Basilesc Eye
ー自分には生まれた時からある力があったー
ーーそれは悪用すれば世界を潰せるくらいの力ーー
ーーーでも良かったなーーー
ーーーー自分にそんな野望はないーーーー
ーーーーーただーーーーー
ーーーーーー気に入らない奴は殺してしまうかもしれないがーーーーーー
Basilesc…想像上に登場する、見られただけで死ぬとされたり、石にされたり、触っても死ぬとされたり、はたまた剣で触れても死ぬという、異常なまで力を付けられて最早誰にも信じられなくなった生物。同じ想像上に登場するコカトリスも類似した能力を持つ
自分は「気味の悪い化物」とよく呼ばれる。自分もこれで良いと思っている。なんせいつも顔の半分を包帯で隠してるし。
このスラムは治安は結構いいほうだ、一月に一回ぐらいしか殺人は起きない。一週間に一回は強盗。毎日窃盗…まぁ無法地帯にしてはいいと思う。
そんな自分はゴミだまりを漁っている。警察が唯一ここにくるのは、住宅街や富豪宅からのゴミをここに捨てに来るためだけ…まぁそれでいいと思う。
…ん?ラッキーだ。ゴミの中からいくつかボルトやナットを見つけた。これを修理屋に持っていけば、運がよければ小銭。悪くても別の物が手に入る。
「こんな錆びてちゃ使えねぇよ!さっさとこれ使って洗ってくれ!」
そう修理屋は言ってタオルを渡す。やった。これでタオルは貰った。ちなみにこいつの言う「洗え」は「サビをとって」じゃなくて「お前の触った物には触れたくない」って意味だ。こいつの所にくるのは、もう百は越してるが、相変わらずだ。はいはい。
クソっ、ラッキーなんて思うんじゃなかった。このタオルをやるから帰れと言いやがった。今は頭が冴えてるようだな。今度は酒臭い時に行こう。
「家」という名の「廃屋」についた。こんな自分だが、仮にも母はいる。勿論自分は望まれずに生まれたわけだが…よく生き残ったものだ。我ながら感心する。
ガチャッ
…ん?開いた。ああ、成る程、ちょうど「仕事中」ですか。
普段は鍵がかかってる。だから毎日一つしかない筈の合鍵を持って出る。
バタンッ
どうやら男が出て行ったようだ。もうこの匂いは慣れた。ここに倒れている女の横にはしっかり、一番価値の低い札が二枚ある。
…まぁ上々だと思うよ。こんな臭くても顔はいいらしいから…
あんな狂った奴が「鍵をかける」なんてことができるのは自分のおかげだ。でも、あの女には自分の存在は視認出来ていない。きっと記憶にないだろう。今まで抱かせた男と同じように…
「おい、こいつだぜ。きっと」
「うわぁ、ホントに顔を半分隠しちゃって、痛々しいなぁ!」
「知ってるか、こいつの母親、とんでもないほど男とヤってるらしいぜ?」
「ああ、だからこんなくせェのか、キッたねぇなぁ!」
…今俺の前にいる奴三匹は住宅街から来たのだろう。ご苦労だな。
とりあえず、無視して抜けよう。この金で食料買わなくては…
「おい、何無視して通り抜けようとしてんだよ。見せろよお前の化けの皮をよぉ」
ドカッ バキッ グシャ
…もうこの展開は慣れた。
「ちっなんだよつまんねぇなぁ。少しも叫びやがらねぇ」
「じゃあよぉさっさと用済ませっか」
奴らは自分の包帯をちぎって捨てた。そこにあるのは目を閉じている爬虫類のウロコをもった顔なのだが…これを見て、何が楽しいのだろうか。
「うぇぇっ気持ち悪っ!」
「まるで、爬虫類の皮だな…」
「こいつ、悪魔の子だろ!だったら退治しちまおうぜ!」
「いや、待て。どうせならその目開けてみろよ」
ー目…開けていいのか…?ー
「あ?やっと口開いたと思ったらそんな言葉かよ。さっさと開けろ!」
ーはぁ…じゃあなー
そこに残ったのは人間の男子を象った石像三個と自分だけになった。
ちぎられた包帯でできる限り顔を隠した。放置するのもあれだな…
ガラガラッ バキバキッ ドゴンッ
かなり脆いので、壊すのに事足りないが疲れた…
さて、食料を買わなきゃ…
翌日
きっと今日も昨日と変わりない一日だ。
いい加減飽きた。
まぁでも、地獄にはまだ行きたくないからと、
適当に理由つけて、
生きてみようと思う。