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冬の日、家族三人での旅行 ⑤

「わぁ、可愛い家!」

「ありがとう」




 わたしがダニエメさんの家の中に入って、可愛いと声をあげればダニエメさんがお礼を言う。

 ダニエメさんの家の中は、ちょっとこじんまりとしているけれど可愛い家だった。可愛い置物が置かれていたり、ドレスが飾られていたり――ダニエメさんはおしゃれな感じがする。

 それにしても小さな木で出来たお人形さんが、勝手に動いていたりするのも魔法なのかな? 面白いね!




「このお人形さん、カクカク動いているのって魔法なの?」

「そうよ。たまに子供が遊びに来るから、動かしているの」

「子供ってダニエメさんの?」

「あははっ、違うわよ。この国の王族が遊びに来るのよ」

「王族が? そっか。ダニエメさんはこの国の守護者ってやつだもんね。いっぱい関わってるの?」




 どうやらこの家には、王族も来るみたい。



 マドーキさんがあんまりダニエメさんは人前に出ないし、表向きは公表されていないって言っていたけれど……、王族とか、えらい人だと知っているってことなのかな?



 それにしても守護者って、なんだか響きがかっこいいよね。この国を守っているってことだっては分かるけれど、実際にどういうことをしているんだろう? あんまり想像できないなぁ。




「そうね。歴代の王族は大体知っているわよ」

「わぁ、すごい!!」






 わたしがキラキラした目でダニエメさんを見れば、後ろから「……俺もそいつより色々知っている」というパパの声が聞こえてきた。その言葉を聞いてダニエメさんがおかしそうに笑う。






「あははっ、何よそれ。私あんたのこと、そこのジャクロナから散々聞いていたけれどそんな奴じゃないって思っていたんだけど。娘が私にとられるって思ってるわけ? あー、おかしい」

「パパ!! わたしのパパはパパだけだよ? わたしはパパが一番凄いって知っているよ?」





 ダニエメさんが笑っている声を聞きながらわたしはパパに近づいて、パパの腕を取ってそういう。そうしたらパパが笑って、頭を撫でてくれる。なんだか嬉しくなった。



「あははははっ」

「……お前はいつまで笑ってる?」

「おかしいったらありゃしないわよ。本当にすっかり仲良し親子でお父さんじゃない」




 パパがぎろりとダニエメさんを睨んでいる。それにしてもダニエメさんはパパに睨まれても全然気にした様子がないなぁ。同じ魔導師だからパパのことを怖がったりしていないみたい。

 でも仲良くしてほしいなと思ってわたしは口を開く。



「パパ、喧嘩したらダメだよ。ダニエメさんはママのお友達だし、わたしはダニエメさんと仲良くしたいもん。だから、パパも仲よくしよう?」

「……ああ」

「あははっ」



 ……ダニエメさんがわたしとパパのやり取りに本当に楽しそうに笑っている。楽しそうなのは良いことだけれど、パパがまた機嫌悪くなるかな? そう思ってパパを見上げる。パパはダニエメさんに不服そうな目は向けていたけれど、それ以上は何も言わなかったからよかった。



 ちなみにママはその様子を楽しそうに見ていた。



 なんだかママも楽しそうで、わたしは嬉しい。ママってやっぱりなんだかんだダニエメさんと仲良しみたい。




「ねぇねぇ、ダニエメさん。ママの恰好、凄く可愛いでしょ? わたしが選んだんだよ」



 そう言ったらダニエメさんはまたおかしそうに笑う。ダニエメさんは本当によく笑う人だな。なんだか楽しい人みたいで、一緒に話していて面白くて仕方ない。




「ベルレナはおしゃれが好きなのね。よく見ればディオノレもおしゃれにしているし」

「うん。だってパパもママもとっても綺麗でしょ? 綺麗な人はこうやっておしゃれした方が、見ていて楽しいでしょ? ダニエメさんもとっても綺麗だよね。わたしも大きくなったらダニエメさんみたいな綺麗なドレス似合うようになるかな?」

「似合うようになると思うわ」



 そう言ってダニエメさんが笑ってくれる。

 ダニエメさんは、王族の子供と会ったりもするって言っているし、子供が好きなのかな?




 そんなことを考えながら楽しく話していたら。ダニエメさんがふと気づいたように外の方を見て言う。




「誰か来たわね。マドーキかしら。ちょっといってくるわ」




 どうやらマドーキさんに声をかけていたみたい。マドーキさんに会うのも久しぶりだな。楽しみ!



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