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わたしと、精霊獣 ②

《ベルレナ!》




 その小さな獣は、わたしと目が合うとその赤い瞳をキラキラと輝かせて、わたしの名前を呼んだ。わたしはそれに驚いて思わずパパの方を振り返る。




「パパ! あの子、わたしの名前を呼んだよ! わたしの名前知っているのかな??」

「前も言っただろう。卵の頃からあの精霊獣には意識がある。お前の名前を呼んだってことはベルレナのことを気に入っているということだ。ほら、話しかけてやれ」

「うん!!」




 パパの言葉にわたしは大きく頷いて、その小さな精霊獣へと近づく。わたしが抱きかかえられるぐらいに小さい。だけど、産まれたばかりでもそういう風に意志を持っているなんて、賢い! というか、凄いと思う。

 だって人だと生まれてすぐだと、こんな風に思考も出来ないし、言葉を喋ることも出来ないんだよ? なのに精霊獣って種族はこうして生まれてすぐに喋れるんだよ。凄い!



 そう言う気持ちでいっぱいのかまその子に近づく。




「初めまして!! わたし、ベルレナ」

《産まれてからは初めまして。知っているよ》

「わたしのこと、知っててくれたの?」

《うん、いつも魔力くれるし、優しいなぁって》

「わぁ、嬉しい! わたしと仲よくしてくれる?」

《うん!》




 心の中に響く声は弾んでいる。

 その弾んだ声が、わたしと会うことを楽しみにしてくれていたんだろうなってわかって、嬉しくなった。



「ねぇ、わたしとお友達になってくれる?」

《もちろん! でもお友達なだけじゃなくて、契約してくれると嬉しいな》




 その子にそんな風に言われる。




 そういえばわたしはパパの知り合いの精霊たちに会いにいったりもしていたけれど、誰ともまだ契約を結んでいなかった。

 わたしは目の前の精霊獣の子供を見る。

 その子はキラキラした目でわたしを見ている。その様子を見て、これも何かの縁だから、契約を結ぼうとそういう気持ちになった。



 だからわたしはその子に、「うん、契約しようか」と口にした。そしたら嬉しそうに割れた卵の周りでぴょんぴょん飛び回っていて、何だかかわいらしかった。



《やった! じゃあ先にお名前が欲しいなぁ。僕、まだ名前ないんだ》

「名前……? えっと、どうしよう。わたし、誰かにお名前つけたりしたことそんなにないから……」




 名前って、その人にとってとても大切な事だと思う。常に呼ばれ続ける名前だから、素敵なものにしないと……。

 そう思うと、どんな名前がいいのだろうかって、悩んでしまう。




「うーん」

「ベルレナ、そんなに難しく考えなくていい。そいつもベルレナが決めたものならば、何だって喜ぶだろう」




 悩んでいたらパパにそんな風に言われた。



 そうなのかな。わたしが決めた名前ならばなんだって嬉しいって思ってくれているのかな? そんなことを思いながらふいに口を開く。




「じゃあ、ユキアでいい? 雪みたいにまっ白だからって、そういう単純な理由なのだけど……」

《もちろん!!》




 単純な名前になってしまったけれど、小さな精霊獣――ユキアは嬉しそうに頷いてくれた。

 そしてパパの方を見て、ユキアと契約を結んでいいか確認する。わたしの保護者はパパだから、パパに確認してからがいいって思ったから。

 パパは「ベルレナの好きなようにすればいい。……仮にこいつがベルレナを害すなら俺の方でどうにかするだけだ」なんて言うから、ユキアが怯えて身体を震わせてしまった。





「パパ!! 怖がらせちゃ駄目だよ。わたしのことを大切にしてくれていることは嬉しいけれど……!!」



 そう言ったらパパは頷いた。ユキアの方を見たら、



《ベルレナのお父さん、ちょっと物騒》



 って言われてしまった。


 よしよし、怖かったねーって撫でたら身体の震えがなくなったみたいでほっとした。

 それからユキアと契約を結ぶことにした。契約の仕方はパパが教えてくれた。




「わたし、ベルレナは精霊獣ユキアと契約を結ぶことを誓います」

《僕、ユキアはベルレナと契約を結ぶことを誓います》



 魔法陣を描き、そういう契約の言葉を口にするだけ。でもそれだけでわたしとユキアの間に繋がりが出来た事が分かった。そういえば血を交わすとかでも契約は出来るらしいよ。わたしのやり方はパパが教えてくれたやり方の一つなんだって。



 そしてわたしに、初めての使い魔が出来たのであった。



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