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プレイッ!!◇笹浦二高女子ソフトボール部の物語◆  作者: 田村優覬
一回裏◇始まる伝統の一戦。乗り越えろ恐怖の一戦―vs筑海高校編◆
61/118

十一球目④穂乃→夏蓮パート「叶恵ちゃん!! ナイスラン!!」

◇キャスト◆

花咲穂乃

呉沼葦枝

宇都木歌鋭子

錦戸嶺里

梟崎雪菜


清水夏蓮

月島叶恵

篠原柚月

May・C・Alphard

中島咲

牛島唯

星川美鈴

植本きらら

東條菫

菱川凛

泉田涼子

如月彩音

田村信次

「ゴメンね、呉沼くれぬまさん。一塁間に合わなくて……」

「は、花咲はなさきさんは何も悪くないよ! ……」


 ピッチャーズサークル内にて、ショート且つ主将の花咲はなさき穂乃ほのが、先発投手の呉沼くれぬま葦枝よしえと、グローブで口を隠しながら話し込んでいた。眉と目の形で苦笑いを放ったが、ピッチャーの表情は逆に黒ずんでしまう。


「打たれた、ぅちが悪いの……。ゴメンなさい……」

「呉沼さん……そんなことないって、ナイスボールだったよ?」

「……」


 一度三塁ベンチをチラ見し、うつむいた姿勢から解放されない葦枝。しかし、それが彼女の悪い一面であると、穂乃は高校一年生当時から知っている。


『呉沼さんは、怖がりなんだ……。すぐに萎縮いしゅくしちゃうの、わたしと似て……』


 直球メインの勝負師らしからぬ、臆病な右腕投手なのだ。

 葦枝自身、運動部に入ったのは筑海ソフト部が初めてらしく、穂乃とは異なる未経験者としてのスタートだった。とはいえ、彼女にはまばゆい可能性が秘められ、入部から一年が経った今では、この通りバッテリーの一人だ。現在はまだ上級生がいるため控え組だが、次年度のエースになることは間違いないだろう。


『ただ、呉沼さんにとって怖い対象が、()()わたしと違うんだよね……』


 同じく弱気の自覚を抱く穂乃だが、葦枝の恐怖対象はまた別の存在である。



『わたしが怖いのは……一言で表せば、変化。でも、呉沼さんは……』



 それは、スポーツの世界に踏み入れたことがない、未経験者ならではの対象なのかもしれない。実際に穂乃だって、ソフトボールを始めた際に抱いた恐怖心だった。今では感謝という概念に変わると認知し怖れなくなったが、葦枝はまだその経路を知らない一人である。



『――怒鳴られるのが怖いんだ……指導者の、宇都木(うつぎ)監督から……』



 未経験者の誰もが直面する、最初の恐怖対象――指導者。特に叱られる生活に慣れない優等生ほど、身の凍えが強固してしまう存在だろう。親にすら怒鳴られない子が増えたことも、一理として挙げられるのかもしれない。


『でも、それはつまり……』


 ふと穂乃は背番号“18”から目を離し、全ての筑海部員たちを覗く。今回は一二年生のみで構成された、全十八名の控えチームだが、その内経験者の数は、穂乃を含めて四人しか在籍していない。未経験者の数が圧倒したメンバーだと言える。



