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竜がいる国の物語  作者: 朱雀
第1章
9/90

名前

朝早く出発後、昼近くに森に入ることができた。

鬱蒼とした感じだが、樹海に比べたら歩きやすいし日差しが心地良く差している。

砦の兵士たちの報告では森に入って1時間もすれば見えてくるという。

どんな色の番の竜だろう、ちょっと楽しみ。


本当は歩くつもりだったけどアスランが降ろしてくれなかった。自分もついていくつもりだったのか先頭を歩き始めたと思ったら走りはじめやがった。悲鳴をあげるまえにしがみつくのが精一杯で綱を引けない、落馬するどっか骨が折れる、首や脊髄折れるのはイヤ。

痛みがきた、でもこの痛みは誰かの腕がまわされて引き寄せられた力強い痛み。全力疾走中開けられなかった目を開けてみるとエリオット王子がホワイト号の上に引き寄せてくれていた。蒼白な顔色をしている。


「なぜ、全力で駆け出した?」


「何もしていません、突然走りはじめたんです。」


走り去ったほうに馬を進めながら2人きりで探し回る。


「何か大型の獣とかいるのですか?」


「ここには凶暴な獣はいるとは聞いていなかったが。」


「ここの地域はエリオット王子殿下の管轄ではないのですか」


「仰々しい名前で呼ばないでほしい。エリオットでよい。」


「エリオット王子」


「エリオット」


彼女でもないのに呼び捨てにできない!まして王子様、でも納得してくれなそうだし


「エリオット様と呼ばしてもらいます。他の人たちのいる前では敬称なしでは色々と意見という文句を言ってくる人たちもいますから。


ちょっぴり不満そうなお顔。こっちのガラスの心臓がもたないのです。納得しろ。

心の声が聞こえたのか了知してくれた。が


「巫女姫とはよびたくないので、名前を教えて欲しい。」


はっ?名前?言ってなかったかな?日本名を言っていいのか?黒髪黒目がいない世界で和名は心配。やっぱり偽名にしておこう。


「ルーラ・アリシャンです。」


「きれいな名前だ。これからはその名で呼ばせてもらう。」


恥ずかしすぎて会話が続かなかったところでアスランがいた。何か食べている。木に甘そうな匂いのする実がなっている。桃かなと思ったら梨に近いものだ。

そういえば果物が大好きだったけ、神殿でも林檎食い尽くしてたなぁ。

見渡すと何かの木の実がなっている木々が沢山ある。もしかしたら、ここにいる竜は果物好き?



王子と巫女姫とはぐれた側近と領主の代理の従兄弟たちは、竜と人の捜索に右往左往していた。

焦っているのは側近だけで従兄弟はあの二人を今の関係をすすめるためにもしばらく探さないようにして竜の探索のほうを優先するように誘導していった。目的は同じなのだから、竜のところで待っていればいい。もしくは竜のほうがわかるかもしれないとの希望的観測も付け加えておいた。



アスランが貪り喰っている間は待っているしかなかった。満足するまで時間もあることから私たちも周りの熟しているらしい実を食べてみる。アスランのほうは梨、ピンク色は桃だった、白い実はなぜかバニラ味の実。甘すぎて食べられない、甘いもの好きらしいアスランは見向きもしない、口元に持っていても食べなかった。誰が食べるんだよ、本当に竜しかたべないのか?

あちこちの実を味見していると探していた竜があちらから来てくれた。


エメラルドグリーン色の竜。森の中にいたら保護色で見分けづらいかも。

お互い緊張と王子と馬と私と竜での四すくみ状態。

サラちゃんもエミールもブレスしたとこ見たことも聞いてもいないが出来ないことは聞いてないが出来ることも聞いてない。もしかしたらあるかも?でも吐いたらエサもなくなっちゃうから吐かないかも。

お互い目線で睨み合いならぬ考え中で首を傾げたり横に一歩又戻ったりしていると思い出した。


こちらの世界に呼ばれたときに竜に存在を証明するための物。一見どこにでもあるネックレスなんだけど素材が鱗でできている。プラチナ色。

手にとって見せると


『我の名はサム、番の名はエル』


「卵見せてください。」


出会えたことが嬉しすぎて直球で話してしまった。


『もっと驚くか感動の言葉か挨拶はないのか?』


「はじめまして、出会えてうれしいです。そんで卵見せて!」


呆れ顔ぽい表情ながら見せてもらえることを約束してくれた。ただし、ここにある実を全種類集めてくれればよいと。

5~6種類の実があり、王子にも手伝いもらいながら集め始めた。問題はアスランが食べている実。美味しにはわかるが少し分けてもらわないと卵を見せてもらえない。ちょうどアスランの届かないところにも実がなっており、背の上に乗り2,3個もぎ取ったと同時に後ろに待機してもらった王子に受け取ってもらう。そうでもしないと食べられてしまう、王子だろうとこの際役にたってもらわないと。



巣の近くで、側近たちと王子の従兄弟殿と会えた。

捜索と探索に分かれようと話をしていたら竜が飛び立つのが見えたのでその辺りを探せば出会えるはずと向かっていたそうだ。


エルに集めた実を食べされながら卵のこと、この地にとどまって育てるのかを聞いてみることにした。


「ここで子育てしますか?」

『安全な場所を提供してくれるなら移動も考えよう。』


「ここは安全な場所でない?」


『もうすぐ卵を奪いにくる輩がいる。』


竜の卵は大変珍しく側に育てたいのと、親竜はその間卵を守るためにいろんなお願いをきかせることも可能。そりゃ良いことも悪いことも叶えてもらえる。

そのため保護の名目で各国が争うように連れ帰ることも。


「サムとエルはどうしたいの?希望の地はあるの?」


このまま話して卵を保護してもらうこともできたがサムとエルは一旦保護してもらい、自分たちの信頼に値する人物がどうか見極めてみようと思った。違ったらその地を離れればいいことだ。翼をもたない人は竜には追い付けないのだから。


『移動するにしても卵を優先して運んでほしい。そなたたちと共に移動しよう』



卵は馬の背に乗るくらいの大きさだったが何せ丸いのでマントと毛布でグルグル巻きにして括り付ける。そして、すぐにこの地を離れようとしたが遅かった。

略奪者達がすぐそばまで来ていた。



一応こちらは高位の貴族や王族がいる事もあり全員隠れての様子を伺う。

隠れていると一行が見えてきたが、先頭は第2王子だった。周りは取り巻きだろうか?

それらをちょっことの怪我で退散させなければならないのは難しいのではなかろうかと側に王子の顔をみれば険しい表情、周りの人たちも同様。

一緒にいるもう一行のほうが好ましくない相手という。アセミル国の王子一行。

国交がない常に領土拡大を狙っており周辺国を属国にするか少しずつ侵入していつの間にか領土としている。取り込まれた国は片手の指以上とか。


隠れるという選択肢がないのなら戦うか逃げるかの二択しかないのだが一歩間違えば戦争になりかねない状況。どうしよう。



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