冷たいゆめ
夢の中で私はお母さんとでかけた。馬鹿みたいに暑い日で帰りにアイスでも食べて帰ろうねとお母さんが笑っていた。
場面が切り替わる。薬品の匂いがツンとした。どうやら私は病院に定期検診に来ているらしい。私は病院の先生の目の前に座っていた。
先生がバケモノみたいに笑ってどうして自分を傷つけるのかな?と私に問う。違う、違う、これは、お父さんに、切られた傷なんだ、そう訴えかけるとまた薬の量が増えた。ああ、そっか。お父さんだけじゃなくてバケモノも私の事が嫌いなんだ。
帰り道にお母さんと喫茶店に入ってパフェを頼んだ。バケモノみたいな笑みを浮かべた店員が私をバケモノを見るような目で見る。バケモノはお前じゃないか。
不貞腐れてパフェを食べ始めた。パフェに入っているいちごアイスはひんやりとしていて乱れた心を落ち着けてくれた。お母さんはチョコバナナパフェを食べていて口の端にチョコソースが少しついていた。
これが夢だったと知っているのは私が今、布団から這い出したからである。お母さんと出かけることなんてない。病院に私は行っていない。だって外に出ることがないから。でも、決まってこんな夢を見たあとは薬が増えている。
お父さんはそれに気がついてまた私を切るのだ。
「高倉さんの家の娘さん、学校行けてないんですって」
「お父さん亡くなってからずっとよね」
「うちの隣に住んでるから娘さんが泣いてる声が毎日聞こえるわ」
「高倉さんも大変よね。女手ひとつで」
「ほんと。でも、少しくらい静かにしてほしいのよね。息子の部屋が娘さんの隣なのよ」
「ああ、受験勉強集中できないわねえ...」
「そうなのよ。1度言ってみたのだけれどね、高倉さん、困ったように笑うからそれ以上強く言えなくて...息子にはリビングか図書館で勉強するよう言ってるわ」
「娘さんがあれだときついでしょうしねえ」
「そうよねえ、大変よねえ」
ーーーとある団地の会話




