秋、山に行く ④
秘密基地は木の上に作ることにした。いくつかの木をまたいで、板を置いて作ってみる。
ちなみにこの木は人には特に害はないけれど、魔物にとっては忌避されるにおいなどを発しているらしくあまり魔物がいないのだ。まぁ、そういう環境を好む魔物もいるわけだけど。
やっぱり世界には不思議が溢れていて、わたしはそういう不思議なことを解明していきたいなとそんな気持ちになっている。だって知らないことを知るのは楽しいもん。
こういう色んな魔物が忌避する環境を好む魔物って、どうしてそういう場所を好んでいるのだろうか? とかそういうことを知れたらなって思うの。
本にも書いてないことや、パパが知らないことも沢山あるんだよね。
パパって色んなことを知っているけれど、自分が知らないこともあることを分かっているんだよね。
木の板をつなげて、並べて――組み立てていく。こういう風に秘密基地を組み立てるのなんだか楽しいよね。ユキアも手伝ってくれているけれど、大体私が主導でやっている。
それにしてもこうやって組み立てていくのなんだか楽しいね。魔法で強化しながら組み立てれば崩れ落ちる心配もなくなるしね。
「こうやって秘密基地作るの楽しいね」
《うん。それに景色も凄くいいし》
とりあえず床の部分は組み立てた。そこから下を見下ろすだけでも楽しい。
この山の景色はとてもよくて、見ているだけでわくわくした気持ちでいっぱいになる。
床の部分を固定した後は、壁の部分を作っていく。ちょっとした秘密の部屋をせっせと組み立てていく。
秘密基地の組み立てには少し時間がかかった。魔法を使ってだから普通に建てるよりは早かったと思うけどね。
外側の壁や床の色は木に同化するように元の色だけど、内側は白色に塗ってみた。わたしとパパの髪の色。わたし、ベルレナになってから白と黄色は特に好きだと思っている。だってパパとわたしの色だもん。
なんか家具とかも持ち込みたいな。どんなもの持ち込もうか?
出来ればパパにばれないように持ち込んでおきたいから、ロナさんに頼んで一緒にお出かけしようかな? パパはわたしがロナさんと二人でお出かけしたいって言ったら反対するかな? でもパパってロナさんのことは嫌いなわけではなさそうだから大丈夫だよね、多分。ついでにロナさんにパパに告白しないのー? って聞かないと。
そういうことを考えるだけでも凄く楽しいよね。
どんな家具を置こうかな? 折角だから自分の部屋とはちょっと違う感じにしてもいいかもしれない。
「ここでお昼寝するのも気持ちよさそうだよね」
《うん。僕もベッド欲しい》
「うん。ユキアのベッドも買おうね。ふふ、どんなふうにしようか楽しみだな。完成したらちゃんとパパにもお披露目したいし。パパが凄いって言ってくれるような内装に出来たらいいなぁ」
《ディオノレさんはベルレナが何をしても褒めそうな気がする》
「パパはわたしに甘いからね! でもパパって嘘は言わないからね。わたしの秘密基地があんまりなものだったらパパは何も言わなさそう。だからパパが凄いなって言ってくれそうなのにしないと!」
パパはわたしがパパに秘密にしていることがあることにショックを受けていた。だから早めに完成させて、パパを招待しないとね!
パパを歓迎するように飾り付けとかもしたらもっとパーティーみたいな気分で楽しいかもしれない。
ただこの秘密基地ってわたしが自力で組み立てたものだから、料理とかできる環境はないんだよね。持ち運びできるそういう道具を買ったりしてもいいかもしれない。
時々のんびり過ごすための秘密基地って、自分だけの場所って感じが凄くするからどんなふうにしようかなっていうわくわくとした想像が止まらない。
ユキアとも沢山、何が欲しいかなって話をした。
とりあえず内装を綺麗にするためにロナさんをお買い物に誘おう!
そう思ったわたしは家に帰るとパパに「ロナさんと二人で買い物に行きたい」とお願いを口にするのだった。
パパは自分が誘われなかったことにちょっと何とも言えない表情をしていたけれど、抱き着いて頼んだら頷いてくれた。
ロナさんもわたしが一緒に買い物行きたいって言ったらすぐに返事をくれた。
ロナさんとのお出かけはどんな服装で行こうかな? 一緒に何かそろえたりしても楽しいよね。秘密基地の家具を買うのもそうだけど、パパとロナさんの仲がもっと縮まるように一緒にパパへのお土産を買うのもいいかも。
 




