第十四話、お正月特別編なのニャ!!
今回のお話は2019年のお正月に起こったことを書いています。
その日は朝から皆、なんかおかしかったのニャ。母さんはバタバタ。子供たちはそわそわ。パパとじーさんもガタガタやっておったのニャ。
そしたら夕方、「ピンポーン」と家のベルが鳴ったのニャ。このとき我の嫌な予感は、いきなり最高値になったのニャ。
「こんにちはー、お邪魔します。あけましておめでとうございます」
「はーい、あけましておめでとうございます。どうぞ上がって下さーい」
玄関で何人かの話し声がしたとたん、我は二階へと猛ダッシュしたのニャ!
「あっ! 猫ちゃん」
幼子の声がしたが、そんなもん我は知らん! だってな、だって、知らない人の匂いと、大人の猫の匂いと、犬ってやつの匂いがしたのニャアッ!!
「猫ちゃん、触っていいですか?」
「知らない人は恐いんじゃない? ますは匂いを覚えて貰わなくちゃ」
知らない子供の親、偉いのニャ!
でも、こうしてこの日から凡そ三日、我は耐えたのニャ……。
三日めの夜、やっと『お客さん』というのが帰ることになったのニャ。まあ、大人の猫も犬とかいうのも、留守番してるみたいだから、早く帰ってやった方がいいのニャ!
ちなみに子供とは少しだけ仲良くしてやったのニャ。偉いのニャ、我。
「さ、けむくじゃら。めぐみちゃんたち帰っちゃうって。お見送りしような」
しかし! このとき我のストレスは最高潮になっていたのニャ。だから玄関のドアが開いた瞬間、我は駆け出したのニャ!!
「あっ! けむくじゃらーー! どこ行くんだよっ!!」
「けむくじゃらー」「けむくじゃらーー」と我を呼ぶ声がするのニャ。
でも! 直に外の匂いを嗅いだら、もう家には戻れない。にゃあんて、いい匂いなのニャア。それから風に乗って、母さんの声が聞こえてきた。
「後で捕まえるから、気にしないで。脱走したのは初めてじゃないし」
車が二台、ぶるるるんと出ていった音がしたのニャ。そして……。
「けむくじゃらー」
「けむくじゃらーー」
「けむくじゃらぁ」
「けむくじゃらー」
「けむくじゃら」
「けむくじゃらあっ」
皆が呼んでるけど、まだまだ帰らないのニャ。暫くほっといて欲しいのニャ……。
そろそろ寂しくなって来たから帰ろうかニャ。もう外は真っ暗だし、お腹もへったし、……何より寒い。さっきは皆、しつこく名前を呼んでくれてたけど、今は聞こえない。皆はお家にいるのかニャ?
寒い! 一回そう思ったら、メチャクチャ寒くなったのニャ。これなに? どういうこと? とにかく帰るのニャーーッ。
我は家の窓を目指した。たどり着いたら雨戸が半分閉まっていて、網戸が覗いてたので、網戸を引っ掻いたのニャ。
「あっ! けむくじゃら!! おーーいっ、けむくじゃらが帰って来たぞーーーーっ」
パパが網戸を開けてくれて、我は暖かな家の中に入ったのニャ。ドタドタドタッて音がして、家族が揃ったのニャ。
「けむくじゃらー、良かった! 無事で」
「お前どこに行ってたんだよ、探したんだぞ!!」
「お帰り、けむくじゃら。三時間も外にいたから寒かったろう?」
「ほら、腹が減っただろう。お客さんがいる間、あまりごはん食べなかったし。ペーストやるから食べな」
「おー、帰って来たか。まぁ、猫は帰ってくるって言うからなあ」
「じーさん、それは犬じゃなかったっけ? 猫は三日で忘れるって聞いたよ」
よくしゃべる家族なのニャ。
我はペーストを食べて、ファンヒーターの前に転がって、そして温まって、安心して、……寝たのニャ。
(おい、いつもと顔が違うぞ……)
前回のお話に風呂あがりのけむくじゃらの写真を追加しました。
ちょっと見づらいのですが、写真をタップorクリックして頂き、更に画像拡大だったかな、の文字を選択して頂けると見やすいかと思います。
写真がブレてるのは猫がめっちゃ動いてるせいです。




