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竜がいる国の物語  作者: 朱雀
第1章
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砦へ

アスランは毎日のように厩舎から脱走するので結局は神殿のほうで世話をすることになってしまった。

神殿には迷惑かけっぱなしかも、そして人一人の世話と馬の世話とで大変かも。

アスランが側に来てくれたことで外出するのに遠慮はいらなくなった事だし自由に郊外に散歩と称して出掛けはじめた。


自由に出掛けられたのはいいが絶対後ろか着いてきているのは見張りですよね。たまに側近と思われる顔ぶれも見えますよ。変な事はしませんよと大声で言いたいが剣の修行とうたって街道沿いに出てくるゴロツキどもを退治しに行くなんて言えない。しかも不穏な雰囲気を察してか出てこない。結局は馬の散歩に出かけて帰るのを繰り返し日々になってしまった。


剣の練習(討伐?)が出来ないなら毎日のように見張りにくる人達にお相手をしてもらうことにした。

神殿では難しいとのことで郊外に出たところで練習とか思っていたらお城のほうで兵士相手にさせてもらえることになった。

サラちゃんには習った、実践も多少は行った、実力はどうなんだろうと思ってた。

新兵、中堅兵、兵長クラスの人達にも勝ってしまった。ちょっと微妙な空気が流れ始めた時に王太后が現れてくれた。


「まあ、さすが竜の巫女姫ですね。武術もできるとは心強いですわ。」


言葉がでない。さらっと隠していたことをバラさないで下さい。今の私は三つ編みのをツインテール風にしておおぶりのビン底眼鏡をかけているんですから。伝承の巫女姫はおきれいで優しい雰囲気の儚げな女性と言われているのにイメージが崩れるようなことは...。


「お昼からはわたくしの相手をしてくれる約束でしたで呼びに来ましたのよ。」


???約束はしていないが断れない。

相手をしてくれた兵士さん達にお礼を言い王太后の後をついていく。

途中、女官達につかまり入浴、着替えとお化粧が待っていた。女性だからきれいなドレスとか好きだけど化粧はすきじゃない、口紅は許容できたけど白粉はダメだと断固拒否。白粉をするしないの攻防中になかなか来ないのにじれた人が呼びにきた。


迎えに来てくれたのがエリオット王子だったので、待たせては申し訳ないので白粉なしで王太后の元へ行くことができた。

王太后は始終ニコニコと笑顔で前回と同じ顔ぶれでのお茶会。

無難な話をしていたと思っていたら唐突に


「竜を探しにいくあてはあるのかしら?」


「旅商人が集まる街を中心に聞き込みしながら周ってみようと思っています。」


「この国から出て行ってしまうのか?」戸惑い気味の声で聞かれてしまった。


「出ていくとかそういうことではなくて竜に関する情報がほしいのです。」


「ならばこの後地方の砦周辺を見回りに行くことになったから一緒について周ればよい。」


突然の申し出にこちらが戸惑ってしまう。考え込んでしまったのがまずかったのか王太后と王子は良い名案だと話し込んでしまっている。私の意見は無視ですか?と問いかけたいが、この辺の地域は疎いので王子と一緒に着いていくのが安全策かもしれない。


「明後日には出発できるそうだからあなたも一緒に行ってらっしゃい。持ち物はそれまでに私と一緒にまとめましょう。」


逆らえない。断れない。度胸を決めて


「よろしくお願いします。」


切れ長の緑色の瞳が笑顔でこちらこそと頷いた。



一緒に行くといっても私は途中までの町まで待っていることになると思っていたが、王子は砦まで連れていくつもりだったらしい。そこは丁寧に辞退し宿をとった町で待っていることを約束して別行動になった。一人じゃなく側近の一人が護衛の形で残ってくれた。


町と言っても交易の道になっているらしく、思っていたより栄えている。市場や食堂と言ったらよその国からの情報が聞ける。ちょっと必要な品物を買い物しながら店主から話を聞いてみたが、やっぱり竜の話は出てこない。生活に関係のないことは聞かないよね、しかも竜なんて一生に一度も見ないことなんか珍しくもないと言われてしまった。調べる方法を間違えた?

それどころか娘が一人軍馬に乗っているのが珍しく幾度も売ってくれと商人や裕福な身なりの人から声を掛けられることが多い。側近のミシェルが全て断ってくれて助かった、それでなかったら夜中に盗まれたかも。


砦から帰ってきた王子一行はすぐに王城に帰るかっと思っていたら暫く、ここの町の偉い人のお屋敷に泊まるという。それならば私は先に帰らせてもらうというと一緒に滞在することになっているのでついてくるようにとの伝言。

ミシェルさんは知ってたらしい、恐縮そうにこの地方は一応安全圏何よりも王子の母君の里。


領主の館なら市民より知らない情報があるかもしれないと思い直し、伝言をもって来てくれた人についていく事にした。

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