第五話
どもっ!楓でっす!
今日も今日とて流と下校しようとしてるんだけど、
流は授業が終わると同時にプイッといなくなっちゃいました。
え?何で一緒に帰りたがるのかって?それは秘密です。(笑)
「どこ行っちゃったのかな〜あいつ〜。」
下校ルートを歩き回っても見つからないよ〜。
もしかしてもう帰っちゃったとか?とか思ってたら、
いた、いましたあんなところに!帰り道に全然関係ない曲がり角を曲がろうとしてるのが
見える!
「流〜!」
叫んでも声が届いてないみたい。追いかけなきゃ!
流はどんどん歩いて行っちゃう。あたしが曲がり角を曲がると、流は次の曲がり角を
曲がろうとしてしまってる。
もしや遊ばれてる?そう思いながら角を曲がったとき、あたしは流の姿を見失ってしまった。
「え…どこ!?」
見回すと、そこはあたしが全く知らない場所だった。
段々辺りも暗くなってきてる。
(こ、こんなところで迷ったら…。)
それこそ「迷子」になっちゃう!
とりあえず一番近い角を曲がると、そこは家と家に挟まれた、狭くて急な坂になってた。
おまけに日が当たらないせいかジメジメしてる。
「あ…」
足跡がある!きっと流のだ!
あたしは元気を取り戻すと、坂を登り始める。
「ふぅ…疲れた…。」
何とか登り切ると、家と家の間を抜ける。
「わ…。」
あたしは思わず声を発した。
坂の上は意外にも開けていて、小高い丘のような場所になってた。
そこにはたくさんの草花が咲いていて、とても綺麗。
「ん…?白峰!?」
「!?」
声の方向をみると、流がその草花に埋まるようにして寝てた!
「びっ…びっくりしたなぁ…」
「それはこっちのセリフだっての!」
流は起きあがると、あたしを睨み付ける。
「つけてきたのか?」
「や…一緒に帰ろうと思って…。」
「…はぁ。」
溜め息つかれちゃった。
「りゅ、流こそこんなところで何してるの?」
「……。」
無言で上を指さす流。見上げると、たくさんの光。
「わ〜。」
あたしは再び声を上げた。
「星、見てたの?」
「いや、寝っころがってただけ。」
だよね。性格的に流がそんな趣味持ってるわけないし。
「わざわざ寝るためにここまでくるんだ。」
「いつも来てるワケじゃねーよ。たまに来るだけだ。」
「ふ〜ん…」
珍しく流がまともに質問に答えてくれる。
そのことが、ちょっと嬉しかった。
その日は流に家まで送ってもらった。(道分からないしね。)
父さんも母さんも心配してたけど、あたしが流と帰ってくると安堵の表情を浮かべてた。
(流は何故だか憂鬱そうだったけど)
一日が終わり、あたしは眠りにつく。
そしてまた、いつもの夢が始まる。