散歩
馬に乗るって大変!
目線が高いのと腰が痛い。意外と揺れる。そして、莫迦にされているのか時々走る、突然止まる。そのたびに馬から落ちそうになるか、落ちている。
エリオットさん、優しそうな顔をして超スパルタ式で鍛えられています。手綱をしてくれるかと思ったら、実践。又、実践。
暫くすると、神殿を出て近場を走らせることまで出来るようになり明日は郊外まで行けるようになった。
エミールとロランには明日は郊外まで出かけるので会いにこれないことを話す。
「お一人で出かけれられるのですか?」
「黒馬とエリオットと一緒に出かけるの」
「『え』」と1竜と1人の声がはもる。
???どうゆうこと???
しばし二人?は小声で
『常識とこの国のことは教えてたはずだけど王族のことは教えたの?』
「いいえ、もしかしたら誰も教えてはいないのでは?」
『「......」』
振り返った1竜と1人は少し真面目な顔でお小言をいただくことになった。
よく眠れなった。朝ごはんもろくに食べれなかった。
顔色は青を通り越して白い顔色。断れば失礼にあたるし、行けば問題あるしと結論がでない。
お莫迦とは言われなかったけで、せめて人間関係でも聞いておけばよかった。
噴水のあたりを行ったり来たりしてるしかなかった。
王子様みずから2頭の馬を連れてきた。やっぽり王子様は白馬なんだ。が、後ろから側近たちと思われる人が2~3人ついてきた。微笑しながら、
「行く前に、この黒馬に名前を付けたらどうか?」
「......」親し気に話してくれるのがいいのですが、怖い、後ろの人たちが睨んでいますよ。
「ちなみに白い馬のほうは、ホワイトという名前をつけてある。黒馬の番にしようと思っているのでかぶらないよう名を与えてほしいのだが。」
一言も話さない私に不審におもったのか、後ろを向いて
「お前たちのは帰れ、彼女と2人で行ってくるから」
王子を除いてその場の全員がビックリ。側近たちはアワアワしてるし、私まで一緒になってアワアワしてしまった。全員で無理です、せめて1人だけでもと言ってるし私もついでに襲われても助けるどころか
足引っ張りますと言ったが全然聞いちゃくれなかった。渋々、城のほうに帰ることになってしまったが
帰り際に側近の1人が離れてついていきますので心配しないで下さいと言ってくれた。
今の私は、ビン底眼鏡に左右に三つ編み、お世辞にも美人とは言えない恰好ですものね。勿論、剣も腰にさしています。
郊外に向かって馬を走らせるながら、名前まだ決めてなかったなぁとかごめんなさいと謝るか開き直って知らないふりをするか又考えてします。
長く走らせていたので、小川で水をのませるながら休憩をとることになった。
「名前は決まったかな?」
「えーと、なんとなく強そうな名前が浮かんだので『アスラン』と名付けようと思います。」
「あの子にあっている名前だね。」
と微笑みかけてくれる。まともに見れない!かっこよすぎるよ。
もうこれは素直に謝ったほうがよさそうだ。口を開きかけたところで、殺気立つ気配が辺りを支配した。
見回すと顔を隠し剣を構えた男たちに囲まれている。
声に出せないけど心の声は悲鳴だよ。王子を見ると険しい顔で剣を構えている。
正体不明の男たちから
「一緒にいるとは不幸な事だが、苦しまぬように楽に往けるように抵抗しないことだ。」
悪党のセリフて似たようなものなのね。
斬ってもいいけど一応確認のために「全員、切り伏せていいのですか?」
ちょっとびっくりした表情をしたが、無言で頷いてくれた。近場の賊を切ろうとした瞬間、離れて着いてきていた側近の人たちが後ろから加勢しはじめた。
切り伏せようとし始めたと同時に私の手を引っ張り馬上から安全圏に駆け出した。
馬にはかてなかったのか側近たちに阻まれたのか賊は追ってこなかった。
アスランは並走、ホワイトに2人乗りだけど流石軍馬早かった。
2人とも無言だったけど、なんとなく王子様は理由を知っていそう。しばらくすると、独り言のように事情を話しはじめた。
エリオット王子は、国王陛下の5番目のお子でさらに2番目の王妃陛下のお子様。同母の弟王子さまもいらっしゃるとか。大体王位継承は早い者勝ちなので長兄王子が後継者になる予定だったが、今は病に伏せっている。王子妃との間にはまだお子様はいないせいもあり俄然2番目の王子が次期後継者に。ただこの王子素行が悪いと評判、国民らはこいつが王様になったらすぐに戦争始めるか、攻め込まれるか国自体がなくなりそうだとの話はちらほらとあるとかないとか。3番目は小さい頃に亡くなり、4番目の王子は後継者争いなんて一抜けたとさっさと公爵位におさまってわたくしは関係ありませんとの姿勢とか。
そうなると必然的にエリオット王子と2番目王子との後継者争いになっているとか、表立ってはないが、貴族たちのお伺いやさっきみたいな賊がデートの誘いのようにくるのだと話してくれた。
後継者争いは国と人を荒廃させてしまうし、下手すると隣国から攻められ国そのものが無くなってしまう大変のことだ。
私は聞いていることしかできなかった。
辺りを散策していると側近たちが追い付いてきた。このまま散策していても又賊があらわれそうなので、神殿へ帰ることにした。
朝会った時には、渋い顔をしていた面々はにこやかな笑顔になってる。私のほうが渋面になる、なぜだ?
その理由はエミールとロランに会って理由がわかった。
賊から離れるときか馬に乗るときに眼鏡を落としてしまっていた、全然気がつかなかったよ。