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パパとロナさんとお買い物 ⑤

 わたしはどうしようかと悩む。



 ついてきている人たちは、わたしを明確に狙ってきているのか。それとも人通りが多い場所に向かえば、わたしから視線を逸らすものなのか。わたしが魔導師の娘であることは露見はしてないと思う。



 普通の人がどんなふうに魔導師のことを認識しているのかは分からない。でも一般的な感覚がある人だったら魔導師の娘には手を出そうとはしないと思う。ならば、どうしてこうやってわたしについてきているのか? 魔導師の娘であるというのとは別の理由だったりするのだろうか。



 わたしは一先ず、人が多いエリアに向かうことにした。

 ただの一時的なもの取りとかでわたしを狙っているのだったら、人が多い場所に向かえばあきらめると思うの。だってわざわざわたしを狙う理由ってないでしょ? わたしはただこの街に観光にきているだけの子供だし。

 そう思いながら人通りの多い場所で買い物を済ませる。んー、まだついてきている! パパとロナさんの元へととりあえず向かおうかなぁ。だって物騒なことに関わってしまったらパパに心配かけちゃうもんね。



 パパって、わたしのことを可愛がってくれているからわたしになにかあったら大変だもの!

 そういうわけでわたしはパパとロナさんの元へ向かおうとしたのだけど……、なんだろう、なんか誘導されようとしている? 周りにいる一部の人たちもわたしについてきている人たちと共犯者なのかな……。





 魔法を使おうか悩むけれど、街中だし。

 それにわたしみたいな小さい子が魔法を使っていると目立っちゃうしね。手出しされたら使うけれど。




 それにしてもどうしようかな。わたしが誘導されないように動いていることは気づいていそう。

 このまま誘導されるのもどうかと思うし。




 そういうわけでそのままパパとロナさんの元へ向かっていたら、前に立ちはだかられた。

 しかも小声で、「――シラバ家の娘だな」などと言われたけど。誰?? 何だか誰かと勘違いされて、わたしはつけられていたってことなのかな? それにしてもシラバ家って何だか有名な家なのかな。

 わたしは遊びにこの街にきているだけだし、パパの転移魔法でこちらにきているから正直このあたりで有名な人も良く分からない。その辺、もう少し分かっていたほうがいいのかななんて思った。




「わたしは違うよ?」

「嘘を吐くんじゃない。その目立つ白髪を間違えるわけがないだろう」




 このパパに似た綺麗な真っ白な髪が、その有名な人と同じみたい。あとはわたしが結構お金をどんどん使っていたからというのもあるみたい。

 そのシラバ家というのは、凄く有名でお金持ちの家系みたいだ。わたしはパパに良い暮らしをさせてもらっているから、それで勘違いしたみたい。




「違うよ?」



 違うと口にしたけれど、彼らは全く信じてくれない。人がそれなりにいるけれども、わたしを囲うようにして攫って行こうとしているみたい。



んー、どうしようかなと思っていたら、



「お前たち! その子から離れろ! 私こそがシラバ家の娘だ。その子は関係ない!」



 何だか本物の子が現れた?




 わたしがそちらに視線を向ければ、確かにわたしと同じ真っ白な髪の少女がいた。わたしよりはちょっと年上みたいだね。それに目の色もわたしとは違う。それにそのシラバ家の娘さんというのは、目が吊り上がっている青い瞳だった。

 瞳の色が違うのにわたしがその娘だと思ったのは、瞳の色を変える魔法具か何か使えるからとか?

 それにしても凄く目立っている。早くパパとロナさんの元へ戻りたいのだけど……。




 相変わらずわたしは囲まれている状況だし。そう思っていたら、わたしのことをシラバ家の娘だと勘違いしていた男たちの一人がわたしの腕を掴もうとして、はじかれた。これってパパのくれた守護石の効果かな。




 でも現状も囲まれている状況だし、どうしようかな。

 わたしに触れられなかったとしても、わたしを囲んでいることには変わりがないものね。

 わたしが囲まれているからか、シラバ家の娘さんも動けないみたい。意図せず人質みたいな立場にされている?



 わたしがどう動いた方が良いのだろうか、なんて悩んでいたら――、




「ベルレナ」




 何だか緊迫した周りの雰囲気とは対照的なパパの優しい声が聞こえてきた。




 視線を向ければパパが居て、パパが周りに気づかれないように魔法を使ったのか、一瞬周りの男たちの動作がおかしくなった。

 その隙にわたしはパパの元へと駆けだし、パパの胸へと飛び込んだ。結構勢いよくパパに飛びついたけれど、パパは軽く受け止めてくれた。




「パパ!!」

「何で囲まれてる?」

「なんかよく分からない騒動に巻き込まれただけだよ!」

「そうか」



 わたしの言葉にパパは小さく笑って、そしてわたしを囲んでいた男たちに冷たい視線を向けていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] ストーカーズェ…知らなかったとはいえ、ベルレナパパの逆鱗に触れてしまった…合掌。
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