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家族の絵を描いてもらいに行こう ①

「ふんふんふ~ん」



 わたしは朝、目が覚めて鼻歌を歌いながら部屋の窓を開ける。



 屋敷の外は雪が沢山積もっている。春の草木のにおいのするあたたかな雰囲気も好き。夏の暑いけれども沢山の生き物たちの鳴き声がするのも好き。秋の紅葉が色づいておいしいものがあるのが好き。冬は真っ白な世界が幻想的で綺麗で好き。



 パパはどんな季節でも、いつでもとても綺麗で輝いているけれど――、冬の景色ってパパによく似合うの。




 パパもママもわたしが雪遊びしたいって言ったら、一緒に付き合ってくれるんだ。ユキアと一緒にね、雪の中を歩いて遊んだりもする。一度だけ、歩いていたら思ったよりも雪が深くて穴に落ちてしまって焦ったこともあった。でもパパがすぐに助けてくれたの。

 雪で覆われていると、地面があると思ってもなかったりしてびっくりしたんだ。

 アイスワンドを訪れた時もパパとママが一緒だったから問題はなかったけれど、ユキアと二人で山を歩き回ることも多くなってきたからこれから気を付けないと!



 朝早く今日は目を覚ましてしまったから、朝ご飯の準備をする前にユキアと一緒に雪遊びをすることにする。




《ベルレナ、見て見て》

「わぁ、ユキアは器用だね!」




 ユキアは自分の足と、魔力を使って器用に雪で魔物を形作ったりしていた。ユキアは精霊獣なだけあって、魔力の扱いがとても上手なの。わたしよりも上手だからちょっとだけ悔しい気持ちにはなるけれど、凄いなって気持ちの方が強い。



 パパもママもわたしの魔力操作の能力は、凄いって褒めてくれる。

 でもね、わたしの周りにはわたしよりもずっと魔力の扱いが上手な存在ばかりがいるんだ。だからこそ、わたしも同じように使えるようになればってそういうことばかり考えてしまう。



 なんだろう、焦っても仕方がないのは分かっているけれど。でもわたしは、パパとママの娘だからもっと上達したいなと思うの。




《ベルレナ、どうしたの?》

「わたしも、ユキアみたいにもっと魔力を上手く使えたらなって」

《ベルレナも上手だよ?》

「ありがとう! でももっと上手になりたいの」

《んー、じゃあ、勝負しようよ》

「勝負?」

《うん! 魔力操作して毎日、雪で何か作るの。そしたらベルレナも魔力の操作、上手になっていくと思うんだ》

「それは楽しそう!」



 ユキアの言葉にわたしは楽しそうと声をあげてしまう。



 わたしは雪が降ると、ただそれで遊んでいただけだった。自分の手で雪だるまを作ったりして、楽しいなぁって思っていた。

 でもユキアの提案してくれたように勝負って形で、魔力を扱いながら雪遊びをしたら確かに上達出来そう!



 やっぱり楽しみながら習得していけるのって凄く良いと思う。

 いつもね、パパがわたしに何か教えてくれようとする時も、パパから教えてもらえることが嬉しくて、それでいて新しいことを覚えるのが楽しいって、その気持ちでいっぱいだから楽しく覚えられるんだ。

 それと一緒だよね。



 ユキアは今年産まれたばかりの精霊獣だけど、本当に魔力の扱いが上手だ。

 だから勝負をすると告げたわたしに、ユキアも全力で置物を作ったりする。



 雪で精密な姿を再現できるんだよ。ユキアは器用だよね、本当に。



 わたしも手を使わずに、魔力の操作だけで雪を動かしてこの山で見られる羊の姿をした魔物を造ってみようとしたけれどうまく行かない。

 なんていうか、魔法は詠唱を口にして、そこからイメージして作り出すもので……、それはやりやすいの。ただ魔力を感じて動かすだけならわたしにだって簡単だけど、魔力を使って雪に影響を与えて形を作るのって難しい!



 わたしは意気込むとついつい雪を溶かしてしまうし。

 これもパパが言っていたようにわたしが火属性の魔法の適性が高い魔力を持つからだろう。魔物の姿を形作ろうとして全部溶けちゃったりして、本当に難しいって思った。

 もっと上手になったらパパとママ、そしてわたしやユキアの像とか自分で作れたらって思うけれど全然かも。




「んー。難しい」

《練習したら出来るようになるよ! 毎日勝負しよう!》

「うん!!」



 ユキアに言われた言葉にわたしは大きく頷いた。



 今はユキアのように魔力を操作して雪の像を上手に作るなんて出来ないけれど、いつかユキアに勝てるぐらいに上手になりたいな。負けっぱなしはちょっと悔しいもん!





 そうやってしばらく雪で遊んでいたら、ママから声をかけられる。





「ベルレナ、ご飯の準備が出来たわよ」

「あ、ごめん。ママ。ついつい遊んじゃってた。ご飯の準備、わたしもやりたかったのに」

「全然、大丈夫よ」




 ついついユキアと遊ぶのが楽しくて、ご飯の準備をママがしてくれたみたい。

 ママもパパと同じように食事に関心がなかったみたいだけど、一緒に暮らすようになってからは料理の本を見て色々作ろうとしてくれるの。ご飯はわたしも毎日一緒に作っているのだけど、時々遊んだりして忘れちゃうんだ。

 ママもパパと同じように魔法の研究に夢中になるときがあるから、その時はわたし一人で準備するんだ。





 一緒に街に行った時に買った可愛い服をママが着ていて、それを見るだけでわたしは嬉しくなる。

 朝食を作ってもらうのはママにしてもらったけれど、食器とかの準備はわたしもしたよ。それが終わったらパパを起こしに行くの。



 ママにも時々起こしに行ってもらっているのだけど、ママにはパパの寝起きの姿は刺激が強いみたい。やっぱり好きな人の寝起き姿を見るのドキドキしてしまうのかな? 毎日は無理っていうから、時々起こしにいってもらっているんだ。




 パパを起こしてから、三人で朝食を食べる。

 パパは寝起きで、ママもそこまで自分から喋る方じゃないから、わたしが沢山喋ってる。





 今日はもう少ししたら前にわたしとパパの絵を描いてくれた画家さんのところへ行くんだ。



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