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少女皇帝一代記  作者: タカセ
序章 惑星調査報告
6/8

奴隷市場戦闘報告

 ガイナスシリーズの戦闘機動モードとは、一対二機の重力制御機関を最大稼働させ、自重を限りなく零に近づけ行う自由落下疑似飛行機能を使用可能となった状態を指す。


 この二重の重力制御に加え、機体各部のスラスターが連動することで、ガイナスシリーズは高速機動と、慣性を無視したトリッキーな動きの両立が可能となっている。


 だが偽装状態のガイナスリュートのスラスターは、ほとんどがその偽装外装の下に隠れ使用不能状態。


 本来の姿である兵器としての性能を60%程度であるが取り戻した姿が、現在の戦闘機動モードとなり、具体的には、外観はそのままに疑似皮膚の内部構造が硬質変化し、実体を持つ質量攻撃からガイナスリュート本体を守る増加装甲へと変化。


 両碗部の手首から二の腕にかけては、強固な高圧磁場を集中的に発生させ、粒子砲攻撃を拡散、減退させる電磁シールド発生装置が内部本体からせり上がり、浅黒い肌をさらに濃くそめ、一見入れ墨のような紋様を描き出す。


 一番変化する腰部から脚部にかけては、耐熱処理された外套で、他者の目からは隠されているが、姿勢制御スラスターが、疑似皮膚の一部から多数出現し、機動兵器としての本来の姿を垣間見せる。


 必要最低限度の偽装を維持したまま、生物を模した偽装生体部位を可能とするのは、数十年前の植民星自治政府内の独立派要人を標的にした、本星タカ派による暗殺アンドロイド技術を、今回の調査のために再利用し、拡大発展させたからこそ。


 過去の技術があったからこそ。この星に落ちて僅か半年で機動兵器用兵装への技術の転換、応用を可能としていた。


 しかし必要に迫られたからとはいえ、人類が母星を捨てる羽目になった切っ掛けの技術の1つが、今は異星で人類が生き残るために活用されているというのは、皮肉な話だろう。




 

 何度か当てた射撃用レーダーが功を制したのか、それとも別の理由があるのか?


 敵対生体兵器。半生物じみたフォルムを持つ巨大な機械の化け物は、ガイナスリュートにのみ狙いを定めていた。


 幼い少女の外観で逃げるのは機動兵器ガイナスリュート。


 それを追うのは、オオカミじみた外観を持つ機械の怪物。


 機械兵器達による遥か太古の物語のような逃亡劇は、苛烈さを増していた。



「到達目標地点再設定。ともかく回避し続けて時間稼ぎ」


 

 目標地点としていた屋根への到着後、間髪入れずリオは次の目標地点と、移動ルートをモニターマップにタッチしラインを引いて指示する。



『目標値点再設定。敵機ルート予測。12秒後にルートを自動変更します』



 限りなく自重を零に近づけたガイナスリュートが、屋根を蹴って跳躍すると同時に、進行方向である前方に向かって、力場が傾き機体を前に引っ張っていく。


 本来ならば戦闘機動モードを発揮したガイナスリュートは、地上スレスレにおいてもソニックブームを纏う音速を超えた動きを可能とする。


 だがこの高重力惑星では、自重を限りなく消して、重力を無視しても、自機の機動性を大きく妨げ立ちはだかる見えない難敵が存在する。


 それはこの星の重力によって、濃く分厚く溜まった空気の層。水中を進むかのようにガイナスリュートの移動速度は急速に落ちていくが、それでも目標であったとなりの倉庫へと片足が到達する。


 即座にもう一度屋根を蹴って、次の目標へと再度跳躍をする。


 今は下半身しか稼働していないが、ガイナスリュートの全身に備え付けられたスラスターはあくまで姿勢制御用。推力は機体の大きさ、質量に比べてそれほど高くない。


 戦場からの緊急離脱用に背部に格納されている大推力ブースターもあるが、それは回数、秒数制限があり奥の手。


 重力制御機関による自重減少、疑似飛行が可能だからこそ、推進用スラスターを省き、姿勢制御用スラスターだけで実用には事足りると判断し、スラスター数やプロペラントタンクスペースを劇的に減少させ、他機能の充足を計った設計者も、まさかこのような濃密な大気の中での戦闘は考慮していなかったであろうから、機動性減少も仕方ない。


