも、大人っぽい色合いのものも全部着てみたいなぁ。
わたしの身長もどんどん大きくなっているけれど、どのくらい背が高くなるんだろう? パパの一部から作られたホムンクルスの身体だから背が高くなるのかな?
そんな風に考えただけでワクワクする。
そうやって本を読んでいたら朝食を準備する時間になったので、ママを起こしに向かう。
「ママ!」
「ん……」
ママの部屋に突撃すると、ママは眠たそうにしながら身体を起こした。
気の抜けた雰囲気のママはなんだか可愛い。
「ママ、朝ご飯作ろう!」
「ええ」
わたしの言葉にママが頷きながら、魔法を使って身なりを整えている。わたしがプレゼントした香水もつけてくれている。
ママがわたしのプレゼントした香水を気に入ってくれるのなんだか嬉しいな。
「今日はおでかけの日だね、ママ!」
「ええ」
ママとそんな会話をしながら朝食の準備をする。昨日沢山準備した料理の残りと、新しく朝から作ったものとかを並べている。
準備をした後はママにパパを起こしにいってもらって、朝食を食べる。
「パパ、美味しい?」
「ああ」
パパはわたしが問いかけると笑いかけてくれる。
食事を取った後は、着替えてからパパとママと手を繋いで外に出る。パパの転移の魔法で、移動する。
今日はね、絹の生産が盛んな街に連れて行ってもらっているの! 綺麗な衣装を着た人たちが服を宣伝するようなイベントも時々やっているんだって。
街から少し離れた森に転移してくれたので、街に向かうまでの間に遭遇した魔物は倒しておいた。
パパとママがわたしの魔法が上手になったと褒めてくれて凄く嬉しかった。
こういう街の傍に居る魔物は街を襲う可能性もあるんだって。わたしは遭遇したことはないけれど、小さい村とかだと魔物の群れに襲われて滅ぼされることもあるんだとか。あとは街もよっぽど魔物が沢山現れたら襲撃を受けたりするって話も聞いた。
「戦えない人も多いだろうから、人が多い所に魔物が来たら大変だよね」
「そうだな」
「だからこそ、冒険者たちがいるのよ。でも結局対応出来ないぐらいの魔物が来たら街自体がなくなるけれど」
わたしは魔物と戦ったことはあるけれど、そういう危機的な状況は遭遇したことはない。
だけどそういう話は結構ありふれているものみたい。
そもそも戦う力がない人たちだと、一体の魔物相手でも命の危機があるものだ。わたしもパパとママから色々と教わっていなければ魔物を一人で相手にも出来なかっただろうし。そう考えると戦えない人も多い場所に魔物が沢山来るって凄く恐ろしいことだと思った。
そんなことを話しながら、街へと足を踏み入れる。
本当は日帰りで帰る予定だったのだけど、丁度洋服のイベントが三日後に行われるってことなのでそれまで泊りがけで過ごすことになった。
宿を取ってから、パパとママと一緒に街を歩く。
洋服のお店が沢山あって、見ているだけで凄く楽しい気持ちになるの! そういう街だけあって洋服のデザインをするデザイナーさんも沢山いるみたい。
あとはこの街が所属する国は、王様じゃなくて女王様なんだって。
国を治めているってなんだかかっこいいよね。一番上が女性だからか、洋服とかの事業が栄えているっていうのもあるみたいなんだ。