『――呉沼さんと同じ気持ちの部員が、ほとんどなんだよね……』



 正直、みんなの表情も強張りを続けていた。まるで自分の前に打球が飛んでくるなと言わんばかりで、足元のスパイク跡があまりに少なく窺える。


『怖い気持ちは、わたしもわかる……でも、こんなの本物じゃないよ……わたしが求める物と、全然違う……』


 未来の主将候補として、荷の重さを感じてしまった。葦枝のように、(おの)ずと目線が落ちそうになりかけたが。


――「葦枝! もっと腕振りなよ! せっかくいいストレート投げられるんだから、もったいないよ~!」


 すると、穂乃と同じく経験者の一人である、体格にすぐれた捕手――錦戸にしきど嶺里みのりから、明るく(たくま)しい一声が。


――「葦枝~!! 自信持って~!! 練習通り、続けていこう!!」


 また今度は三塁ベンチより起立した、葦枝と同じ未経験者の細身スコアラー――梟崎ふくろうざき雪菜(せつな)からも、熱い声援が飛び込む。


「嶺里……雪菜……」

「二人とも……さぁ! 切り替えてこ、呉沼さん」

「花咲、さん……」


 そして最後に穂乃が葦枝の背を叩くことで、闘志と勇気をあおる。嫌な雰囲気など、取っ払ってみせるように。


「次で、アウト一つ取りにいこう。自分を信じて?」

「う、うん……」


 葦枝の表情には、完全な明るさがかえるとまでは至らなかったが、伏せていた目線が上がっていたことが、穂乃も気づけた。

 颯爽とショートのポジションに戻ると、まずは状況確認と指示を周囲へ送る。そして自身の気持ちを改めて高めようと、グローブのポケットを強めに叩き、相手バッターに向けて眉を立てる。


『バッター二番、夏蓮かれんからだ……』


 常に求める本物を目指し、筑海高校次期主将候補は、セカンドベース寄りで構えた。



◇伝統の一戦、開幕ッ!!◆



 先頭打者の月島つきしま叶恵かなえの出塁により、状況はノーアウトランナー一塁。ここでバッター二番――清水しみず夏蓮かれんが右打席に踏み入れる。


『ヤバいよぉ~、怖いよぉ~、ホラーだよぉ~お~……』


 しかし全身の振動が拭い切れず、多大なる緊張の血液をめぐらせていた。万年補欠だった自分自身が、二番という上位打線の一人になっているのだ。経験者であるが故に、マネージャーの篠原しのはら柚月ゆづきから抜擢された経緯だが、やはり慣れない舞台に頬が強張る。チームの主将を知らしめる“10”の背も、小さく見えて仕方ない。


『で、でも、叶恵ちゃんに言われた通りやれば……きっと大丈夫……たぶん……』


 ふと夏蓮は、一塁走者の叶恵と目を合わせた。御互いコクりとうなずいて確認を取ると、恐る恐るバントの構えを始める。


『叶恵ちゃん……これでいいんだよね?』

――「内野ゲッツーあるよォォ!!」

「ヒィッ!!」


 突如背後で指示を叫んだ、ガッチリ系女子の錦戸嶺里に凍り付く夏蓮。しかし時間は待つことなく、いよいよ第一球目が、呉沼葦枝の右腕から放たれる。


『まず初球は……見送るっ!』


 バシッと轟音をミットで響かせた初球は、外角へのストレート――ゾーンから離れたウエストボールだった。恐らくは盗塁を予期した配球のようだが、逆にそれを読んだ叶恵は一塁上で止まっていた。

