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騒動の予感? ①

 誕生日が明けて、わたしとパパの暮らしは相変わらずである。



 パパとの日々は、穏やかな日々。すっかりわたしはパパとの暮らしに慣れていて、わたしは凄く自由に過ごしている。



 自分のやりたいことだけをずっとやっている。パパはわたしがやりたいと言ったことを止めない。一度やってみればいいと、難しいことでもそう言ってくれる。

 もちろん、危険なことをする場合はちゃんと相談をしてからやってほしいとそんな風には言われるけれどわたしのやりたいことをパパは何でもやらせてくれる。わたしはそういうパパのことがとても大好きだと思う。

 だってわたしの意志を尊重してくれていて、それでいてちゃんと慈しんでくれているのが分かるから。



「パパ、わたし、パパのこと、大好き!」

「……急にどうした?」

「いつも思っているから、言いたいなって思っただけ。こういう気持ちって言わなきゃ伝わらないでしょう?」

「言わなくても、ベルレナが俺のことを好いていることぐらいわかるさ」

「えへへ、パパもわたしのこと、大好きでしょ?」



 そう問いかけたら、パパも頷いてくれる。

 わたしはパパがそうやって頷いてくれることが嬉しくて仕方がない。

 言わなければ気持ちなんて分からないものだけど、わたしもパパがわたしのことが大好きだっていうのは伝わっている。





 わたしは時々、パパにひっついていたい気持ちになるから、パパの後ろをついてまわることもある。パパはわたしがついて回っていようともいつもマイペースに自分のやりたいことばかりやっているので、いつも通り魔法の研究などをしているばかりである。




 パパの傍にいるだけで、何だか面白い事が起きなくても楽しい。というか、魔法について少しずつ詳しくなってくると、如何にパパが凄いのかというのが分かるようになってきて、パパは凄いなって夢中になってパパの研究を見たりもする。




 だってわたしのパパは凄いんだよ!

 そもそもパパが簡単に使っている魔法もわたしには全然出来ないし。パパだからあんなに簡単に出来るのだもの。





 あと春になってぽかぽかして温かいから、一緒にお昼寝をしたりする。屋敷の周りの大きな木にハンモックをかけて、一緒にのんびりしたりするの! そういうところでお昼寝をするのもとっても楽しい。

 普通だと魔物の脅威があるから、ああいうところでお昼寝は出来ないらしいけれどもパパがね、魔物がよってこないようにしてくれているの。わたしたちに近づこうとして近づく事が出来ない魔物が苛立った様子を見せていてびっくりしたけれど、流石パパだなって思った。

 わたし自身が魔法をもっと使えるようにと頑張ってもいるの。魔物退治もあれからちょくちょくやっていて少しずつ結果につながっているのが嬉しくて仕方がない。




「ねぇねぇ、パパ、とっても気持ち良いね」

「そうだな」

「こうやって天気が良い日は、外に出るのもいいよね」

「ああ」



 ハンモックに寝転がりながらパパに話しかければ、パパも返事を返してくれる。

 太陽の光が眩しくて、何だか穏やかな風が吹いていて、とても気持ち良い。あとね、日焼けすると大変だから日焼けしないようにもしているの。パパの綺麗な肌が荒れてしまったら悲しいもん。



 そうやってパパとのんびりと過ごしている中で……、


「ディオノレ!」



 何だかニコラドさんが慌てた様子でわたしたちの屋敷にやってきた。



 どうしたのだろうか?

 パパもニコラドさんの慌てた様子に眉をひそめている。あの顔は煩いとでも思ってそうだ。




「ニコラド、煩いぞ」

「煩いじゃねぇよ。それより大変だ」

「何が?」

「『黒闇の魔女』が、ベルレナのことを知ったって聞いた!」



 『黒闇の魔女』……って誰だろう?



「ニコラドさん、『黒闇の魔女』って誰なの?」

「魔導師だよ。昔からディオノレにちょっかいをかけてる陰気な魔導師の女」



 パパにちょっかいをかけている魔導師の女性……? そんな人いたんだなと驚いたと同時に何だかニコラドさんがその人を少しだけ嫌っている様子に驚いた。

 その人がわたしのことを知ったからって何かあるのだろうか?




「ベルレナ、お前、不思議そうな顔をしているが……あの女のことだからディオノレに娘が出来たなんて聞いたら乗り込んでくるに決まってる」

「乗り込んでくるの? 怖い人?」

「怖い人というか、何を考えているか分からない女なんだよ。もしかしたらベルレナに何かしてくるかもしれない」




 ニコラドさんはそんなことを言うけれど、わたしはその魔導師である『黒闇の魔女』なんて呼ばれる人に会ったことはないので、判断はつかない。

 そもそもそういう怖い人が来たとしても、パパがわたしのことを守ってくれるはずだもん。




「大丈夫だよ。例え怖い人がやってきてもパパがわたしのことを守ってくれるもん」



 わたしの言葉にパパが当然だとでもいう風に頷いていた。



「それはそうだろうけれど……気を付けるのにはこしたことがないだろう。仮にもあの女も魔導師だからどんなふうに関わってくるかもわからないからな」



 ニコラドさんはわたしにそんな注意をする。



 わたしはニコラドさんとパパから、その『黒闇の魔女』さんのことを聞くことにした。




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