ロナさんとぶらぶらする ④
ロナさんと食堂で恋の話をしながら食事をして、また街に出る。
「ロナさん、秘密基地に家具を置いたらパパを招待するからその時に一緒におしゃれしようよ。可愛いロナさんはおめかしして、パパに好きだって言おう?」
「べ、ベルレナ……。急にどうしたのよ?」
「最近、ロナさんも少しずつパパと話せるようになっているでしょ。わたしね、パパが誰かと仲良くしている姿をみたいもん。それにパパって案外、受け入れてくれるような人だから」
「……そうね。ディオノレは冷たいように見えるというか、冷たい人だけど、それだけじゃないのよね」
「そうだよ。大体、興味がない人だったらパパはロナさんの話も聞かないと思うもん」
わたしがそういえば、ロナさんも「……そうね」と頷いた。
パパは客観的に見て、冷たい人だ。それでも冷たいだけじゃない。冷酷な人だったらわたしにもっと冷たくすると思う。
わたしを拾ったのが、パパじゃなかったら……本当に冷酷な人だったらわたしはどうなっていただろうか? 少なくとも今みたいに楽しくて仕方がないって日々はなかったと思う。
「パパは多分、人の気持ちとか考えてなさそうだからロナさんに告白されたらびっくりすると思う。でも、パパはロナさんの気持ちを適当にあしらったりはきっとしないと思う。わたしがロナさんのことを大好きなの知っているし、パパだってロナさんを嫌ってはないし」
パパはわたしを悲しませるようなことはしない。だからわたしが懐いているロナさんのことの気持ちを適当にあしらうなんてことはしない。パパは恋愛のれの字も分からない人かもしれないけれど、それでも人を大切には出来る人だもん。
それにわたしもパパに恋人が出来たら楽しそうって思うし、ロナさんのことをママって呼べたらもっと楽しいもん。
だからわたしはロナさんの気持ちを応援しているの。
「……ディオノレは本当に私を嫌ってたら私のことをとっくに殺していると思うわ。あいつはそういうやつだもの」
「パパは、そういうところ物騒だよね……」
「でもそうね……、ベルレナが応援してくれるなら、私も頑張ってみるわ」
「うん。わたし、パパがいると幸せだけど、ロナさんも一緒の方が楽しいもん」
パパといるのは幸せで楽しい。でもロナさんやニコラドさんたちと一緒に居るのも楽しい。楽しいと楽しいが重なり合ったらもっと楽しくなるに決まっているもん。
そんな風に話しながら本屋さんと洋服屋さんに行ったの。
本屋さんでは、『告白の仕方』という直球のタイトル本とか、『異性を落とす術』みたいな本もあった。でもなんか大人向けの本はロナさんが見せてくれなかった。こういう本って需要があるのかな? わたしも将来、好きな人が出来たらこういう本を読むようになるのかなぁ。
ロナさんはその本をちらっと見て、なんだか悩まし気な表情をしていた。どんなことが書かれているんだろうね? わたしももうちょっと大きくなったら読ませてもらおう。
それにしてもパパのことが好きだからって、一生懸命なロナさんは可愛いと思うの。
本屋さんの後は、女性たちがよく訪れるっていうおしゃれなお店に行ったの。ロナさんの告白を成功させるためにって言ったら、店員さんも乗り気になってくれて一生懸命洋服を選んでくれた。
それにしても自分の服を選ぶのも楽しいけれど、他の人の服を選ぶのも楽しいよね。
ロナさんって美人だから可愛い系の服も、大人っぽい系の服も似合うの。それに男の人の恰好みたいなのしても似合うかもって店員さんが言ってた。でも今回はパパに告白する時の服だから女の子っぽいものにしないとね。
旅人たちのお店でも服を買ったから、「こんなに要らない……」ってロナさんに言われたけれど、さっきのお店で買ったのは普段着って感じじゃないからね。ロナさんってわたしが一緒におしゃれしようって言った時じゃないと、いつも同じような服ばかり着ているの。
元がいいのだからロナさんはもっといろんな服を着たらいいのにって思うんだ。
わたしも自分の服をまた買ったの。着てからパパに見せるんだ。
それから少しして屋敷に戻ってパパにまた出かけるねって言って秘密基地に向かった。パパが少しだけ寂しそうな顔をしていたから、早めに秘密基地にパパを招待出来るようにしないとね!
そういうわけでその後、ロナさんと一緒に秘密基地にこもって買ったものを並べたりしたの。




