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ニコラドさんは色々詳しい ②

「あとベルレナは魔法を使う際に杖は使ってないよな?」

「うん。使ってない」



 ニコラドさんが色々教えてくれることになって、わたしとニコラドさんは今、向かい合って座っている。



「そうか。なら、学園に入学するなら準備していた方がいいだろうな」

「そうなの?」

「ああ。ベルレナはディオノレから魔法を教わっているから、杖を使わずに使っているが……、一般的には魔法師は杖を使うからな」



 ニコラドさんにそんな風に言われて不思議な気持ちになる。



 一般的に杖を使うと言われてもわたしの周りには杖を使うことなく魔法を使う人ばかりだ。

 でも思い起こしてみると、ベルラだった頃に杖のことを聞いたことはあると思う。

 わたしにとって魔法は、詠唱と自分の制御で操るものなのだけど、杖を持つことで何か効果が変わったりするんだろうか?




「杖は魔法を使う時の補助的な役割がある。高価なものだと特定の魔法を一つの単語だけで発動させるようなものまであるぞ。ベルレナが通いたいといった俺とディオノレの母校も、魔法師は杖を持っている。もっていかないと目立つ」

「そうなんだ。ということは、杖がなければ魔法を使えない人もいるの?」

「そうだな。そういうやつも多い。道具にばかり頼って、杖がなければ戦えないなんてやつもいるからな。特にあの国は最近戦争もないし、平和ボケしている部分はあると思う。学園の特待生たちだと杖なしでも魔法を使えるやつもいるけどな」

「へぇ。道具がなければ使えないって、荷物奪われたりしたら大変だね。わたしも学園に入学するなら杖を準備しておかなきゃってことだよね」

「まぁ、戦闘経験のない子供なら不測の事態に陥れば動けないものだろ。ベルレナは既存の杖を買うのもいいけれど、あれだったら自分で作ってみるのを課題にしたらどうだ?」




 そうやって真面目にお話するニコラドさんは先生みたい。普段のニコラドさんは、いつも楽しそうに笑っているお兄さんって感じだけど、こうして教えてくれようとするニコラドさんは普段と雰囲気が違うなぁと思う。

 こうやって前から知っている人の違う一面を見るのもなんだか楽しいなと思う。

 なんだろう、知っているつもりだけれども、知らない一面が沢山あるんだなって。

 わたしはパパのことも知っているつもりだけど、パパの知らない面もこれから沢山知っていけるのかな。

 思わず笑ってしまった私に、ニコラドさんが不思議そうな顔をする。







「どうした?」

「ニコラドさん、そうやって教えようとすると本当に先生みたい!」

「ははっ、そうか?」

「うん!! それで、作ってみるのを課題にしたらっていうのは?」

「杖はな、作るのが難しい。一種の魔法具みたいなもので、可能性が無限大なんだ。色んな効果を付加できるしな。学園に入学するまで二年はあるから、自分で全部材料をそろえて一から作ってみるのも良い経験だぞ?」





 ニコラドさんがそう言って楽しそうに笑った。




 ニコラドさんの言葉に、わたしはワクワクした気持ちになる。

 可能性が無限大ってことは、本当に自分の好きなようにいじれるってことなのかな? わたしはまだ自分で魔法具を作ったことがないけれど、学園に入学までに杖を作れるぐらいに成長できるかな?






「やってみたい! でも杖の作り方の本って、屋敷の書斎にもないかも」

「ディオノレは杖を使わないからな。それに杖を作れる職人はあまりいないからな」

「ニコラドさんは杖も自分で作ったことあるの?」

「ああ。自分で作ったこともあるし、作り方を教えたこともあるぞ」

「ニコラドさん、凄いね!! 折角学園生活に持っていくものだから、効果が良いものが一番だけど、可愛いものにしたいなぁ」

「ははっ、女の子だなぁ」

「可愛くて使い勝手の良いものだったら、持っていてワクワクしそうだよね」




 わたしがそう言って笑えば、ニコラドさんも笑ってくれた。




「まずはどういった杖を作りたいか考えてみるといい」

「うん!」

「どういった杖を作りたいか決まったら教えてくれ。そしたらどういう材料で作れるか、一緒に考えるからな」

「うん!! ありがとう、ニコラドさん」





 わたしはニコラドさんの言葉に元気よく頷いた。




 それにしても自分の杖かぁ。

 どんな杖を作ろうかな。どんな杖が世の中にはあるのかとか、そういうのを学んでみないと、どういう効果を着けたらいいかも分からないよね。

 見た目の可愛い、自分だけの杖を作るの楽しそう。



 杖で魔法を使うのを補助するって、どういう感じなのだろう? でもそれで使いやすかったとしても杖なしでも魔法をパパみたいにどんどん使えた方が嬉しいなぁ。



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