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パパと二度目の冬 ⑦

「ねぇねぇ、パパ、こんな卵を持っていたら驚かれるよね? どうしよう?」

「あー、そうだな。一旦、使い魔用のネックレスにでもしまうか?」

「なにそれ?」

「一時的に使い魔を入れるために空間魔法で広げた場所にいれるためのネックレスだ。『使い魔のネックレス』と呼ばれているもので、卵も入るだろう」

「そんな便利なものあるの?」

「ある意味不便だぞ。あくまで生物を一時的に入れるための空間だ。普通に考えて食事をしなければ生物は死ぬだろう。ずっと中に入れていられるわけじゃない。これが普及した頃は、中で使い魔が死亡する例も多々あったらしいからな」



 パパの言葉を聞きながらへぇ……ってなった。



 パパがわたしにくれた収納庫は基本的に中の時間を止めているのだと言う。月光花ルナティシアもそういう効果のある空間にしまってあるはずだ。

 ただ生き物を入れるとなると、そういう場所に入れることは出来ないらしい。空間魔法は、入った瞬間死亡するといった事故もあるらしく……使うのには繊細な注意が必要なのだとか。使い方を一つ間違えば大変なことになるのが魔法というものなのだとパパと話していると実感する。

 ちなみに食料庫に関しては、生物が入っても問題ないようにパパが調整しているんだとか。食料の入れている入れ物に対して、保存魔法のようなものをかけて新鮮にしているらしい。



 空間魔法は、食料庫のように元々存在する空間をただ広げるといったものや『使い魔のネックレス』やわたしにパパがくれた収納庫のように新しく空間を生み出すものがあるのだとか。

 ひとくくりに空間魔法だと言っても色々あるらしい。ちなみに後者の方が調整が難しく事故が多いんだとか。そういう魔法を簡単に使えるパパはやっぱり凄いと思った。




「『使い魔のネックレス』は時間指定がされている。ある一定期間使い魔が外に出なかった場合は無理に出されるし、中の使い魔が死にかけていたりすると無理やり出されたり警報がなるようになっている。中で使い魔が死なないように設定されている。あとは人種は中に入れられないようにもなっている」

「そうなの?」

「ああ。過去に人をこういうものに収納して、人身売買が活発化したことがあったらしい。生物が入れられるだけの空間を生み出す魔法を使えるものは少ないが、それでもそういうことを金目当てにやる奴はいる」




 そういうわけで、『使い魔のネックレス』にはあくまで多くの制限がかけられているらしい。まずは一匹しか入れられないこと。あと何を入れているか分かるようにネックレスに付属している宝石の色が変わったり、入れられる使い魔を登録しなければならなかったり……そういうのは過去に起きた犯罪を防ぐための意味合いも兼ねているらしい。



 わたしは早速パパからもらった『使い魔のネックレス』に卵を登録する。卵に『使い魔のネックレス』をくっつけると宝石が光って、登録されたらしい。それで卵を無事にしまうことが出来た。

 宿に戻ったら出してあげよう。



 それにしてもこのネックレスが、空間に繋がっていて生き物を格納できるなんて不思議だなとまじまじと『使い魔のネックレス』を見つめてしまう。




「ベルレナ、それは服の下に隠しておけ。持っていると変なのに目を付けられる可能性があるからな」

「うん」





 パパの助言を聞いて、洋服の下にネックレスをしまう。何だか肌にくっつくと冷たくて変な感じ。

 そしてそのままパパに抱きかかえられて、わたしはアイスワンドの王都に戻った。

 王都に戻った時、兵士の人たちから「あんたたち、無事だったのか」と安心したように笑いかけてくれた。

 わたしはそうやって心配してくれることが嬉しくて、思わずにこにこと笑った。



「わたしのパパはとっても凄いんだよ! パパと一緒ならどこにだっていけるんだよ」




 そういって自慢げに笑いかければ、兵士たちもにこにこと笑ってくれた。やっぱり此処の人たち良い人だなって嬉しくなった。




 パパと一緒に宿へと戻る。

 宿の人たちも、わたしたちのことを心配していたみたいで、わたしたちが戻ってくると笑顔で受け入れてくれた。



 部屋でわたしはさっそく卵を取り出す。

 その卵をパパが用意してくれた柔らかいクッションの上に置く。それにしても生物の命を預かるなんて……ここから産まれてくる子は、わたしのことを受け入れてくれるだろうか。




「ベルレナ、どうした? そんなに卵を見つめて」

「んー。どんな子が産まれるのかなって。わたしとパパと仲よくしてくれたらいいなぁって」

「そういうのはどうにでもなるだろう。大体、親の精霊獣の意志は伝わっているだろうから、問題ないだろうけど」

「産まれる前から分かるの?」

「そうだな。精霊獣は精霊と魔物の中間の存在で、自然と繋がっている。そして産まれる前から意識がある。大切にしていればそれが伝わるだろう」



 パパがそう言ったので、わたしはこの卵を大切に孵すことにした。



 パパがいうには、魔力を込めて馴染ませていけばいいらしい。元々精霊獣は、自然の中の魔力と、親の魔力をもってして孵るらしいのだ。



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