 夏蓮もバットを無事に引いて見送ったことで、まずはワンボールのカウントを作り上げる。だが、どちらかといえば、“見逃した”と告げた方が適当かもしれない。


『速ッ!! 叶恵ちゃんに言われてなかったら、バット出したままだったかも……』


 気がついたときには白球が通過しており、目が追い付いていなかったのだ。事前に叶恵からの指示があったからこそ、何とかバットを引けた現況も(いな)めない。

 恐怖心がどうも取り払えないままだが、夏蓮は再びバントの構えで立ち向かう。一塁側ベンチからの応援も身体に受けながら、二球目を投じられると。


――「走ったッ!!」


 ボールが葦枝の指から離れた直後、ファーストからの一声――叶恵が盗塁を試みたようだ。

 度重なるストレートが右打者内角へ突き進むと、夏蓮は再度指示通り、バットを引いて見送る。すると捕球した嶺里がすぐに持ち変え、ショートの穂乃が待つ二塁へ放り込む。

 気になる判定は……


――「セーフ!!」


 二塁審判ジャッジの元、叶恵のスライディングが穂乃のタッチを制し、盗塁が見事に成功したのだ。


「さすがです! 月島先輩!!」

「ナイス盗塁です!」

「How fast!! 韋駄天(いだてん)走りデスネ!!」


 現在ランナーコーチの東條とうじょうすみれ菱川ひしかわりん、そしてネクストバッターズサークルで跳び跳ねるMay(メイ)・C・Alphard(アルファード)も含め、笹二サイドは沸き起こっていた。叶恵の俊足(しゅんそく)をきっかけに先制のチャンスが生まれ、初回から早くもイケイケムードと化していく。


「叶恵ちゃん!! ナイスラン!!」


 周囲の仲間たちと同じように、夏蓮も自分のことのように嬉しかった。しかし叶恵は浮かれることなくランナーの構えを始め、速やかな再開をうながす。

 状況は変わって、ノーアウトランナー二塁。

 カウント、ワンボールワンストライク。

 先制ムードで迎えられた打者として、夏蓮の胸にも勇気がいていた。


『いい流れが来てる……よしっ!』


 前向きな瞳を相手投手に飛ばしながら、繰り返しバントの構えをしてみせる。


『ここで送りバント……大丈夫!! 絶対できる!! できろッ!!』


 今日までの辛い練習だって乗り越えてきたのだ。その苦しき経験でつちかった、自信の炎まで放つ。

 ところが……


――ぽかぁん……。


「あ……」

 打席に立ち竦んだまま、夏蓮の目線が空に向かう。バットに当てられたは良いものの、打球はキャッチャー後方のバックネットへ上がってしまった。もうじき地に着いてファウルが宣告される……はずだったが。


――パシッズシャァァ!!


「ウソォォ!!」

 素早く始動した捕手の、懸命なダイビングキャッチ――夏蓮の初打席の結果は、悔いの残るバントフライと成り経た。この状況を考慮すれば、三振の次にやってはいけない罪を犯してしまったと解説できる。

 だが、試合(ゲーム)は静止していない。


――「ランナー走ってる!!」


 ショート穂乃の悲鳴染みた叫びが拡がった。感情が追い付かず茫然ぼうぜん気味の夏蓮だが、起き上がった捕手の視線先を辿る。すると、送球を待つサードの脚の間から、三塁ベースが垣間見(かいまみ)えた。



――雄々(おお)しく滑り込んだ、叶恵の左脚もいっしょに。



「叶恵ちゃん……スッゴ~~い!!」

「んの前に転がせや!! アホんだらァァ!!」

「ゴメンなさァァイ!!」

 轟く怒声どせいを浴びたことで、夏蓮はシクシクとベンチに退しりぞく。しかし、内心は多いに歓喜したままだった。バットとヘルメットを脱ぎ置き、再び救世主的存在の三塁ランナーへ眼差しを送る。



