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告白




「ぎゃああああああああああああああああああああ」



その叫びは心底驚いて飛び退いた健人のものだった。







「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは」



そう高笑いするのは「アレ」ではなく、幽霊でもなく、菜津だった。




菜津は見たところ異常はなく足もちゃんと生えている。




さっきまでの錯乱した様子から一変。嘘のようなその顔は、いつも見る菜津の顔だったが、嘲笑が度を超えてなんとも醜い表情と化していた。



普段の静かな印象の菜津と比較するとそれはそれで恐怖だった。



だが何となく状況は理解した。


どうやら俺はハメられたらしい。


とりあえずの菜津の無事を確認して、健人は深く息をつく。



全身の筋肉が緩んだと同時に危うく漏らしそうになった。


燃え尽き症候群ってこれのことを言うのか?





それはともかくあのモンスターはどこに消えた。



「健ちゃん、血出てるじゃん!?どうしたの?」


今頃か。



そうやや遅れ気味で心配してくれたのは菜津ではなく、菜津の後ろから出てきた由美だった。


その格好はまるで学祭でお化け屋敷をやってきました風の格好である。


そう、役柄は包帯女。


近くで見れば何ともない。


これにあれだけ狼狽えさせられた自分が恥ずかしく思える。



「もう、由美が登場した後のシナリオも考えてたのに健人が急に窓から飛び出すから台無しになったじゃない!

その怪我って飛び降りた時にしたの??

わざわざ二階から飛び降りて正面扉壊して助けに来るとかウケるぅうううwwww

そこまでして包帯女を後ろから攻めたかったの?www」



おい、いったいどうした?

いつもの静かでお淑やかな菜津はどこへ行った。

確かに置き去りにした事は全面的に謝るが、コイツはとにかく一発軽く殴ってやりたい。



「健ちゃん、包帯使う!?」


由美が自分に巻かれた包帯を伸ばして見せてきた。



「あ、これで健ちゃんが"新しい包帯男"になるってシナリオもいいかもね!」



それいいねーー!と菜津の声。


二人ともシばいていいかな。


ともあれこいつら俺のこの怪我、本気で心配してないだろ。けっこー出血多量で意識かすれてきたぞ。




二人は小さい時からの友人で、今も同じクラス。腐れ縁というやつだ。


これは菜津と由美の考えた本当にタチの悪いドッキリでした。



「健人、これはドッキリでした!日頃から私たちを廃墟に連れまわす廃墟ヲタクへの制裁よ!!」



その菜津の声を聞いてついに意識が無くなった。


そして後はピーポーピーポーである。

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