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『黒闇の魔女』がやってきた! ②

4/2 二話目

「何しに来たんだ?」

「パパ、第一声がそれって感じ悪いよ! 知り合いなんでしょ? もっとこう、親しみを持って話しかけようよ」

「いや、そんなに親しいわけではない」



 パパの冷たい言葉に思わず注意をしたら、パパはばっさりとそういう。その言葉を聞いた『黒闇の魔女』さんが一瞬だけ傷ついた顔をしたように見えた。けれどすぐにキッとパパを睨みつけるように見た。見間違いかな?

 パパがわたしを後ろにやる。わたしのことを守ってくれる気持ちらしい。パパがわたしを守ってくれようとしているのがわたしは嬉しいなと思う。



「ディオノレ。それが貴方の娘? 貴方にそっくりじゃない。まさか、貴方に子供が出来るなんて思わなかったわ。おかしいことね」



 あれ? なんだか『黒闇の魔女』さん、パパに対して少し棘がある? わたしが挨拶をした時とはまた違う感じの雰囲気を醸し出している。パパのこと、嫌いなのかな? んー? それともまた違う感情? 




「――それはお前に関係ないだろ。ベルレナが俺の娘だからってなんだ」

「なんだって、気になっているだけよ! そのベルレナの母親は誰よ。私が知っている限り、貴方が誰かと恋仲になったことはないはずだけど」

「それこそ、お前に関係ないだろ」

「関係ないって、相変わらずだわね! ……そこのベルレナ、ちょっと離れてくれる? 私はディオノレと戦いたいの。ディオノレから貴方の母親を聞き出すから、離れてなさい」



 ……なんか悪い人じゃなさそう?

 本当に怖くて悪い人だったのならば、わたしを巻き込むこととか関係なしに攻撃仕掛けてくると思うんだよね。わざわざそういうことを言うのは、子供に対する思いやりというか、人に対する優しさがあるからだと思う。



 ニコラドさんはどうしてこの人を怖い人だって言ってたんだろうか? 確かにパパに対して棘があったり、冷たい言動もありそうだけど……でもなんか、表面上はそう言う風に見えるかもしれないけれど、なんかそういう感じじゃない気がする。

 なんか、ニコラドさんが言っていたほど危険なことはなさそうなので、わたしは大人しく離れた場所からパパと『黒闇の魔女』さんの戦いを見ることにする。





「わぁ」



 魔法が飛び交っている。



 何だか、とてもワクワクする。

 もちろん、危険な戦いだったらハラハラするんだろうけれど、なんだかパパと『黒闇の魔女』さんの戦いってそういう命がけの戦いじゃなくて、見た感じ遊びみたいに見える。



 ……ニコラドさんって、パパにちょっかいを出す『黒闇の魔女』さんを見かけている程度だったのかもしれない。まぁ、普通に考えると魔導師同士の戦いってなると、危険なことばかりに思えるもんだよね。




 地形が変わっているなぁ。

 大きな音がなっているなぁ。




 というか、『黒闇の魔女』さん、凄いなぁ。



 パパの静かな魔法っていうか、冷静に全てをいなしていくような静の強さというか……。言ってしまえば見た目も相まって雪とか、氷とか、そういう冷たくて静かな強さのイメージ。

 逆に『黒闇の魔女』さんの魔法は動の魔法だと思う。なんというか、苛烈な感じで、結構派手な感じがある。華々しい炎というか、熱くて燃えているようなそんなイメージ。




 『黒闇の魔女』さんって、その使用する魔法のように苛烈な感情を持っているのだろうか?

 うーん、なんか結構『黒闇の魔女』さんって楽しそうにしている? パパを見る目は冷たく見えるし、棘があるように見えるけれど、時々見せる表情とかは、楽しそうな気がする。




 それにしてもパパも『黒闇の魔女』さんも凄いなぁ。

 こんな風にパパが誰かと魔法で打ち合いをしているのなんて見たこともなかったけれど、なんかパパの凄さを実感する。『黒闇の魔女』さんもパパやニコラドさんよりも前から魔導師をしているだけあって凄い。




 わたしの方に魔法が飛んでこないように気を使ってくれているし。

 ……というかさ、わたしの母親を知りたいとかいってパパに魔法を向けていたけれど、わたしにお母さんはいないんだけどなぁ。この身体はパパが作ったホムンクルスだし。

 うーん。そもそもなんでそれを知りたいんだろう??





 じーっと見ていたら、パパがしりもちをついた。おっ、パパ相手にそれだけ出来るなんて『黒闇の魔女』さん凄い! ニコラドさんがパパと相打ちレベルだって言っていたけれど、本当に『黒闇の魔女』さんって強いんだな。




 なんか終わったみたいだし、近づいていいかな。そう思ってわたしはパパと『黒闇の魔女』さんのところへ近づく。




「『黒闇の魔女』さん、もう終わりで大丈夫だよね?」

「……ええ」

「『黒闇の魔女』さん、パパに勝ったのに不機嫌? あのね、『黒闇の魔女』さん、わたしに母親はいないよ」

「え?」




 『黒闇の魔女』さんはわたしの言葉にぽかんとした顔をする。



「『黒闇の魔女』さんが気になっているみたいだから。あのね、わたしのこの身体、パパが作ったホムンクルスなの。だからわたしがパパに似ているのは当然なんだよ。だからわたしは中身はパパの娘って言えないかもだけど――でもわたし、自分がパパの娘だと思っているの」



 わたしは『黒闇の魔女』さんに向かってそう言って笑いかけた。



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