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パパとロナさんと、ニコラドさん ①

10日 2話目



「……何を企んでいるんだ? 『黒闇の魔女』が大人しく此処にいるなんて」

「あんたには関係ないでしょ」



 ニコラドさんとロナさんが、目の前でにらみ合っている。



 今日はニコラドさんと、ロナさんが遊びにきていた。ニコラドさんはロナさんのことを疑って仕方がないようで、心配で来てくれたらしい。

 心配してくれることは嬉しいけれど、ロナさんのことをそんな風に言わないでほしい。



 あとパパは、我関せずという態度をし過ぎだと思う。



 ロナさんは今までパパのことが好きなのに、パパにちょっかいをかけるしか出来なかったんだよね。だからいつも会話なんてしなくて、ただ魔法をぶつけてくるばかりで……まぁ、確かにロナさんの真意を知らないと警戒するのも無理はないのかな。



 でも、わたしはロナさんのことがすっかり好きになっているので



「ニコラドさん! ロナさんを虐めちゃだめだよ!」



 わたしはロナさんを庇うように割って入って、そう言った。



 ニコラドさんが、何とも言えない表情をする。



「ベルレナ、悪い事は言わない。その女と仲良くしない方がいい」

「もー、ニコラドさんは表面上のことばかり見すぎだよ! ロナさんはニコラドさんが思っているような人じゃないよ?」

「ベルレナは『黒闇の魔女』と会ったばかりだろう。俺はもっと長い付き合いでこいつを知っている」

「知ってないよ! もー、ニコラドさんもロナさんとちゃんと話したことないでしょ!」

「いや、だってこいつ、ディオノレに喧嘩売ってばかりで話すどころじゃないし」

「それはそうかもだけど……、でも今は大丈夫だよ。ロナさんはお話をしに来ているんだよ!」

「いや、でも暴れたら――」

「もう、大丈夫だって言っているでしょ! ニコラドさんは文句言うならかえろー?」



 もう、わたしはパパとロナさんを仲良くお話させたいのに。ニコラドさんは心配してくれているのだろうけれど、ロナさんを素直にさせるのにはちょっと帰ってもらった方がいいかも!




「ディオノレ! ベルレナが反抗期だ!」



 わたしの言葉にニコラドさんがショックを受けたような顔をして、パパの方を見た。

 というか、この状況で我関せずなパパは本当にマイペースすぎじゃない?

 あとわたしは反抗期じゃないよ!



「ベルレナは反抗期じゃないだろう。お前が煩いからだろう」

「親子そろってひでぇな!」




 パパとニコラドさんは、相変わらず仲が良いなと嬉しい気持ちになった。

 ロナさんをちらりと見れば、ロナさんはどういう風にしていたらいいか落ち着いていない様子だった。





「ロナさん、パパとニコラドさんはいつもこんな調子だよ」

「……そうなのね」

「うん。ねぇ、ロナさんも同じぐらいパパと喋れるようになろうね?」

「……そ、それは難しいわ」

「大丈夫だよ。ね?」

「……ええ」



 戸惑ったようなロナさんに笑いかければ、ロナさんが頷いてくれる。

 その様子を見ているとやっぱりロナさんもパパとああいう風に軽口を叩けるようになりたいのだと思う。

 素直じゃないロナさんのことを、後押ししないと。



 それにしてもロナさんを素直にさせるには、やっぱりニコラドさんはちょっと邪魔しちゃっているかも。



「ねぇねぇ、ニコラドさん、ちょっとこっち来て」

「おっ、なんだ?」

「いいから、こっち来て。魔法の練習するから。見て」

「珍しいな、ベルレナが俺に頼むとか。おい、ディオノレが面白い顔しているぞ」




 ニコラドさんの言葉にパパを見れば、パパが何とも言えない表情をしていた。



 わたしがパパじゃなくて、ニコラドさんに頼んだからショックを受けているのかな? パパとロナさんを二人きりにしようとしていたのだけど、ロナさんも何とも言えない表情?

 あれ、失敗したかなぁ。




「ベルレナ」



 ロナさんに名前を呼ばれる。そして耳元でこそっと囁かれる。



「い、いきなりディオノレと二人は無理よ」



 小さな声はわたしにしか聞こえてないだろう。

 うーん、そっか。いきなり二人にするのはロナさんにはハードルが高いのかもしれない。でもとなると、どうしようか。



 とりあえず



「じゃあロナさんもわたしの魔法見て!」


 そう言って誘った。



 結局パパもニコラドさんも、ロナさんもわたしの魔法を見てくれることになった。

 よく考えたら魔導師三人から魔法を見てもらっているなんてすごい状況だよね。




 それにしてもパパも、ロナさんも、ニコラドさんも――教え方がちょっと違うよね。同じ魔導師とはいえ、それぞれの特色や性格が教え方に出ているっていうか、そういうのも面白いよね。

 それぞれの得意な魔法も違ったりするし、わたしは色々魔法を習っているけれど――最終的に得意な魔法って何になるんだろうか? もっと魔法を使えるようになりたいとは思っているけれど、どういった魔法を極めていきたいかな。

 




 結局パパとロナさんはあんまり個人的な会話は出来ていなかった。

 でも魔法に関する会話は出来ていたからまだ良かったっていうべきなのかな? もっと仲良く喋れるようになってほしいな。


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