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第三話

「たでーま〜…。」

「あ、兄貴お帰り。」

「流、遅かったな。」

疲労困憊で帰宅した俺を、リビングで父さんと弟…和也と真が出迎えた。

途中寄り道してきたしな。時計はすでに6時を回ってる。


二人はテレビを見ていたらしい。

「動物園の人気者、コアラのコー君は、なんとたわしでものを磨けるんです!」

とかいう字幕が流れている…ってかなんだこの番組。

「その顔は、学校で残り掃除をやらされた顔だな?」

「なんで父さんにはそういうことが分かるんだよ…。」

父さんはときたま変なことで頭を働かせるんだよな。


「分かるのは"そういうこと"だけじゃないぞ?」

ソファの上で"頭の良い男"を自分なりに表現した顔で父さんが言った。

「普段のお前なら適当にサボって帰ってくるはずだ。

だが今日は真面目にやってきたらしい。つまり他に誰かいたということだ。」

「普通の子ならお前と残されることは殆どない。

お前は誰かとつるんで悪さするタイプじゃないからな。が、何故かしらアクシデントが

起こりやすい相手がお前にはいる。それは誰か?」

「何だよ、その気味の悪い笑い顔。」


筋が通ってるんだか通ってないんだか分からないことを一くさり述べた後、父さんはこう締めくくった。

「結論を言うとだ。流、お前楓ちゃんと二人きりで残り掃除しただろ?」

一瞬の間が空いた。

「ブッ!ゲホッゲホッ…兄貴…流石…」

真が飲んでた紅茶を吹き出しやがった…って何だそのリアクションは!

「ちょっと待て!確かに俺はあいつと二人で残り掃除したけど、それがなんだってんだ!」

「いや別にどうということもないが…なあ真?」

「そうそう、兄貴が何したって俺は何も言わないよ。青春だもの。」

何みつおさん気取ってやがる!つか青春とか言うな!


「ほらほら二人とも、流をからかうのは止めなさいって。

流だって本気なのよ?」

やっと母さんが止めに入ってくれた…っておい。

「母さんまで何言ってんだ!」

駄目だ、頭が痛くなる。このやりとりは。

「大丈夫よ流〜。あなた達のことは宗太も紅葉も了承済みなんだから。」

(あの人達は一体何を了承してるんだ!?)


宗太と紅葉ってのは白峰家の両親だ。

俺の両親とは同じ高校…今俺が通ってる"ひがしじゃねーぞ高校"の同級生だったらしい。

のわりに、俺と白峰が知り合ったのは中坊の頃だったんだけどな。


「もういい…今日は寝る…」

3対1の勝負に敗れた俺は、とっとと自分の部屋に引っ込むことにした。

幸い今日は腹も減ってないしな。


俺と白峰が知り合ったのは…中二の頃だったか?

同級生だったらしいんだけど、俺もあいつも全く互いを知らなかった。

知り合ったきっかけってのも、野犬に襲われてたあいつを俺が助けたってだけのこと。

野犬はなかなか手強かったんだけどな。

んで、駆けつけてきた白峰の親から俺の家族とのつながりを聞いた。

その日からだ。あいつが妙に俺に絡んでくるようになったのは。


(あんとき助けなきゃ良かったか…ってそういうわけにもいかなかったしな…)

後悔しても遅い。つか後悔の余地がねぇ。

もう今日は、全部忘れて寝よう……



「おいでなさい…」

またあんたかよ…。

「私はあなたに問う…試されし者よ…」

だからワケわからねぇって。

「あなたは守りたいですか…或いは壊したいですか…」

「始まりの時は近い…」


今度は、もう…起きねぇぞ……。

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