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クリスマスタブロー(其7)   作者: 城☆陽人
1/1

即売会へ



「まぁともかくだ、今日来てもらったのは他でもない」濁りそうな雰囲気を断ち切ろうと活き込んで葵が言った。

「今度のGWに大阪の中之島で結構大規模な同人誌の即売会があるらしい。行ってみないか?」

「はぁ」

何のタイミングか、電柱にとまっていたカラスがカァ、カァ、カァーッと三度鳴いて飛び去って行った。

「流石にこう言った話は友人にも出来ない。城くんならどうか、と思って・・・」

「即売会、ですか」

「そうだ。行った事はないのか?」

「ぶっちゃけ、ありません。東京のコミケには行きたいな、なんて思ってるんですが、如何せん旅費やらで無理ですし、あまりここいらでの即売会に関心は持っていませんでした」

「中之島一体を使っての、そこそこ大きなイベントらしいぞ。私も初めてだし、行ってみたい。どうだ?」

「・・・そうですね。一度覗いてみたいとは思っていました」

「なら決まった。3連休の間、開催しているらしいから、パンフレットを取り寄せて、いつ行くか決めよう」

「・・・」

「どうした?」

「行きたいのは、行きたいのですが・・・何といいますか・・・覚悟が・・・」

「ん?」

「いえ、自分も雑誌に小説書かせて頂いたりしているんですが・・・雑誌で同人誌の紹介なんかありますよね。それを通販なんかで買ったりしているんです。そしたら雑誌以上に自由に表現されていて、こりゃどんな人なんだろ、とか、なんか雑誌で小説書いたりさせて貰ってます、ってな感じで接するのもどうかと思ったりして・・・」

「そんなに構えずに、一観覧者として接したらいいんではないか?私なんかそれ以上出来ないんだし。別に肩書をひけらかすつもりもないなら、そんな事些末な事だと思うんだが」

「後・・・自分、多分、他のオタクよりオタクらしい事しているんだと自覚しているんですが、オタクっぽい人と付き合った事がないんですよ。学校にもそれらしき人達はいるんですが、どうも違う気がして・・・だから、どう接していいのか分からないと言うか・・・」

「私も、城くん以外にこんな話をし合える友人はいないぞ。でも、行ってみたい。それでいいと思うが」

「・・・そうですね。何事も経験ですね。敷居を跨がなければ次の世界はない。地方の即売会を経験していないと、コミケでもビビッてしまう。そういう事ですね」

「うむ。・・・城くんがその気になれば、バイトを頑張って、一緒にコミケにでも・・・(ごにょごにょ)」

「え?」

「いや、なんでもない!」

密かに葵には期待している作家がいた。淡河雲という描き手さんだ。彼?彼女?がそのイベントに参加するらしい、と言う話をどこからか聞いた。同人誌でどんな作品を描いてられるのかも知りたいし、即売会というそんな機会なら、もしかしたら本人とも会える、かとも思っていた。

でも、一人では不安だ。でも、城くんがいれば大丈夫。

通りを隔てた向こうからだろうか。カラスがカァ、カァ、カァーと三度鳴いた。それに答えてか、逆側の御所の遠く奥の森から、同じくカァ、カァ、カァーと三度聞こえて来た。

それは、教会のチャペルがリンゴーンと鳴った反動で動いた鐘が鳴らす、小さく続くリンゴーンという音にも思えた。



そして、中之島の即売会の当日、靖男はコーディネートに悩んでいた。

葵さんから誘われた、これこそ本当のデートだよな。もちろん、学生服じゃないし、でも即売会らしい恰好ってのも・・・どうなんだろ?それこそ分からないし、葵さんがデートだと思って張り切っている、んだと思うのに、それに相応しくない、なんだかおたくっぽい恰好をするのも失礼だろう。

悩んだ末に、靖男は、流行りのBANANA REPUBLICのなんちゃってTシャツの「BAHAMA RIPUBLIC」と表されたTシャツ(確かに靖男にしてみれば、本家であるBANANA REPUBLICのTシャツは、高くて買えないという事もあったが、数多く出回っている「なんちゃってTシャツ」、例えばAdidasをもじった「Adidesu(鯵です)」と、Adidasのトレードマークと言える上に伸びた3本の羽根が魚になっているデザインの様なモノよりも、よっぽどパクリ度が高いと思えたから、気に入って買ったものだ)にお洒落としては一張羅のMEN’s MELROESのパーカー、EDWINのフレンチクラッシックのジーンズにMEN’s BIGIのザック、そこにこっそりまいど君バッチを付けた出で立ちで家を出た。


葵も、昨夜から色々考えていた。

自分から言い出した事でもあるが、確かに恐らく「デート」になるだろう。かと言って同人誌の即売会だし、そんな華美な服装も如何なものだろうか?でも、城くんには、可愛らしい?いやいや、ここは年上の威厳として「素敵」と思われたい。