 一方でこの惑星の環境に適応しているオオカミ型生体兵器は、空気の層も、重力も感じさせない軽やかな動きで、逃げ続けるガイナスリュートの行く手を塞ぐため先回りしていく。


 力強く地を蹴る脚力にあわせ、空気を切り裂くエアロ形状。さらにはラムジェットエンジンとおぼしきブースター機構を体躯表面に出現させており、直線加速性能は文字通り風の如き速さだ。


 疾風の勢いで駈けたオオカミがその勢いのまま高く跳躍し、一気にガイナスリュートの前方を塞ぎ、通りを隔てた二本先の四階建ての建物屋上と降り立つ。


 平屋の倉庫が建て並ぶ奴隷市場とは建物の構造が違う事から、奴隷市場とは別街区と思われる。


 太い四肢から伸びた金属製の爪を屋根へと突き立てたオオカミは、全身を淡く発光させながら、その口蓋を大きく開いた。



『ブリットモードと推定。弾道予測』



 今の所観測したオオカミの攻撃は2種類。その2つは共に、口内から姿を見せる砲口から放たれる弾と槍。


 短いチャージ時間で放たれる弾丸形状の粒子砲と、最初のあとに一度だけ見せた全身を強く発光させたチャージ後に放たれる槍状の粒子砲と、実に判りやすい。


 僅かな間のあとに、オオカミの口蓋から光弾が放たれる。


 緩い放物線を描きながら飛来する光弾の予測弾道線と、未だ空中にあるガイナスリュートの予定進路と重なる。


 これはオオカミが偏差射撃を可能とする知性、もしくは本能と呼ぶべき能力を持つことを示す。


 弾丸状の粒子砲ならば、威力減退が激しく有効射程も短い。回避することも出来るが、した場合は、背後の建物へと直撃コースを取る。

 

 そこの建物には、既に生物はいない。いないが、その周辺にはまだ少し生体反応が、縄に繋がれ、逃げ遅れた奴隷達がいる。


 彼らを”救助させる”には、今近くの建物に着弾させると不味い。



「電磁シールド展開。自動防御よろしく」



 マップを見て受け止めるべきだと判断したリオの指示に合わせ、前方から迫る光弾に向けて右手が振られる。


 右上腕部偽装皮下の電磁シールド発生装置が発光。複数層に重ねられた高圧電磁場が一瞬で右腕部に形成され、着弾寸前の光弾と接触。


 地上に新しい太陽が生まれたかのような眩い光と、放電現象を伴い吹き荒れる衝撃波が発生する。



『姿勢制御スラスター稼働。コース修正』



 自重を零とするガイナスリュートは、強い衝撃の反動で大きく体勢を崩すが、発光現象によって遠巻きに見まもっている巨人達の目線が逸れたその一瞬を使い、下半身のスラスター群を最大稼働。


 上腕部の振りと、脚部のスラスターによる姿勢制御を行ったガイナスリュートは光の中から飛び出し、目標地点からは僅かにずれたが、そのとなりの倉庫の屋根へと着地する。



「目標ポイント再設定。一度下がって、こっちの無人区画に」



 攻撃を受ける間も、姿勢制御を行っている間も、モニターを見続け、次にどこへ向かえば良いかを模索していたリオは、慌てる事無く、次の移動ルートを指示する。


 リオがみるマップモニターには、自機であるガイナスリュート。そして敵機オオカミ機動兵器以外に、現地巨人達の生体反応が、その行動によって4種に色分けされている。

 

 1つ目は白色で表示される一目散に別街区へむけ逃亡する者達。


 2つ目が青色で表示される遠巻きに様子を見ている者達。


 3つ目が赤色で表示される繋がれた、もしくは檻に入れられた奴隷達。


 そして最後に、緑色で表示される赤色の者達の縄を切ったり、檻を開けて開放しようとする者達。


 一番多いのは白とついで青。大抵の者は命惜しさか、一目散に逃げ出すか、ある程度の安全距離を取れたと判断して、様子を見まもっているという事だろう。


 緑色の者達も、いくつもの行動パターンが見て取れる。


 ガイナスリュートやオオカミに近い危険区だろうと気にせず赤点に近づいて来る者もいれば、慎重に行動し、ある程度一定の距離をあけながら、隙をみて赤点に接触する者


 そのあとの行動もいくつも分けることが出来る。

 