『叶恵ちゃんが、わたしのバント 邪飛(エラー)を帳消しにしてくれた! ありがと、叶恵ちゃん!!』



足を叩いて砂ぼこりを溢す叶恵に、夏蓮は感謝を胸に釘付けだった。結果的に送りバント成功時と同じ状況が作れ、一先ひとま安堵あんどの一息を着こうとしたが。


「フフフ~ン、あらぁ夏蓮ちゃん! おかえりぃ~」

「――ッ!! ゆ、柚月ちゃんさん……」


 すると満面の笑みで迎えてくれた柚月が、夏蓮の右耳に口を寄せてきた。嫌な予感がしてならず、身の毛が逆立つばかりだ。


「その、ですね……叶恵ちゃんのおかげで……」

「そんなのわかってるわよ~ん、ずっと見てたんだからぁ~! ただぁ~、夏蓮ちゃんも~、()()()()()わよねぇ?」

「は、はい……。今後はバント練習、死なない程度にガンバります……」

「あらぁ~! イイ子イイ子~。出来の悪い子じゃなくてぇ、ホントにイイ子だねぇ~夏蓮ちゅわぁん!」

「……殺される」


 夏蓮の破滅的未来は扠置(さてお)き、状況はワンアウトランナー三塁。

 先制まであと一打と迫った、正にチャンス場面だ。


「Nice to meet you!! よろしくお願いシマ~~ス!!」


 ここで三番打者のメイが左打席で一礼し、小柄な背丈でどっしりと構え立つ。


「初球からガンガンいきマスヨ~!!」


 あどけなくも強気の小顔で迎え撃つメイに対し、相手投手の葦枝は余裕無き表情だ。チャンスの裏に表れたピンチに焦っているに違いない。


「行っけぇぇ! ターロリパツキ~ン!!」

「幼稚園児との違いを見せてやれッス!!」

「打てたらオムツ卒業にゃあ!!」


 応援しているのかさだかではない野次(やじ)三姉妹――牛島うしじまゆい星川ほしかわ美鈴みすず植本うえもときららも歓声を飛ばすと、いよいよメイに本邦ほんぽう初の投球が(ひた)()す。

 その初球だった。

――キィィィィン!!


 片手持ちになるまでに、バットを壮大に振り抜いたメイ。足元の土埃も舞ったその瞬間、快音が球場中に鳴り響いた。

 誰もが追う打球の行方は、既にセカンドの頭上を猛スピードに越えた。間もなくセンター寄りの右中間へ一直線――ライナーとしてグランド上を突き刺そうとしていたが。


「Oh my god……まだ、くちばしが黄色いようデスネ~……」


 諦めず走るメイの打球は惜しくも、センターのグローブに収められてしまい、結果はフライアウト。これでツーアウトとカウントが変わるところだ。



「――but! Let's go!! 叶恵ちゃんセンパイ!!」



 捕球された刹那(せつな)、三塁ランナーの叶恵はメイの発言通り、ベースを蹴る勢いでスタート――タッチアップに身をささげたのだ。

 センターもすぐに返球したが、既に二つの盗塁を決めた俊足ランナーの足下に及ばず、総立ちした笹二ベンチが決定的瞬間を捉える。



――「「「「ヨッシャァァァァ!!!!」」」」――

――「「「「イッテェェェェン!!!!」」」」――


 悠々(ゆうゆう)とホームに帰還した叶恵により、先攻の笹浦二高が、いきなりの先制点を叩き出した。ベンチ内外問わず、笹二関係者全てが歓喜し、もはやグランドを占領する勢いでにぎやぐ。


「やったね、清水!!」

「うん先生!! (わたし)たちの、初の一点だよ!!」


 顧問の田村たむら信次しんじにも劣らぬ、誰よりも輝かしい喜びを上げた主将の夏蓮。時期尚早とはいえ、創部より初の得点を得たことには、無邪気な万歳を繰り返すハートビートが止められなかった。もちろん犠牲フライを放ったメイの活躍も忘れず、先制打点者へ笑顔を掲げる。


「メイちゃ~ん!! ナイスバッティングだったよ~!!」

「Yeah!! ニッポンでの、めでたき初打点デェス!!」


 アウトにも関わらず、メイはなぜか二塁上ではしゃぎ跳ねていた。どうやら勢いに任せて辿り着いてしまったらしいが、かえって更なる盛り上がりを着火させた。


「あ、叶恵ちゃん!!」


 すると夏蓮は、先頭打者から帰還まで活躍した叶恵に、褒め称えるようにハイタッチを求める。


「ナイスバッティングだし、ナイスランだし、もうナイスだらけ……」

「……ねぇキャッチャーやって? 投球練習するから」

「え……あ、うん……」


 しかし、言葉尻を被せてお願いしてきた叶恵は、夏蓮に目も与えず通り過ぎ、ヘルメットを置くとすぐにスポーツドリンクを開けていた。背後から彼女担任――如月きさらぎ彩音あやねも、

