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パパとロナさんとお買い物 ①

 パパとロナさんの距離は中々縮まらない。出会って長い期間が経っていて、それでも進まなかった二人の距離だからそう簡単には縮まらないのは当然と言えば当然なのかもしれない。



 パパとロナさんは魔導師だから、関係がゆっくりしか変わらなくても気にしないのかもしれないけれど……なんだろう、正直言って私は二人の関係が変わったら面白いのになって、楽しいのになってそういう気持ちでいっぱいなのだ。

 だってわたしは大好きなパパが恋をしたら、きっと楽しいって思うから。無理強いはしないけれども、パパが恋をしたらきっと素敵だと思うもん。



 そういうわけでニコラドさんに手紙を出したりとか、街で知り合った友人たちに「片思いをしている人を応援するにはどうしたらいいか」みたいに聞いたりしている。




 わたし自身は、まだ子供だし、恋とかそういうのは分からない。



 でも人の恋を見ているのは凄く楽しい。

 学園に入学したら、同年代の子たちばかりが周りにいるから沢山恋のお話とかもきけたりするのかな? 

 そういえば、貴族だと婚約者がいたりが多いけれど、そういう場合って婚約者に恋をするのかな? それとも政略結婚だから恋とかではなかったりするのかな?



 わたしは今、ベルラ・クイシュインっていう公爵令嬢ではなく、ただのベルレナだから婚約者なんていないけれど……ベルラ・クイシュインのままだったらきっと婚約者がいたんだろうななんて久しぶりにベルラだった頃のことを思い起こした。

 わたしの身体を奪ったあの子にも婚約者がいるのだろうか? あの子は何だか要領がよさそうだったから上手くやっているのかもしれない。



 わたしもいつか恋をして、好きな人が出来て……うん、考えただけでふわふわした気持ち。恋ってどんなものなんだろうってそんな気分はあるの。でも初恋もわたしまだなんだよね。わたしぐらいの年だと初恋を経験している人もいるらしいからそういう話も色々聞いてみよう。



 でも世の中には初恋は実らないみたいな言葉もあるみたいで、折角感じた恋心が実らないと何だか悲しくなるのかな? それとも次の恋でいっぱいになるのかな? 恋をして、誰かと恋人になるのならば魔導師であるパパたちを受け入れてくれる人じゃないと。あとはわたしがホムンクルスの身体を使っていることも受け入れてくれると嬉しいな。



 ……そう考えると結構難しいのかな? 魔導師は特別な存在で、長い間生きている。わたしも魔導師を目指すとしたら、恋人になった人を置いて行ってしまうっていうのもあるのかもしれない。

 ニコラドさんは奥さんが先に亡くなっているんだよね。わたしが恋人が出来たらニコラドさんに話を聞いてみるのもいいのかもしれない。




 なんて色々と恋について考えたけれど、わたしが誰かに恋をするなんてまだまだ先の話だよね。それよりもパパとロナさんのことだよ!

「ねぇねぇ、パパ、買い物行こうよ」

「何か買いたいものでもあるのか?」

「急にね、パパとお出かけしたくなったの! それにわたし、お買い物するの好きだもん。ね、駄目?」

「もちろん、いいぞ」

「ね、パパ、ロナさんも一緒に行きたいけどいい?」

「あいつもか?」




 わたしはパパとロナさんと一緒にお買い物に行こうと思い至った。だって一緒に何かをするというのは仲良くなる第一歩なんだよ。

 わたしもパパと色んなことを一緒にして、同じ時間を一緒に過ごしてきたからこそこうして仲良くなれたんだもん。



 それにパパとロナさんの距離が縮まればいいなーっていうだけじゃなくて、単純にわたしがパパとロナさんと一緒にお買い物いけたら楽しいだろうなって思っているのもある。



 わたしね、パパを着飾らせるの好きなんだけれど、わたしだけの意見じゃなくてロナさんの意見も加えてパパを着飾らせられたらきっと素敵じゃないかなって思うの。

 ロナさんの意見を聞いて、パパを素敵に出来たら、またわたしが知らないパパに出会えるようなそんな気分にもなるしね。




「うん、あのね、わたし、ロナさんのことも大好きなの。大好きなパパとロナさんと一緒にお出かけ出来たらきっと楽しいだろうなって思うの。ロナさんってすごく綺麗で、大人っぽくてかっこよくて……わたし、素敵だなって思うの」



 本心からの言葉を告げたらパパも頷いてくれた。


 本当にパパってわたしに甘いよね。パパはわたしのことを可愛がってくれているからこそ、こんな風にわたしに甘いんだなって思うと嬉しくてにこにこしちゃう。



「ありがとう、パパ! じゃあ、ロナさんのことを誘わないとね。お出かけの洋服選ばないと」

「いつも通りでいいだろ」

「駄目だよ。というか、わたしがパパをかっこよく着飾らせたいんだもん。普段からパパは女性の視線を独り占めって感じだけれどももっとパパのかっこよさを際立たせたいもん」




 これがわたしのパパなんだって見せびらかしたいし、ロナさんにパパはもっと素敵なんだって惚れ直してほしいし、何よりわたしがきちんと着飾ったパパを見たい!!

 わたしも何を着て行こうかなって、お出かけの時はワクワクする。パパが沢山洋服買ってくれているからね。あとはロナさんにもおしゃれしてきてねって言っておかないと。



 でもロナさんがいつも通りの服を着てくるならそれはそれで、お出かけ先でロナさんに似合う服をパパと一緒に選んでもいいかも。だってきっとパパはわたしが頼んだらロナさんの服も一緒に選んでくれるはず。

 何だかそうやって色々考えていると楽しみで仕方がなくなってきた!






 その後、ロナさんをお買い物に誘ったらロナさんは挙動不審になっていたけれど頷いてくれた。

 パパとロナさんと一緒にお買い物楽しみだなぁ。



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