第3話 無限ループって怖くね?
前回のあらすじ
ガリッ。
あっ...。
「ご、ごめんな。そんなに思い切り口を閉じるとは思ってなかったんだ。」
絶望顔から進化して、FXで有り金全部溶かしたような顔をしている。
噛み砕いてしまったのがショックだったようだ。
いや、これは退化しているのか?
「もう諦めました。もうどうにでもなれです。」
口だけをもぞもぞ動かす。
拗ねてる様子も可愛い。
というか、この状態が一番大人しくて問題を起こさなさそうだからずっとこのままでも...と思う俺は残酷なのだろうか。
「本当にごめんな。お前のことわかってなかった俺も悪かったからさ。」
実際は俺には責任あまりないと思うんだが、慰めておく。
哀愁に満ちたその顔は無条件で吹きそうになるので、そろそろやめてほしい。
思いが伝わったのか、表情を戻して話し始めた。
「お前はやめてください。ご主人様につけてもらった名前があるのですから。一応自己紹介しましょうか。私の名前は 逢依です。超絶優秀なご主人様のロボットです。」
「じゃあ俺もついでだし、しておくか。俺の名前は、夜尽紀暗黒だ。まぁ未来でご主人様だったのなら知ってると思うけどな」
やっとこいつの名前がわかった。
逢依か。未来の俺はどんな思いでロボットに名前を付けたんだろうか。
愛が語源なのか、と推測するのは安直過ぎるか。
「それで、これからどうするつもりだ?」
両者の自己紹介が終わったところで本題に話を戻す。
逢依はどうするつもりなのか、というかそう簡単に異世界に行くことができるのだろうか。
「そ、それがですね。異世界に行くことだけを目的にここに来たので、私未来に帰れないんですよ。」
「帰れないのか。」
「あの、ご主人様。もう一度聞くんですが、私と一緒に異世界に行ってくれまs」
「断る」
「そんな食い気味になって言わないでください!」
逢依が半泣きになったが、そんな程度では俺は動じない。
異世界なんぞに行ってたまるか...。
俺にはしっかりとした未来が待ってるはずなんだ。べ、別にニート生活なんてしないし...。
「ていうか、未来からここに来るのとかどうやったの?あと異世界とか本当に行けるのかよ」
異世界に行きたいと思ってるわけではなく、ただ単に気になったので聞いてみた。
「おぉ、よくぞ聞いてくれました!未来での私とご主人様の科学力は世界一と言っていいほどのものだったんです。タイムマシンも作りましたし、時間の循環の法則を見つけ、それに基づいて異世界に行ったり、生命の循環について研究したりしてました。詳しく言うとですね......」
逢依の話はおよそ2時間に渡って続いたので俺なりにまとめて聞き返してみることにした。
「えっと、つまりこういうことか?時間というのはスタートとゴールが同じ。スタートとゴールのことをビッグバン(ビッグクランチ)と呼び、1度全てを破壊してから再構成する。それが何兆年周期で起こる。何度も何度も破壊と再構成を繰り返すが、内容はほぼ同じなので、そのビッグバンを超えることによって過去に行ける。ビッグバンのタイミングはこちら以外の世界、つまりは異世界でも同じなので、ビッグバンの時に空間も超越することで異世界に行ける。...やっぱりよくわからないな。」
自分でもわけがわからないよ。
頭を抱えつつも、とりあえず口を動かそう。
「ご主人様はやっぱり飲み込みが早いですね。イメージ的には世界がループしていると考えてもらえばいいと思います。永遠と続くのである意味では無限ループですね。多少変わりますけど。」
「無限ループって怖くね?終わりがないんだぞ?」
「別に怖くないですよ。私たちは終わりを迎えることが出来ますので。」
無限ループの怖さを説こうとしたのに、冷たい反応で返された。
悲しいなぁ。
とはいえ、わかりやすいループという比較的イメージしやすい言葉を教えて貰えて助かった。
なんとなくは、話の内容を掴めた。
...というか、異世界に行く話だったのに何故こうなった。
この辺はさらっと聞き流しておけばいいかもしれない。
「ちなみに未来で生き残ってる人類ご主人様だけですよ。あ、ご主人様死んじゃったから人類滅亡ですね!」
さらっと聞き流せないことが聞こえてきた。
「おい、今、物騒すぎるワードが耳に入ってきたんだが。」
「えぇ、だって事実なんですよ?ご主人様は本当にすごく頭が良くて、研究熱心だったんです。その時に、偶然今の核爆弾とかとは全然比べ物にならないぐらいの威力を持つ爆弾を作ってしまうんですよ。それによって地球は半壊、人類はご主人様以外死亡しました。でも、その爆弾の力で光よりも速く移動できるのでそれによって未来にいけるようになったんです。」
「今聞いた話によると人類滅亡の原因俺じゃん」
「はい、その通りですね」
ちょっとは否定してくれ。
俺が人類を滅ぼすのか。
多分信じてもらえないけど。
自分でも信じられないけど。
まぁ、人類滅亡させたのは未来の俺だし!俺であって俺じゃないようなものだし!
「ご主人様、色々こんがらがってますね...。まぁ頑張ってください!」
無責任な言葉を清々しい笑顔で言ってきやがった。これだから美少女は...。でも、なぜか許したくなってしまう、不思議。
「かなり本題からずれてしまいました...。異世界に行くことについて手短に話させていただきます。行くために必要なものは、リンクマターと呼ばれるものだけです。タイムマシンを使う方法の方が一般的なんですが、こっちを使った方が手軽なので。それで、リンクマターはだいたい飴型なので食べることによって使うことができます。飴型ならご主人様でも誰でも食べやすいと思います。」
そうそう、異世界だよ。
異世界の話をしていたんだった。
誰でも食べやすいって、未来のロボットはみんな食事をとるのか。
「なあ、未来のロボットは食事とかするのか?それに、逢依以外のロボットにも人格というか、思考というかそういうのあるのか?」
「いえ、私以外はみな、ご主人様のいる現代と同じような人工知能を持たないものばかりです。危険ですから。それに、できるだけ資源を残せるようにロボットは食事を取りません。...もっともエルフやドワーフなどは食事を取りますけどね」
流石に未来でもロボットは食事をしないよな。
うん。
エルフやドワーフは食事するにきまって...。
エルフ?ドワーフ?なにそれ?美味しいの?
ラノベとかでしかエルフとか聞いたことないんだけど。
実は現代にいたけど森に見を潜めてたりしたんだろうか。
「エルフって?」
「エルフです。」
そりゃあわかってるって。
「そうじゃなくてだな。なんでエルフがいるんだ。」
「ご主人様が異世界から連れてきました。」
何やってんだよ!未来の俺ぇぇぇぇぇぇぇ!
読んでいただき、ありがとうございます。