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冬の日、家族三人での旅行 ⑪

 氷の城を後にしたわたしたちは何をしているかというと、パパとママの魔法で雪が途切れる場所がどこなのかなーって見に行っている。

 わたしは転移魔法で此処にいるから、どこから真っ白な世界で、どこから緑に変わるのか分からないから。




「このあたりになるともう雪が少ないんだね」



 アイスワンドの国は、年中が真っ白な世界で、氷の国と呼ばれている国だ。



 雪が少ない地域というのは、もうアイスワンドの外だった。パパとママの魔法でびゅーんって飛びながら色んな国を通過していったのだけど、結構楽しかった。





 周りから見られないようにって、パパとママが魔法を使ってくれていたから特に騒ぎになることもなく……、それも凄いスピードで飛ぶからなんだか乗り物に乗っているみたいで楽しかった。

 アイスワンドの隣国は流石にまだ雪で覆われているような寒い地域が多いみたいだった。それが南に行けば行くほど、徐々に雪が減って行った。

 冬なのだけれども、ほとんど雪が降っていない場所までは大分遠かった。




「そうだな。このあたりはそこまで雪が降らない地域に突入しているな」

「なんだかあの真っ白な世界から、この緑が見える場所までがずっとつながっているって凄いよね。不思議な気持ちになる!」





 わたしはいつも転移魔法で一瞬で移動しているのだけど、陸地を移動すると本当に大変だと思う。馬車とかも雪が沢山降る地域だとちゃんと準備しないと移動できないだろうし。

 別世界なように見えても、陸地がずっとつながっているって不思議で面白いことだと思う。

 特定の場所でしか生きていない人からしてみれば、そういうのって想像もできないんだろうって。





「全部つながっているんだなって思うと、本当に世界は広いよ。この広い世界を色々見て回ることが出来たら楽しいよね」




 わたしはパパとママと一緒に色んな場所を見に行っている。多分、同年代の子供の中では一番見ているんじゃないかなってぐらい沢山の場所を訪れている。

 でももっと、沢山の場所を見に行きたいなって。知らないことをもっと知りたいなってそういう気持ちになる。





「幾らでも連れていく」

「ええ。私も連れていくわ。ベルレナならそのうち自分で転移も出来るようになりそうだけどね」

「転移魔法を使えるようになるとしたらずっと先だよ。でもいつか自分でパパみたいに自由自在に転移が使えるようになれたら――うん、色んな場所に行ってその記録を取ったりするのは楽しいと思うもん」




 わたしが何処に行ったかっていうメモは取っているのだけど、この世界は広くて――、わたしが行ったことがない場所の方がずっとずっと多いのだ。

 こうして色んな場所に行きたいねって、パパとママと未来を語れるのがなんだか嬉しい。





「ベルレナはやりたいことが沢山あるのね」

「そうだよ。ママ。わたし、やりたいこと沢山なの! 一個ずつね、叶えていこうってしているんだけど、わたし、どこかに行ったりするたびにやりたいことって増えてくの」

「良いことだと思うわ」

「ママはどういったことをやりたいとかあるの?」




 わたしはママにそう問いかける。



 ママはわたしの言葉に考えるような仕草をする。ママも長生きしているから、あんまりやりたいこととか考えていないのかもしれない。




「家族で仲良く過ごせればそれが一番だとは思うわ。あとは……もっといろんな恰好をしたりとかはしたいかもしれないわね」

「わたしも家族で仲良く過ごしたい! ママが色んな恰好したいなら、わたしも沢山ママに似合う服選ぶね! ママは美人だからどんな服でも似合うもん」




 ママってちょっと前まで同じような服しか着てなかったって話なのに、こうやって色んな恰好したいって思っているのって凄い変化だよね。

 やっぱりパパに可愛いって言ってもらいたいとかそういう気持ちがあるのかな。

 ママのそういうところって可愛いなって思うの。




 パパとママに似合う服を着てもらうのってとっても楽しいから幾らでも選びたいな。でもパパはわたしが着てって言ったら着てくれるのだけど、自分から色んな服を着ようとはしないんだよね。

 パパとママって似ているけれど、そういうところはちょっと違うよね。

 パパとママとそういう会話を交わした後、わたしたちは屋敷に帰ることにした。





「ねぇ、パパ。ママ。もっといろんなところ、旅行しようね!」

「ああ」

「ええ」




 わたしの言葉にパパとママは頷いてくれる。



 アイスワンドでの出来事は怖がられたことはちょっと悲しかったけれど、それ以外は凄く楽しかった。

 また家族三人で旅行に来たいなとわたしは思うのだった。



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