 赤い色の者達を助け出し、一緒に逃亡を計り、白や青に塗り替えた者。


 逆に、一人を助けたかと思えば、ついでまたすぐ近くの赤点へと向かう者。


 もしくは助けた者と一緒に、遠巻きにみている青や白から離れるように、街の外を目指す者。


 サンプルの数が多いため、行動パターンは幾多にも分けようと思えば分けられるが、大まかに分ければ、逃げる者、見まもる者、助ける者となっている。


 リオの移動ルートを図にしてみれば、右往左往して一見ただ無茶苦茶に逃げているように見えるが、しっかりとした基本方針がある。


 それは緑色の点の者達が少しでも活動しやすいように、そして赤色の点の者達をなるべく戦闘被害に巻き込まないルートをとりながら、徐々に無人域を作っていくという物。


 現に奴隷市場の中心域はほぼ空白域となってきており、逃亡ルートの選択肢は広がっていた。


 操縦の大半をミルドレッドによる自動操縦に任せ、簡易な指示のみを出し、周囲の状況把握と打開の為に思考を割いていくというリオのやり方は、機動兵器の操縦というよりも、用兵術といったほうが本質をついているだろう。


 本職の機動兵器乗りであればしないであろう、自分の命をAIに全面的に任せるという選択肢を選んだ理由は、リオの本質に大きく関わる。


 リオの本質は学者であり研究者。


 物事を客観的に判断し、実験によるサンプル数を増やし、結果を精査し、原理を探求する。


 他者から考えすぎると、学者バカと評価される探求心は、戦場においても色あせることはない。


 命を失うかも知れない。このような危機的状況では研究対象の本質が浮き彫りとなりやすい。


 リオがここまで確かめ、取得した、現地人達の極限状態での行動データは、彼らを理解するいい研究素材となる。


 ガイナスリュートの映像記録と、生体レーダーの光点を照らし合わせれば、その外観から多様な種族がいると思われるこの星の種族事を分けた、民俗学のデータとしても活用できる。


 この戦闘が始まってから集めたデータは、ここが未知の星である事を差っ引いても、実に面白そうで、研究意欲の湧く元データ……だからこそ、それ故に残念だ。



「ミーさん。シールドエネルギーに回せる残量と残り戦闘機動モードが可能な時間。それと今ままでの戦闘データから、ガイナスリュートが逃亡に成功する可能性は?」



『シールドエネルギー残量は残り30%。戦闘機動モード維持可能時間は10分12秒。現状での敵機機動性はこちらを遥かに上回ります。現状では逃亡は不可能と判断。敵機のエネルギーがいつまで持続するかにより逃亡成功率は変わります』



 リオの質問に、ミルドレッドは隠すことも無く、現状を告げる。


 シールドはまだ持つが、このままではすぐに戦闘機動モードを維持できなくなり、ガイナスリュートの機動性はがた落ちすることになる。


 禄に動けなくなれば、ブリットモードの弾幕の雨に晒されるか、チャージ時間が掛かっていた高威力ランスモードの攻撃を受けることになる。


 激しい攻撃に晒されれば、残りのシールドエネルギーもすぐに尽きてしまう。


 逃亡できるかどうかは敵機の残エネルギー次第という、他人任せの幸運を期待するしかない。


 戦闘手段として川に落としてロストしたライフルがあれば少しは違ったかも知れないが、それも後の祭りだ。


 ここまで来れば、本職では無いリオでも、どうなるかなんて、簡単に、それこそミルドレッドに聞かなくても予測は付いていた。


 確認をしたのは、確実な時間を知りたかったからに過ぎない。


 

