パパとロナさんとお買い物 ②
「パパもロナさんも素敵!」
パパのお出かけの服はわたしが選んだのだけど、ロナさんも普段とは違う服装をしていた。いつも黒いドレスみたいなのしかロナさんは着ていないのだけれども、なんだろう、今回は雰囲気からして違う。
上は白で、下は薄緑色のスカート。そしていつも結んでいない黒髪は、一つに結ばれている。何だろう、大人のお姉さんって感じ。雰囲気が違ってとてもいいと思うの!
でもこれってロナさん自身が選んだようには見えないんだよね。誰かに洋服を選んでもらったのかな?
「へ、変じゃないかしら?」
「大丈夫だよ。ロナさん、凄く似合ってるもん。誰かに選んでもらったの?」
「え、ええ。知り合いの魔導師に。……ディオノレと出かけるって言ったら、張り切って選んでくれて」
ロナさんがぼそぼそとそんなことを言う。
その魔導師はロナさんのお友達なのかな? ロナさんみたいに誰かに恋して可愛くなっている人を見たら皆応援したくなるものだよね。わたしも同じ髪型にしようかなって思って、お揃いにした。
何だか一つにまとめると、少し大人っぽい雰囲気? ロナさんみたいな大人の女性にもっと成長したらわたしもなれたりするのかな。
そう言う風に考えると何だかワクワクした気持ちになる。
「ねぇねぇ、パパ、似合う?」
「ああ。似合うぞ」
「ロナさんは? ロナさんも綺麗だよね?」
「似合っているとは思うが」
わたしの問いかけにパパが何気なくそう言ったら、ロナさんは照れた様子でそっぽを向く。何だか喜んでいるみたいで、わたしも嬉しくなった。
いつも通り街に出かけるのは転移での移動だ。わたしはパパと手を繋ぐ。ちょっと遊び心で、「パパとロナさんも手を繋ぐ?」って聞いたら二人ともそれぞれ違う反応を示す。パパはどうして繋がなければならないのかって態度で、ロナさんは凄い戸惑った様子だった。
結局わたしが間に挟まって、二人と手を繋ぐことになった。何だか左右に誰かがいて、手を繋げるって何だか楽しい!!
一瞬にして景色は切り替わる。
やっぱり転移ってすごい魔法だと思う。移動した場所は、人が全然いない洞窟の中だった。あと洞窟の奥に魔物がいてちょっとびっくりした。こういう場所だと魔物が住処にしていたりするみたい。奥の方にいた魔物は頭が良いのか、攻撃性が少ないのか、わたしたちに襲い掛かってくることはなかった。
「パパ、ロナさん、このまま繋いだまま街まで行きたい!」
わたしは左右にパパとロナさんがいるのが嬉しくて、手を繋いだままなのが楽しくて、そう告げる。
そしたらパパは即座に良いと答え、ロナさんは戸惑いながらも頷いた。
なんだかこれってわたしは間に挟まっているけれど、パパとロナさんも手を繋いでいるみたいな感じじゃない? ロナさんはパパのことが大好きみたいだから本当に手を繋いだらどんな風な反応をするだろうか?
パパはロナさんのこと、全然意識もしてなさそうだけど……やっぱりパパが恋とかしたら絶対楽しいと思うんだよね。
パパとロナさんと手を繋いで街まで歩くのが楽しくてわたしは鼻歌を歌ってしまう。
「ベルレナは可愛いわね」
「ありがとう! ロナさん。ロナさんも可愛いよ!」
「わ、私は可愛くはないわよ」
鼻歌を歌っていたら可愛いと言われたので、ロナさんのことも可愛いと告げる。ロナさんって綺麗な見た目をしているから、可愛いより綺麗って言われてきたのかなぁ? でもパパのことが好きで、恋をしている様子はとても可愛いと思う。
「ロナさんは、歌うの好き?」
「えっと、歌はあまり知らないのだけど」
「そっかぁ。ね、一緒に歌おうよ。ロナさんも楽しいって一緒に歌ってくれたらわたしもっと嬉しいもん」
楽しくて仕方がないわたしはそう言ってロナさんを誘う。ロナさんは戸惑いながらもわたしと一緒に鼻歌を歌ってくれる。こういうちょっとした無茶ぶりにも付き合ってくれるロナさんは優しいなって思った。
そうやって歩いて行って、街に到着する。
街に入る時に、わたしとパパとロナさんで親子に間違えられた。パパは軽く否定してそのまま中に入っていたけれど、ロナさんは見るからに挙動不審になった。そんな挙動不審なロナさんにも関心がないとか、パパ、もうちょっと関心もとうよ!
こういう風に他人に興味がなく、自由気ままに生きているパパだからこそ今まで結婚とかしてこなかったんだろうなって思った。
街の中でもずっと手を繋ぎっぱなしだ。
ロナさんは親子と間違えられたのが恥ずかしいのか、落ち着かないのかわたしの手を離そうとしていたけれど繋ぎっぱなしがいいっていったらずっとつながせてくれた。
この街は初めて訪れる街なので、行ったことないお店ばかりだ。
わたしはパパとロナさんと一緒に色んなお店を見て回る。




