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冬の日、家族三人での旅行 ⑦

 ダニエメさんの家の外に出る。




 ダニエメさんが魔法で、家の周りは穏やかな天気である。

 吹雪はダニエメさんが切り抜いた外の光景にしか映っていないけれど、家の周りには雪は積もっている。どういう仕組みなのかはいまいちわからない。






 わたしはビデックくんたちと一緒に雪遊びをしている。

 ビデックくんとキデックくんは、かっこいい魔物が好きみたいで雪で竜を作ろうとしていた。ただなんかうまく作れなかったみたいだけど。



 わたしは兎を雪で作ってみたりした。


 雪合戦を一緒にしようって提案してみたのだけど、「女に雪玉は投げられない!」とか言われて出来なかった。雪玉を投げられるぐらい別にいいんだけどなぁ。本当に危険だったら魔法を使ってどうにでもするもん。それに本当に危険だったらパパがくれた守護石が反応しそうだしね。

 それにしてもわたしの住んでいる山よりもアイスワンドは雪が沢山積もっていて訪れるのは二度目だけど、凄い景色だなって気持ちになる。







「俺、アイスワンド以外の国には行ったことがないんだ。他の国ってこんなに雪は降らないんだろう?」

「うん。ここまで降らないよ。それに生活だって全然違うから」





 ダニエメさんは魔導師だから、おそらくパパとママのように転移の魔法も使えると思う。ダニエメさんはこの国の守護者って立場で、アイスワンドの王族たちとも深くかかわりあっている。だけれどもいちいち歴代の王族たちを転移魔法で連れまわすほどは親しくはしていないみたい。わたしは転移魔法のことはビデックくんとキデックくんには言わなかった。それでダニエメさんに「どこかに連れて行って」って二人がお願いを始めたらダニエメさんは困ってしまうかもしれないもんね。




 それにダニエメさんが二人だけを転移で他の国に連れ出すなら、他の王族とかも転移で連れ出さなきゃならなくなってしまうかもしれないもの。




 アイスワンドのように、吹雪が吹き荒れているのが通常なことはないとかもビデックくんたちからしてみれば不思議みたい。まぁ、一か所でしか生活していないとそこでの生活が当たり前って思ってしまうのも当然かもしれない。




 わたしもベルラだったころは、限られた世界しかしらなくて自分の見ているものが全てだったなぁって思う。わたしの世界はパパに色んなところに連れて行ってもらえて広がっている。

 でもビデックくんは大人になったらこのアイスワンドの国を継ぐ予定の人みたいだから、あんまり外の話をしない方がいいのかもしれない。王様になる予定だったのに、周りの影響で国を飛び出すとかもあるかもしれないし。

 そんなこんな遊んだり話したりというのを、外でしていたのだけど……、急にビデックくんがこんなことを言い始めた。






「なぁ、ちょっと向こういってみようぜ!」

「え? ダニエメさんの魔法の外にはいかない方がいいと思うけど……」

 そもそもダニエメさんの魔法がかけられているから、勝手にその外にはいけないんじゃないかな? そう思っていたら得意げな顔をして言われた。

「外出れる術知ってるんだ!」

「え、でも、危ないよ?」






 魔法の外は、吹雪が舞っている。そして魔物だっている。そんな場所に子供だけで出かけるなんてきっと危険だと思う。





「大丈夫! 俺には魔法をかけられてるしな。何かあれば呼べばいいだけだろ? ちょっとだしな」

「ちょっとなら子供だけで外行ったことあるから僕も大丈夫だと思う! ちょっと向こうに雪花が咲いているんだ」





 ビデックくんと、キデックくんはそんなことを言う。




 わたしはそれにすぐに頷けなかった。だって、子供だけで行くなんて危険だもん。

 悩んでいるわたしのすぐ目の前で、ビデックさんが何かをしたかと思えば一部の景色が切り抜かれた。

 王族だからそういう術を学んでいたんだろうと思う。あと魔法がかけられているのも真実なのだとは思う。王族だとそういうものだよね。





「え、ダメだよ!」





 声をかけるわたしの声なんて二人は聞いていなくて、外に飛び出してしまった。




 え、どうしよう?

 パパ、ごめん!! 何かあったらすぐ呼ぶから。




 わたしはそう思いながら、見失ったら大変だと慌てて二人を追いかけるのだった。



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