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わたしと、精霊獣 ③

「あら、精霊獣と契約を結んだのね。流石、ディオノレの娘だわ」

「えへへ、ありがとう。ロナさん!」



 精霊獣と契約をした数日後、やってきたロナさんの言葉にわたしは嬉しくなった。

 わたしの身体がホムンクルスで、中身が違うことを知っていてもそんな風に言ってくれることが何だか嬉しくなった。またロナさんの腕が撫でたそうにうずうずしていたので、わたしが頭を差し出したらロナさんは撫でてくれた。



《ベルレナの周りは、魔導師ばかりだね》



 まだ小さなユキアだけれども、一生懸命自分の足で歩いている。まだ生まれたばかりでよろよろでも一生懸命歩いているんだよね。わたしが抱っこしたいって言っても、なるべく歩くっていっているんだよね。

 でも幾ら生まれた時から自我がはっきりしていても、ユキアはまだ生まれたばかりで甘え上手なところもあるみたいで、わたしに抱っこしてって言ってくるときもあるの。とても可愛くてわたしは嬉しい気持ちになった。



 それにしてもロナさんはこういう契約獣もとても好きみたい。なんだか人の契約している存在に触っていいんだろうかとか、ユキアが小さな存在だから触れていいんだろうかとか思っているみたい。

 そういうところが、ロナさんってとても可愛いと思う。パパなんてすごい雑にユキアのこと撫でたりするんだよ。そういうところに性格が出るんだよね。



「ねぇ、ロナさん。ユキアと一緒にこれから屋敷の周りで遊ぶの。ロナさんも一緒に行く? というか、あれかな。ロナさんが一緒だったらもっと遠くにも行けるのかな? ねぇねぇ、パパ!!」



 わたしはロナさんを誘っていて、はっとする。

 だってさ、ロナさんも一緒に行くのならば屋敷から離れたところにも行っていいって言われるのかなって思ったから。

 屋敷の周辺はともかく、この山の中はわたしにとってまだまだ危険な魔物が沢山いる。わたし一人だとまだまだ許されていないけれどもロナさんと一緒なら散歩にも行けそう。

 研究室にいるパパの元へバタバタと廊下を走って向かう。




「パパ!!」

「ベルレナ、どうした?」

「ロナさんと一緒なら山の中を一緒に見て回ってもいい?」

「……まぁ、それなら。危険な真似はしないようにな。何かあったら呼べば行くから」

「うん!! 大丈夫だよ。パパからもらった守護石もあるし」



 一度も活用はされていないけれども、パパがくれた守護石もあるから危険な目には中々合わないと思う。というか、魔導師であるロナさんと一緒にいるのならば危険な目ってそんなに合わないよね? パパってば本当に心配性だなと思う。




「ね、パパ。なんか怖いことがあったらすぐにパパのことを呼ぶからさ」

「ああ。そうしろ」



 パパはわたしの頭をぽんぽんと撫でてくれた。パパに撫でられると嬉しい気持ちでいっぱいになった。

 わたしはパパから許可をもらったので、ロナさんとユキアの元へと戻る。

 バタバタと走りながら戻って、笑いかける。




「パパから許可をもらったよ。だからね、一緒に出掛けよう」

「ディオノレが許可をしてくれたのね……。私と出かけることをディオノレが許可してくれるなんて……」

「ロナさん、嬉しそうだね。パパもロナさんに対する信頼はあるんだと思うよ。長い付き合いなんでしょ? だからね、二人の間に本人達はないって言っても、何か絆みたいなのはあるんだと思うの」



 ロナさんはパパがロナさんのことを何とも思っていないって、何の交流も今まで持てていなかったって思っているのかもしれない。でもきっと少しでも過ごす時間があったのならば、そこに絆がないってことはきっとないもの。

 わたしの言葉にロナさんは「そうかしら」と自信がなさそうな様子である。



 そんなロナさんを連れてわたしは屋敷の外に出た。ユキアも生まれたばかりで、屋敷の周りの安全なエリアしか知らないだろうから、ロナさんと一緒に外に出れるのがユキアは嬉しいみたい。




 嬉しそうな鳴き声をあげているユキアを見ていると、わたしも笑ってしまった。



 それにしてもロナさんって本当に魔物がいても顔色一つ変えない感じだね。とても冷静な感じで、かっこいいなぁって思う。パパの目の前だと何だか冷静さが少しなかったりするし、魔法に関しては苛烈な雰囲気が多いけれど、やっぱり魔導師というのはそういう冷静さというのも重要なのかなって思った。




「ロナさんは、魔物と戦うの怖いとか思わないの?」

「思わないわね。だって魔物は素材でしかないもの」




 凄くばっさりとそんなことを言われて、ロナさんってはっきりしているなぁと思った。



 今はね、パパにたまに連れていってもらうように浮かせてもらっているの。途中まで自分の足で歩いていたのだけど、途中から足場が悪くなったから浮かせてくれているの。



《浮いているの面白い》

「よかったね、ユキア。わたしもこうやってお散歩出来るの楽しいの。でもまだね、自分だけでこのあたりうろうろできないんだよね」



 この山はとても危険な魔物が沢山いて、だからこそまだまだ一人でうろうろも出来ないんだよね。わたしの実家とも言える屋敷の周りを、一人で動けないのって何だか悔しいなって思うからもっと屋敷の周りを動けるようになりたいな。



 魔物退治も少しずつ出来るようになっていても、やっぱり強い魔物相手だとわたしはまだまだだもん。

 



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― 新着の感想 ―
[一言] 体奪われた時点で人生終わっとるやん
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