「月島さん、カッコいいよ!」

 と喜び放つも、飲みながら会釈(えしゃく)するだけにとどまり、早速自身の黒グローブを右手に()め始める。


『叶恵ちゃんは、あんまり嬉しくないのかな? わたしたち笹二ソフト部の、初得点……』


 研ぎ澄ました神経を失わないためか、たった一人冷静沈着な叶恵には、夏蓮はどうも疑念を抱いてしまう。ベンチの明るいムードは依然として続いていることで、余計にエースの暗さが顕在的に映った。



『もっと、みんなといっしょに楽しめばいいのに……』



 部員の仲間たちと、大きな喜びを分かち合えばいいのにと、主将は孤独なエースに本音を向けそうになった。しかし叶恵に言われた通り、まずは彼女の投球練習に付き合おうと、夏蓮も自分用グローブに手を伸ばす。今は小さな問題点を意識しても、致し方無い。以上に今は、試合展開を優先すべきだと思ったが。



――「ストライク!! バッターアウト!! チェンジ!!」



「あれ……チェンジ……?」

 学生主審の声に、夏蓮は思わず首を傾げてしまった。打席を眺めると、確かに四番打者の中島なかじまえみが、バットを振り抜いたまま固まっている姿が見える。

 どうやら、空振り三振のようだ。


「あ゛ぁ~……やっぱアタシ、四番とかムリだよ~」

「なんだよ? いつもの中島らしくねぇじゃん。バットに(かす)りもしねぇで」


 ネクストバッターの唯と共に帰ってきた、ため息混じりな落ち込み気味の咲。夏蓮は柚月に詳しい結果を聞いてみると、やはり三球三振だったと告げられる。


「はぁ……まさか咲が、まだ治っていなかったとは……」

「あ、そっか! 咲ちゃん……それじゃあ仕方ないよ」

「柚月~夏蓮~、ゴメ~~ン!」


 練習中では快音を何度も轟かし、今回はチーム打線の大黒柱を担ってもらった。しかし現在の咲は、小さな主将に泣いて抱き着くほどの弱々しさが見受けられる。

 周囲の部員たちも不思議と見つめていたが、困りながらも頭を撫でる夏蓮が(おおやけ)にする。



「――実は咲ちゃんはね、極度の“あがり症”なの……」



 いつもはチーム一番に声を出してプレーする咲だが、思い返せば本日の練習試合では、全く声が聞こえてこなかった。一人ずっと大きな緊張と戦っていたに違いない。因みにこの症状は、小学生の頃から夏蓮たちに見せている特徴で、その時の姿は練習時と別人格と言っても過言ではない。特に打者となると、多くの視線を浴びてしまうためか、本人曰く、嫌いな守備よりもおぞましいまでに緊張するらしい。

 ベンチの外で観戦する、咲とは長い付き合いの泉田いずみだ涼子りょうこも、

「ゴメンねぇ夏蓮、柚月。バレーボール部でも、ずっと同じだったの……」

 と、頭を抱えながら悩ましく漏らした。

 夏蓮たちとしても、苦笑いを見せることしかできず、とりあえず咲が早く泣き止む時を待つことにした。


 四番の咲が三振したことで、笹浦二高の攻撃である一回表が終了。しかし初回から一点を奪取できたことで、部員たちの表情には元気の印が宿っていた。相変わらず叶恵だけは落ち着いた様子だが、チームの雰囲気は、良き前向きさに包まれている。


「今度は守りだっ! みんな行こう!!」

――「「「「シャァァァァア!!!!」」」」――


 主将の一声をきっかけに、笹二ソフト部員たちはそれぞれのグローブを握り、各々のポジションへと駆けていく。今度はチーム初の守り側――一回裏の守備に向け、輝く色とりどりの星華(ほしばな)たちが、このソフトボール場に散りばめられた。


   一 二 三 四 五 六 七 計

笹二|1| | | | | | |1|

筑海|…| | | | | | |0|


ランナー無し

 B○○○

 S○○

 O○○

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