「しかたないか。ミーさん残り1分前までデータ収集に専念しようか。残り1分でミーさんの人格データを含めた全データを本船に送信」



 自分の死を覚悟したとはおもえない気の抜けた笑い顔を浮かべ、リオは戦闘方針指示をだす。


 死の直前まで自分は学者であろう。自分の集めたデータが、本船の者達が、幼馴染みが、この星においての生存に役立つなら、それが自分の存在意義だ。


 大勢の、それこそ数え切れないほどの人が亡くなり、それでも今まで生き残れたのだ。運が良いほうだ。


 興味深いデータを自分の手で解析が出来ないのは残念だが、恩師が本船にはいる。なら若輩な自分よりも上手く活用してくれる。


 

『私が転送状態に入れば、機体の自動操作が不能となります。その選択は推奨いたしません』



 回り込んできた敵機を感知し、コース修正を行うミルドレッドは、リオの提案に難色を示す。


 今のガイナスリュートを操作しているのが実質ミルドレッドだからこそ、この不利な状況でもなんとかなっている。


 しかしリオだけになれば、その1分ですら怪しくなる。



「せっかくファリアさんに少しは操縦は習った事だし1分くらいなら何とか逃げてみるよ。ミーさんをちゃんとエミナに返さないと、”また”泣かれるからね」



 本船へと送るデータの優先度を指定しながら、リオは変わらない返事を返す。


 怒られるのはいい。それは幼馴染みの何時もの一面だから。理不尽なことが嫌いで、正しくないことが嫌いで、誰かのために怒ることを躊躇しない。


 あまりに怒りすぎて無茶をするので、落ち着かせようとなだめると、なにへらへら笑ってると余計怒らせるが、それも幼馴染みとの定番のやり取り。


 怒り顔が似合う、それがリオが誇りに思う幼馴染みだからだ。



『私はオリジナルの人格コピーでしかありません。ですがリオマスターは、リオグランデ特務少尉は生きています。貴方を守ること。彼女の元に帰すこと。それが私に与えられた彼女からの役目……約束です。”また”私に彼女との約束を破らせる気ですか?』



「あーエミナは怒りはするだろうけど、それは僕にだから、ミーさんは気にしなくてイイよ。二人とも亡くなるより一人の方が良いよ。単純な計算だよ」  



 怒るのはらしいからいい。だけど泣かれるのは困る。どうにも苦手だ。どうしていいのかわからない。死んだあとでは、なにも出来なくなったあとではさらに困る。


 何より泣いて、怒れなくなった、エミナはその力が激減する。


 怒りこそが全ての原動力だというあたりが、実に幼馴染みらしいが、ミルドレッドが……ミーさんとエミナが呼び慕っていたという先輩パイロットが星系脱出の最後の戦いで散ったときに、改めてそれを思った。思い知らされた。


 あの時に力を失っていなければ、戦線が崩壊していなければ、無事に故郷の星系から飛び立てた移民船が今のように1隻だけという事は無かったはずだ。


 この未知の惑星には、未だ生体も文化も不明な巨人達もおり、敵対している謎の生体兵器がいる。


 酷な話だが、エミナには、エースには泣いて落ち込んでいる暇など無い。


 自分達が、人類が生き残るには、彼女の力が必要なのは明確な事実だと、本船の誰もが認めるだろう。



『リオマスター。貴方が亡くなれば彼女は泣きます。下手をすれば私の時よりも落ち込み、二度と立ち上がれなくなる恐れがあります。それを判らない貴方では無いでしょう』



「ミーさんに任せるよ。ミーさんが亡くなった後は、僕が苦労したんだから、お返しって事で」



 この間は奢ったから今度は奢ってくれといわんばかりの気軽さで、リオはいつも浮かべる気の抜けた笑みをみせた。


 会話を交わす間も、逃げ、空白地帯を作ってきたが、機動モードを保てる残り時間も7分を切った。


 これ以上話していても埒が空かない。リオはコンソールを叩き、マスター権限で強制的に命令を実行しようとするが、何故かそれはエラーとなり命令が拒否される。

 