膝上のミニスカート?・・・却下。フレアスカートも歩くのに面倒だ。歩くんだから、パンツの方がいい。

箪笥の鏡とにらめっこした結果、トラサルディのジーンズにMAYSON GREYの紺色のカーディガンを合わせる事にした。


京阪の丹波橋駅で10時に待ち合わせ、特急に乗り北浜に向かった。

天満橋駅で降りて、造幣局の桜の通り抜けの辺りを少し歩いた。通り抜けの時期は過ぎていたので外から見る事しか出来なかったが、瑞々しい桜の若葉が、運よく恵まれた五月晴れの空の陽の光を浴びて、新緑に輝いていた。


のんびりゆったりお昼前。中之島公園に向かって2人で歩いて行く。

「ジーンズも似合うんですね」遠慮がちに靖男が言った。

「そ、そうか?」

「パンツスタイルって、初めて見た気がします」

「そ、そうだったかな?」

「もっぱら制服で会っていましたし、葵さんが大学生になってから、まだ数度しか会っていませんが、多分、ジーンズだけじゃなく、パンツで会ったのは初めてだと思います」

「ふ~ん、そうだったかもしれないな」葵はしらばっくれていた。そんなに数多く会っている訳では無い。高校生の時も、「付き合っている」というだけで何かと話題になるものだったが、大学生になったらなったで、「高校生と付き合っている」というのは関心を引かれるものだ。自ずと出会う機会も限られている。

だから、会った時の服装は、しっかり覚えていた。

「その・・・ジーンズみたいなラフな格好も、似合うんですね」

「そ、そうかな?」服装を褒められて悪い気はしない。

「家にいる時はゆったりとしたパンツだぞ。だが、外に出るとなるとだな・・・どうも体育の授業くらいでしかズボンを履いた事がないので、それを思い出されてだな」

「でも、弓道で着ていた袴も、言ってみればパンツスタイルの一つじゃないですか?」

「そうか?・・・確かにそうだな」思わず、笑みが漏れる。

「城くんも、しっかりまいど君バッチをザックに付けて。気合が入っているな」


天神橋を渡って、中之島の中州に入る。


暫く歩いていると、河原沿いの、舗装されていない土がむき出しの道にアーチがかかっていて、「第6回中之島同人誌即売会」と簡素に書かれていた。


2人は少し戸惑っていた。アーチをくぐっても、特に変化した所はなかった。ただ、土佐堀川の川沿いの道、川の反対側に白いテントが並んでいて、どうやらそこで同人誌を販売しているようだが、人はまばらで、「AUT」や「FUN ROAD」なんかで特集されている、熱気のような人だかりがあったりする雑多な雰囲気はどこにもない感じがした。


「・・・こんなもんなんですかね・・・」知らず、靖男は呟いていた。

「ま、まぁ、この辺は文学というか、少々マイナーな場所らしい。淀屋橋から漫画系の同人誌が並ぶブースを覗いてみればよかったのかも」

「まぁ、楽しみは後に残しておく、って決めていた事ですし」

小さなテントの下には2サークル程が場所を分け合って、簡単な組み立て式の机の上に数種類、10冊程度重ねてある。殆どのブースに立ち寄る人は無く、奥で所在なさげな人が1人、ポツンとパイプ椅子に座って煙草を吸っている。

とてもじゃないが、声をかけられる雰囲気ではなかった。

取り敢えず、2人は何気ない散歩をしている様子で、ちらちらとそんな様子を覗って歩いていた。


「あ、ちょっと待ってください」ふと、靖男が立ち止まった。


一つのテントの前に、手作りらしき白いのぼりに恐らく墨汁で手書きされた稚拙な文字で、「山 槍ヶ岳 小槍挑戦記」と書かれていた。机の上には、十数冊程度が粗雑に重ねられた表紙もあっさりと白い、20ページほどの質素な薄い、同人誌らしきものが置かれていた。

奥には、いかにも山男らしい髭もじゃの男性がじっと座っている。

靖男が行ったり来たりしながら覗き込もうと素振りを見せても、気にもしていない様子だ。

「あの・・・」思い切って靖男は声をかけた。ようやく靖男の存在に気が付いたように、男性は俯いていた顔を上げ、靖男の方を向いた。

「これ、ちょっと・・・汚さないように気を付けますから、ちょっとだけ試し読みさせて頂けませんか?」靖男は、思い切って声をかけた。

「まぁいいよ。どうせこんな本、誰も気に掛けないしな」男はボソッと小さな声で答えた。

靖男はそっと同人誌らしき冊子を一冊手に取り、パラパラとめくった。所々に白黒の写真が荒く印刷されている、前に座っている男性らしい武骨な文字が並んでいるだけの、簡単な本だ。

