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小話
エメラルドグリーンの番の竜。
傍には次代の王の竜が眠る卵。
「東の国では黒竜が生まれたそうだ。これから人にも竜にも生きず世の中になりそうだ。」
「竜の王が生まれてこなければ、戦乱が避けられないませんね。」
「黒竜の国の王は野心家と聞こえてきている。周辺の国々や属国の国からは子竜が黒竜の食料として召しあげられているそうだ。」
「この子が生き残れるのでしょうか?」
「竜の王を育ててくれる人間がこの世界に来ているはずだ。出会えなければこの子が大人の竜になることはできないだろう。」
繁栄の道標になるか滅亡の道標になるかは一人の人間に託さなければならない心苦しさを。