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海へ遊びに行こう ④

「わぁ、人が沢山!!」



 わたしとパパは、大きな港街を訪れていた。



 それにしても此処は人が沢山いる。沢山の人たちを見て思わず興奮するわたし。

 大きな船もある。漁師さんがこの街には多いみたい。

 ちなみにユキアは『使い魔のネックレス』に入ってもらっている。わたしの年で使い魔を連れていると目立ったりするんだって。それにユキアは貴重な精霊獣だからユキアを無理やり奪おうとする人だっているかもしれないんだとか。



 他人の使い魔を奪うような人がいるかもって正直怖いなぁって思った。

 パパが一緒に居るならそうやって無理やり奪われることもないかもしれないけれど……、パパが居なくてもそういう酷い人達にわたしの大切なものを奪われないようにはしないと!



 だって奪われるのってすごく悲しいことだもん。

 ……そのことを知る前のわたしは、時々「ほしい」って我儘言ってもらったこともあったけれど。持っている人がくれるって言ってくれるならともかく、そうじゃないのに奪うのは駄目だよね。




 それにしてもこの街って海の神様に捧げる祭りみたいなのもあるみたい。

 海というのは広大で、だからこそ人の命も簡単に奪われてしまうものなんだって。だから海に漁に出る時に、無事に帰ってこれますように。海がすぐ近くにあるこの街に津波などがきませんように。みたいなそういう祈りも込めてのお祭りみたい。




 パパが言うには前に会った魚人の人たちのことを神様のように崇めている人達もいるんだって。

 彼らは人前に顔を出したりはあまりしないけれど、たまたま転覆した船を助けたりぐらいはあるみたい。ただそういう魚人に対して恩を仇で返すような人間もいたんだとか。

 助けてくれた人に酷いことをするなんて正直信じられない。

 だってそれって……例えばだけどわたしが助けてくれたパパに酷いことをするみたいなことだよね? どうしてそんなことが出来る人がいるんだろうか。

 そんなことが世の中で起きていると思うと少し悲しくなった。




 でも今はそういう人たちのことを考えていても仕方ないので、思いっきりこの街を楽しむことにした。




 そう言う人たちに出会った時に、わたしの大事なパパを傷つけられないようにちゃんとしなきゃね! とは思うけれど。ちなみにパパにそのことを言ったら、「俺は自分でどうにかするから、ベルレナはそういうのに遭遇した時は自分の身を守れ」って言われたけれど。




 それにしてもやっぱり何処にいってもわたしのパパはとっても注目を浴びているの。

 女の人なんて、パパの綺麗な顔を見ていつもぽーってしている。




「あ、あの、一緒にご飯でも」

「断る」

「娘さんが一緒でもいいので……。それかその子が寝た後に」




 パパにそうやって誘いをかける人結構いるんだよね。本当にパパって人気者だと思う。パパがばっさり断って冷たい目を向けるとすぐに去っていくけれど。

 泊まることにした宿の娘であるお姉さんもパパにキラキラした目を向けているし。





「ねぇ、ベルレナちゃん。ディオノレさんって本当にかっこいいね。あんなに綺麗な人間が世の中にいるなんて……っ」

「ふふ、わたしのパパ、とってもかっこいいでしょ?」

「ええ。とってもかっこいいわ。それにお父さんを自慢しているベルレナちゃんもまるで天使みたいだわ」

「天使はパパだよ!!」




 でもお姉さんはパパを近づいてはいけないような崇拝物のように見ているみたい。パパを褒められて嬉しくてにこにこしていたら天使だって言われたけれど、パパが天使なんだよ。

 わたしを助けてくれて、わたしを守ってくれる天使様。




「本当にベルレナちゃんはディオノレさんが大好きなのね。ディオノレさんって街で誰かに話しかけられても冷たい目をしているのに、ベルレナちゃんを見る目は父性に満ち溢れているわよね。人じゃない美しさだけど、ベルレナちゃんのことを大切に思っている姿のギャップが……ってすごく噂になっているわよ」





 ……わたしとパパって、今日街にたどり着いたばかりなのだけど。やっぱりパパは目立つし、沢山話しかけられるから街で噂になっているみたい。パパって今は街に訪れることもほぼないけれど、昔のパパは多分人里でちゃんと暮らしてたんだよね……。そう考えるとその時のパパってすごく話題になっていたんだろうなって思う。




 パパの通っていた学園に通うようになったら卒業生についての記録を見てみたいな。パパが学生だった頃に生きていた人たちは魔導師か、長命種以外いないだろうけれど、パパだったら何かしらの記録を残していそうな気がする。



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