「小槍」とは、槍ヶ岳の山頂の隣にある、小さいが鋭い、頂には人一人も立てない、山とも言えない岩の尖がりとも言える岩だ。その小槍の根元に辿り着くまでも岩がガレている急坂で、とてもじゃないが登れるとは思えない。

思った通り、最後のページの荒い白黒の写真は、恐らく槍ヶ岳の山頂から撮影されたのだろうが、小槍の根元に男が2人立っている姿だった。

「やはり、無理だったんですか?」

「あぁ、取っ掛かりさえ見つからなかった。俺達レベルじゃ、そんなもんだったんだろうな。でも、小槍の下に立てただけでも満足だった。その鋭利な頂きを、真下から眺められただけでも、俺の力量なら満足だった。だから、「挑戦記」であって、「登頂記」じゃないんだ」淡々と男は答える。

「でも、槍だけでも凄いです!僕も大学生になったら、槍に登ろうと思っています。『山と渓谷』で、槍の山頂から広がるパノラマの写真を見た事があります。そこに写っていた小槍は、登れるとは思えないほど鋭かったし、そこまでのルートも、どこからたどればいいのか分からないほどです。そんな小槍に挑戦するだけで凄いと思います!」

「・・・持ってけ」

「はい?」

「もともと、100円で売っているちっぽけな冊子だ。コピー代で150円、もともと赤字だ。気に入ってくれたのなら、今回は特別だ。次回は奥穂高の岩を登る予定だ。それも、こんな感じで手記にする。気が向いたら、今度は定価で買ってくれ」

「・・・」靖男は手にした冊子に躊躇っていた。

「いいんだよ。こうやって山好きに知り合う為に、こんな感じに赤字で出店しているんだ。出会えた事が嬉しいよ。・・・まぁ、こうして話しかけてくれたのも、今日は10人を超えたかどうかだがね」

「あ、ありがとうございます!」

「滋賀の山岳会にいるから、何なら今度の夏にでも槍に連れて行ってもいい。君がそうしたければ、だが。教えられる事は教えてやる。まぁ、メジャーな山は、思っている以上に登れるもんだ」

「そうですか・・・僕なんかでは、とてもじゃないけど、そんな風に思えません」

「あんまり持ち上げなくていい。さあ、持って行け」そう言った男の顔は、少し照れ臭そうに見えた。


「『僕』なんて言っていたね。普段は、『自分』って言っているのに」

手にした小さな冊子を持って戻って来た靖男に、葵は嬉しそうに声をかけた。

「それは年上の人だったし、緊張していたから・・・なんか一見の人に、『自分』っておかしいでしょ?」

「いや、城くんに、そんな姿勢があるとは思ってもいなかったな~。でも、分かった気がする」軽く伸びをして、葵は言った。

「へ?」

「緊張しているのはお互い様なんだ。出店している人達は待っている。待っていてくれている。誰も拒んじゃいないんだ。だから、興味を持てば声をかければいい。そうすると、きっと答えてくれる。それが分かった。だから、私も気になったブースがあれば、声をかけてみる。今の城くんの行動は、いいお手本になった」

「そうですね。きっと僕達も緊張していたんですね」

「あ、今、『僕達』なんて言った!」

「いいじゃないですか~。『自分達』ってのも、変でしょ」

「まぁいい。まぁいい」

そうして、少し積極的になった葵は、それまで散歩者のように振舞っていたのを、テントの方に視線を向けて、色々興味深げに歩き始めた。

そういうふうになった葵さんは積極的だ。やれやれ、と少し思いながら、靖男も様々なブースを物色していった。


「ちょっと待って」そういうと、葵さんが一つのブースに向かった。英米系の文学サークルらしい。そう言えば、葵さんは短大で英文学を専攻している。

思っているよりも話は弾んでいるようだ。

その様子を見ながら、時間がかかりそうだな、と、靖男は貰った同人誌、と言うか冊子を読み始めた。なるほど、面白い。岩壁に対して、何ミリのボルトを、その高さに合わせて何個用意すべきか、ハーネスはどの程度まで軽量化出来るか。そして、道無きルートで、どうして安全を確保しながら目的地に向かうのか。そんな事が、『山と渓谷』の、教科書的な話ではなく、素朴な本人の経験則として書かれているのが面白かった。

いや、『山と渓谷』の記事が面白くない訳では無い。ただ、上手すぎるのだ。何か綺麗に描かれている。それに比べてこの冊子で書かれている描写はゴツゴツと粗削りで、その分、リアルに感じられる。それが、生の声に感じられた。

