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『黒闇の魔女』がやってきた! ⑤

4/9 二話目

「あのね、パパがね、いっぱいわたしに洋服とか買ってくれるの。でね、パパをね、もっとかっこよくしたいなって思って身だしなみ気を付けてもらったりしているの!」

「……それは駄目よ!」



 わたしはパパのことをロナさんに話していたわけだけど、ロナさんに急にそんな風に叫ばれた。



 急にどうしたんだろうとちょっとびくつく。

 びくついたわたしを見て、「驚かせてしまってごめんなさい。でも駄目よ!」と言われてしまう。



「どうして駄目なの? わたしね、パパのことが大好きだから大好きなパパが素敵なんだって、パパを磨きたいなと思ったのだけど……」

「その考え方自体は素敵だと思うけれど、その、ベルレナと一緒にディオノレも街に行っているのよね?」

「うん。そうだよ。パパね、沢山のところへわたしを連れて行ってくれるの」



 わたしがそう言えば、またロナさんは少しだけ顔をしかめた。やっぱり少しだけ不機嫌そう。どうしたんだろう?



「ロナさんは、パパがかっこよくなるの嫌なの?」

「……嫌というわけではないわ」

「ならどうして不機嫌なの?」



 わたしは気になって問いかける。

 そうすれば、ロナさんは無言になった。



 ロナさんって、少し喋るのが苦手なのかもしれない。言葉が少ない感じだから、ちゃんと実際に何を考えているのか――それをくみ取らないと喧嘩してしまうのかもしれない。

 ロナさんは何を考えているのだろうか。そう思いながらじーっとロナさんを見つめる。目が遭ったのが、落ち着かなかったのか視線をそらされる。それでもじーっと見ていたら、ぼそっとロナさんがいった。




「………じゃない」

「なに?」

「……ディオノレはただでさえ女性受けする見た目しているのに、身だしなみに気を付けたらもっと注目されるじゃない」



 そう言われた言葉に、わたしは驚いた。



 パパは確かに女性受けする見た目をしている。街に一緒に出掛けた時にはよくパパは注目されている。ぽーっとした目で見られることも多いし。

 でも注目されるのが嫌っていうのは……どういうことだろう?



「ロナさんは、パパが注目されるの嫌なの?」

「……そうよ」



 ぼそっとまたロナさんに言われる。




「パパ、とってもかっこいいもんね。でもパパ、全然、そういうの興味ないんだよ! わたしはパパが恋愛でもしたら面白そうなのになって思っているんだけど」

「……駄目よ」

「なんで? わたし、パパにずっと笑っていてほしいもん。パパはね、とても優しくて自慢のパパだから恋とかしないかなーって」

「……な、なんでって、その」



 ロナさんは視線をそらして、困った様子である。

 わたしはまたじーっとロナさんを見る。




 というか、どういうことだろう。



 ロナさんは、パパにいつもちょっかいをかけている。でもパパのことを嫌いなわけではないと思う。そもそも嫌いな人に話しかけるなんてしないだろうし。

 それでいてパパが身だしなみを整えるのを嫌がっている。その理由が女性から注目されるのが嫌だからって。なんでそういう風に思っているかって言うと……。

 わたしは一つの考えに思い至って、思わず目を輝かせてしまう。





「ねぇねぇ、ロナさんって、もしかしてパパのことが好きなの?」



 わたしがそう問いかければ、ロナさんは顔を真っ赤にした。



「わぁ!!」



 わたしは思わず大興奮した。

 だってロナさんが可愛いんだよ。それにわたしの大好きなパパのことが大好きみたいだし。




 というか、あれなのかな。

 ロナさんがパパにちょっかいをかけていたのって、パパのことが好きだから? 素直になれないけれど、パパと関わり続けたいからってパパにずっと関わっていたのかな?




「ロナさん、パパのこと、大好きなんだね!」

「だ、大好きって……そ、そんなわけないでしょ!」

「でも顔赤いよ? パパのことが好きだから、パパの奥さんがいたらって気になったんでしょ? パパはね、ロナさんが知っている通り、女性に全然興味がなくて、凄い独り身なの!」



 ロナさんはちょっと素直じゃないなぁって思った。恥ずかしいのかもしれない。わたし、大人ってもっと大人の恋愛みたいな感じをするのかなって思っていたけれど、ロナさんの様子を見ている限り、ロナさんって恋愛とかあまりしていない人なのかもしれない。


 パパに対する接し方が結構余裕がないもん!

 でもとても可愛いと思う。とても綺麗で、可愛くて――うん、ロナさんって素敵な女性だと思う。




「ねぇねぇ、ロナさん。わたしね、パパが本気で嫌だって言うなら応援は出来ないけれど、多分そうじゃないと思うんだよね。パパって、全然恋愛に興味ないし、そもそも他人に興味がないから人の好意とか気づかないの! だから絶対、ロナさんの気持ち気づいてないと思う!」

「……ディオノレは私のこと、嫌いでしょ」

「嫌いってわけじゃないと思うよ? だってパパ、嫌いだったらそもそも相手にもしないと思う。ロナさん、パパのこと、好きならもうちょっと素直になった方がいいかも。パパって素直に言わないと絶対気づかないよ?」



 うん、パパは恋にも人にも興味がなく、素直にならない相手の好意なんて全く気付かないと思う。



 パパはかっこよくて、優しいし、わたしの自慢だけど……そういうところ、鈍いもん。

 だからロナさんが本当にパパのことが好きで、誰かに渡したくないみたいに思っているなら素直になった方がいいと思う。



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[一言] ベルレナにママもできるかwktk
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