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わたしと、精霊獣 ④

「ロナさん、あれは?」

「あれはね……」




 ロナさんはわたしやユキアがあれは何? これは何? と聞いていると一つ一つ丁寧にロナさんは答えてくれている。ロナさんってそういうところとても優しい人なんだと思う。

 分かりにくいところはあるけれども優しくて、それでいてとてもたくさんのことを知っていたりもする。パパもそうなのだけれども魔導師ってそれだけ知識が深いというか……あらゆることを知っているというか。




「ロナさんって、パパもそうだけど物知りだよね。魔導師の人ってそんな風に魔法以外のことも詳しくて凄いよね」

「あらゆることを知っていないと、魔法にも通じることが出来ないからよ。どんな知識でも繋がっている。だからこそ魔導師というのは、ある程度色んなことを知っていないと魔導師にはなれないわ」

《魔導師って、本当に不思議な生物だよね》




 上から、わたし、ロナさん、ユキアの言葉である。それにしてもユキアの生物って言い方不思議だなぁ。でも確かに魔導師って、人の理から外れている別の生物みたいなものなのかもしれない。



「だからベルレナも興味がないことも学べるなら学んでおいた方がいいわ。それがいつどこで役に立つのかは分からないけれど、それでも学んでおけば何かに役に立つことはあるもの」

「そうだよね。……わたし、自分のやりたいことばかり考えているけれど、ちょっと嫌なことも学んでおいた方がいいんだよね。パパってね、わたしのことをすぐ甘やかしてくれるの。だから、正直、わたしはそういう嫌なこと全然経験せずに大人になっちゃうのかなーとかも思ってしまうのだけど」

「その自覚があるなら大丈夫だと思うわよ。それに私の方が子供時代好き勝手生きていたもの」




 ロナさんにそんなことを言われて不思議な気持ちになる。だってロナさんはとても素敵な大人の女性にしか見えないのに……。でもそうだよね。大人だって、昔は子供の頃があるんだよね。そして子供時代を知る人にとって、大人になったその人は全く雰囲気が違ったりとか……そういうのもあるのかな?



 わたしが身体を奪われて、それでも周りが気づかなかったのは……わたしが子供だったからというのもあるのかもしれない。わたしが子供だったから、変わっただけだと思われたのかもしれない。



 ユキアも、今は産まれたばかりだけど変わったりするのかな?




《どうしたの? ベルレナ。僕のことをじっと見ていて》

「ユキアはどんな風に大きくなるのかなって思って」

《僕は多分、そんなに変わらないよ? 僕は精霊獣だし》

「そっかぁ」




 わたしはそう言いながらユキアの頭を撫でる。ユキアは嬉しそうに鳴き声をあげていた。可愛いなぁと思わず頬が緩んだ。





「ねぇねぇ、ロナさん。精霊獣ってどんな風に大きくなるの?」

「それは私も知らないわ。だって精霊獣と契約なんて中々結べないものだもの。精霊獣から卵を託されるなんて流石ディオノレとベルレナだと思うわ。だから精霊獣がどんなふうに育つのか私も楽しみなの」

「あ、ロナさん。パパみたいな目してる! 研究対象を見るみたいな」





 パパもロナさんもやっぱり同じ魔導師なだけあってこういう興味がある対象に対して、そういう目を向けるよね。そう考えるとホムンクルスの身体であるわたしのことも研究対象ではあるんだろうなと思う。でもちゃんとパパは父親としてわたしのことを愛してくれていることは疑っていないけどね!





《本当に魔導師って、そういう存在だよね……。でもベルレナの周りの魔導師たちはまだ分別ついてそうだからいいけど》

「ディオノレはどちらかというと昔は研究のためならなんだってしそうな危なさはあったけどね。……多分、ベルレナに出会ったからもあるでしょうね」

「ふふ、なら、嬉しいな」




 ユキアの言葉に、ロナさんが答え、わたしは笑った。




 それにしても精霊獣であるユキアは、どんな風に成長するのか全然想像が出来ない。精霊獣についての本を読んでも、詳しくは全然載ってないんだもの。それだけ精霊獣は人とあまり関わってこない生物なのだと思う。



 ユキアとこうして契約を結べたのも、わたしがパパに拾われるっていう奇跡が起きたからなんだものね。




 ユキアがどんなふうに育つか分からないけれど、どんな風にユキアが成長するんだろうってわたしはとっても楽しみで仕方がない。

 学園に入学する時は、一緒に連れていけるのかな?

 そのあたりも色々聞いてみよう。




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