一読して、もう一度読み返した頃、ようやく葵さんが戻って来た。嬉しそうにテトテトと小走りに帰って来た。手には1冊の冊子を持っていた。

「城くん、やっぱり同好の人と話すのは楽しいな」

「何を買って来たのですか?」

「これだ」誇らしげに葵が両手で持って突き出してきた冊子の表紙には、「英米文学愛好会」と書かれていた。

「へぇー、渋い本ですね」

「あれ?言ってなかったっけ?私は専攻が英米文学だ」

「ちょっと見せて下さい」

「いいぞ。オー・ヘンリーとナサニエル・ホーソーンを取り上げている。ちょうど、オー・ヘンリーは大学の講座の教材にもなっているし、ナサニエル・ホーソーンは『緋文字』が気に入った作品だからな」

「オー・ヘンリーは教材にしやすい文章ですし、『緋文字』のヘスタ・ブリンの凛とした生き様と、それに対する神父、あれ?牧師だったっけ、のダメっぷり、まぁ、最後はしっかりしていますが、はその対比から、アメリカへ入植し始めた時代の厳格な宗教制度が感じられる名作だと思います。・・・と、ナサニエル・ホーソーンなら・・・まぁ、やっぱり『緋文字』は取り上げていますね。後、あれはどうかな?あ、あったあった」

「何がだ?」

「『ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻』です。ほら」

冊子を痛めないよう気遣いながら、靖男は該当のページを開いた。葵が見てみると、「『緋文字』と異なるナサニエル・ホーソーンの意外な一面、短編小説群。その中から『ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻』を取り上げる」とあった。

葵は靖男から冊子を受け取り、読み始めた。


「まず、不思議な小説と言っていいだろう。小説にテーマが必要かどうかは議論の余地があるが、読者を引き込むエンターテインメント性は必須な要件だと思われる。

その点では、この作品、『ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻』は、一流のエンターテインメントであると考える。

短編だけあって、ストーリーは至ってシンプルだが、不可思議な、昨今流行りの幻想文学を先駆けた作品と言っていい作品の一つとも言える。時代設定も曖昧だが、逆に、何処でも、どんな時代ででも在り得るし、現代も起こっても不思議ではない作品設定だ・・・」


「ふむ」葵は一旦、目を靖男に向けた。

「変な話です。ある夫婦がいて、夫が少し旅に出る、と言って家を出ますが、実は隣の家に住んでじっと妻の様子を見続けている。数ヶ月、数年経っても帰らない夫を、最初は不安がったり、悲しんだり、便りを待ったりしている妻を、夫はただじっと観察している。そして、20年を過ぎた頃だったかな・・・あ、ここから後はオチになるから言わない方がいいです」

「なんだか、面白そうな話と言うか、夫の不審な行動は気になるな」

「そうなら、冊子も続きを読まない方がいいと思いますよ。オチが書いてあるかもしれませんから」

「そうだな・・・うむ、そうしよう。で、その『ウェイク・・・と、その妻』って作品は、どこに掲載されている?」

「ナサニエル・ホーソーンの短編集なら必ず掲載されている筈です。岩波文庫であったかな?」

「探してみる」オチが気にならない訳ではなかったが、そこは小説を読む楽しみだ。もう少しだけ冊子の続きを読みたい気持ちがあるのはあったのだが、取り敢えずはオー・ヘンリーの部分だけにしよう、そう思って葵は冊子を閉じた。


気が付けばもう1時間も過ぎていた。京阪の丹波橋で待ち合わせたのが10時だったから、太陽も南から西にやや向かっている。漫画のサークルが集まっているエリアに向かう前に、お昼にする事にした。

葵にすれば、少しでも早く漫画のサークル、特に淡河雲さんのサークルに関心があったのだが、お腹も、ちょっぴりだけど空いて来たし、城くんもそうだろうとも思う。

後、少なからずだけど、城くんに淡河雲さんが好きだ、って事を知られたくもなかった。別にお互い「おたく」だと承知しているのだが、何処か城くんは「正統派」のおたくみたいで、今、ちょっとおたくの世界で有名になっている淡河雲さんに興味を示すのは、どこかミーハーみたいな印象を持たれる気がしていたからだ。

そんな葵は、何気なく、

「お腹空いただろう。お昼にしよう」と靖男に声をかけた。

「でも、漫画のサークル回っていてからでも・・・」靖男もやっぱり漫画サークルの本は気になっている。

心の中では「もう一押ししてくれ!私も早くいきたいのだ」と思いながら、努めて冷静になったつもりで、

「お腹を膨らませてから挑んでもいいだろう」と、言った。

「・・・」少し逡巡してから「そうしましょう」靖男は答えた。


葵は、少しだけ、ほんの少しだけ、後悔していた。こうしている間にも、人気のサークルは完売していっているのかも、とも思っていたからだった。

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