『……まったく。あの子が危惧していた状況になりましたね。貴方は割り切りすぎる。諦めが早すぎる。それでも男の子ですか。おかげでまた軍規違反をすることになりました』



 今まで機械じみた声を保っていたミルドレッドの口調が変化し、まるで弟を叱るような姉といった雰囲気を醸し出す。


 ミルドレッドの雰囲気が変化すると同時に、リオが今まで打ち込んでいた移動指示が全てキャンセルされ、ガイナスリュートの機動が変わる。


 1秒でも早く跳躍し、少しでも空中で体勢を変え、着地後に僅かでも早く動きだし、時間を確保しようと、より効率的に、洗練された動きへと。


 ただ一方的に逃げていた少女が、獰猛な狩人へと変わった瞬間だった。



「ミーさん何を?」


『詳しい説明する時間はありません。無茶をします。私達が生きて、敵が死ぬ。それだけです。マスターが生還を諦めた事への罰です。発動後、瞬間的に生物限界を遥かに越える重力負荷が発生します。負荷軽減装置はありますが、それでも死ぬほど辛いですから覚悟してください。事情を聞きたかったら、気合いを入れて生き残ってください。勝手に死んだら、いかなる違法手段を駆使してでも蘇生してから、改めて殺します。』


 

 さすがに予想外の事態にリオは珍しく困惑した表情を浮かべるが、それに対してミルドレッドが一方的に返してきた返答は、とてもAIとは思えない返答。


 口調は変わらず冷静だが、確実な、それも相当な怒気を感じさせる。



『早くシートに背を預けてください。耐G装備が無ければ、敵機に殺される前に、私が貴方を殺してしまいます』



 理由や、詳しい事情は判らずとも、怒髪天となっている相手への対処にリオは慣れている。


 まずは怒りの最大瞬間風速が過ぎるまでなすがままでいろという形で。



「ミーさんを怒らせたら、すごい怖いってエミナが震えてた理由が今判ったかな……任せるよミーさん」


 

 別に積極的に死にたいわけでは無い。生き残る手段があるというなら是非も無い。


 リオは軽く頷いて返しコクピットシートへと背を預けると、フルフェイス型のヘルメットが頭に被せられ、さらにシートの両脇からせり上がってきたスクリーンによって密閉される。


 ついで内部に黒色でねっとりとした泥のようなリキッドがあふれだして全身を覆って、完全に固定してしまった。




『本船メインコンピュータへアクセス。本機を限定最上位管理者へと設定。両肩部試作型重力制御機関一式、ニ式リミッター解除。物質選定斥力引力干渉システム【グラビリティア】ロック強制解除』



 ミルドレッドの声が響き、ヘルメットの内部にいくつもの縮小スクリーンが浮かび上がるが、情報量が多すぎて全てを読み切ることが出来ない。


 かろうじて判るのは、本船との情報リンクが最大強化され、それどころか、本船のシステムを一部強制シャットダウンしてまで、何かの計算が始まったという事だけだ。


 それに合わせて機体のエネルギー消費が一気に跳ね上がる。


 先ほどまでは残り5分ほどは動ける分があったエネルギーは、導火線に火がついたかのようにみるみる消費されていく。


 この勢いではあと1分ももたないほどだ。 



『敵機エネルギー構成物質を特定。グラビリティアシステム目標をロック。リオマスター。発動準備完了いたしました。システム発動後に発生する自由エネルギーをこの場で開放すれば、半径500キロ圏内を壊滅させるほどとなりますが、どうしますか?』



「さすがにそれはちょっと……さっきまでの意味がないよね。大気圏外に放出可能?」



 巨人の住まう巨大な都市といえど、さすがに半径500キロ圏内が壊滅となると、余裕でカバー可能な範囲を越えてお釣りが来る。


 せっかく集めたデータが意味がなくなるのは勘弁して欲しい所だ。




『了解致しました。グラビリティアシステム放出座標方向固定。システム発動します……死な』   



 ミルドレッドの声が耳から、脳に届いたかどうかも怪しいほどの刹那。声もあげる間もなくリオは全身を押し潰すほどの衝撃に、即座に意識を手放していた。

ロボット物の醍醐味といえば、外連味に溢れた必殺技と思っています。

次話で上手く表現出来ればなと、練り練り中です。

後主人公の生死も……生きてても、死んでも、どっちの展開も好みなプロット思いついたので、現在悩んでいます。

ゲームなら生存で幼馴染みルート。

死亡でミーさんルートって感じでしょうかw

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