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第7話

遅い投稿、申し訳ないです。


※スクエア・メンバーズ・カードの再発行料金を一万から十万に変更しました。

 スクエア。


 「広場」と意味を持つこの組織は元々、ギルドと呼ばれる組織だった。

 本当はギルドに登録した人達だけが利用していたのだが、一般の人達も利用する事が増えたため改名したらしい。


 なお、スクエアに登録すると初回のみ無料で身分証明書になるスクエア・メンバーズ・カードを提供してもらえる。このスクエアに登録した者を総じて放浪者エブンと称される。

 また、スクエアでは低い順にF,E,D,C,B,Aの六つ、その上にJ,Q,K,Gの四つ、計十のランクがある。このランクをもとに依頼を受けるのだが、別に低ランクが高ランクの依頼を受けてはいけないなんてルールはないので構わない…まぁ、自己責任になるが。


 それと、スクエアでの注意事項。


 ・スクエア・メンバーズ・カードの発行は初回のみ無料になるが、紛失などによる理由で再度発行する場合は発行料金として、100,000Gを支払ってもらう。


 ・スクエア内での荒事などは控えるように。


 ・基本的にスクエア内で受けた依頼で損害などを受けても一切責任を負いません。自己負担でお願いします。

 …等々。



 「ふ〜ん、スクエアって冒険者ギルドみたいなものなのか…てか、一般人も利用するって何に利用するんだ?依頼をお願いするってのとは違うとは思うけど…。」


 次の日の朝。咲闇は転写によって得た知識からスクエアについて探っていた。

 今日はそのスクエアに登録しに行くんだ。転写されてるかどうか確かめてみたのだ。

 他にも魔法について調べてみた。


 魔法は【魔気】を媒介に【魔術】で発生させる事ができる現象だ。

 魔法は火、水、風、雷の四つが基本的な属性である。

 他には地、天、幻、雪、光、闇が存在するらしい。


 (…まぁ、俺には関係ないけど。)


 そう思い、次にここの地形について探ってみようと思ったとき、部屋のドアがノックされる。


 「はい、どうぞ。」


 咲闇がそう答えるとガチャリとドアが開き、緑髪の女の子が顔を見せる。


 「あ、おはようございます。」

 「おはようございます。…あの、朝食の準備が出来たので…。」

 「はいわかりました。わざわざすいません。」


 咲闇がそう返すと緑髪の女の子はドアを閉め、下に降りていった。

 咲闇はベッドから腰を上げ、そのまま部屋を出ていく。





 下に降りると食堂がある。このぷくぷく満腹亭は宿の他に飯屋も営んでいるのだ。

 そこには既にライドが朝食を頬張っていた。


 「おはようございます、ライドさん。」

 「ん?おお、おはおう。」

 「…ライドさん、ちゃんと物を飲み込んでから喋った方が…。」


 ごくんと口の物を飲み込み再度「おはよう。」と言ってきたライド。

 咲闇ももう一度返す。


 今日の朝食はパンに野菜スープだ。

 パンはとても固かったし味が薄い。しかも野菜スープは味が濃かった。…が、野菜スープにパンを浸す事により柔らかくなり、味もしっかりとついて美味しく頂けた。



 「…でだ、実は今日、用事があってなスクエアについて行ってやれねぇんだ。」


 朝食を済ました二人は05号室(咲闇の方)で今日の方針を決めていた。


 「あ、大丈夫です。一応、スクエアについてはライドさんから転写して頂いた知識の中にありましたので、僕一人でも大丈夫ですよ。」

 「そうか、なら大丈夫だな。…それと、別に無理して敬語で話さなくていいぞ?特にその『僕』とか、なんか違和感あるしな。」


 咲闇は、いや〜と苦笑いする。


 「では、お言葉に甘えて…ある程度崩しますが敬語が入ってしまうのは許してください。」

 「わかった。…じゃあ、そろそろ俺は行くわ。」


 咲闇の言葉に相槌を打ったライドはそう言って部屋を出た…がすぐに戻ってきて


 「お前の服装、何気に目立つからこれでも羽織ってろ。予備のローブだから安物だけどな。」


 と言い、咲闇に黄土色のローブを渡すとすぐに行ってしまった。

 お礼を言いそびれてしまった咲闇は帰ってからお礼を言おうと思い、腰にブレザーを巻き、短剣を差してロングソードを持つと部屋を後にした。


 鍵を預けて外に出る。

 一応、大通りに建っているので必然的に人の多いところに出てしまう。

 人混みが苦手な咲闇は少し怯む…が一歩、また一歩とその重たい足を踏み出す。全てはスクエア・メンバーズ・カードを手に入れるために…。





 「…ここか。」


 人混みとは言ってもそこまで込み合ってる訳ではない大通りを真っ直ぐ歩いてた咲闇はある建物の前に止まる。

 大きさはビル五階分だろうか、なかなかの大きさを誇るレンガ造りで小綺麗な建物。これがスクエアだ。

 咲闇の中では木造の建物を想像していたせいでギャップを受けた。…が、外にいても中からはとても賑やかな声が漏れて出てくる。


 「…よし!」


 咲闇は一つ、二つと深呼吸をし、スクエアの扉を押した。


 …思ったよりも人がいた。


 それがスクエア内に入って初めて咲闇が思った感想だ。

 一瞬、咲闇が入室したことにより静まり返り注目されるが、すぐに興味を失ったのかまた賑やかになる。

 咲闇はビビりながら奥にあるカウンターに向かう。


 「あ〜、埋まってるな〜…って、ん?」


 五つの窓口全部が依頼を受ける人で埋まっていると思ったら、咲闇から見て左奥に一つ空いている窓口があった。

 そこには赤髪ウルフカットの女の子が、ぽけ〜とどこを見ているのかわからない様子で立っていた。

 何故、ここだけすいているんだ?と思いながらもその女の子の前に歩み寄る。


 「すいません、スクエアに登録しに来たんですが…。」


 咲闇がそう声を掛けるが聞こえていないらしい。ぼ〜としていて微動だにしない。


 「…あの〜すいません、大丈夫ですか〜?」


 女の子の目の前で手を振る咲闇。


 「…ハッ!あ、あ、あの、すす、すいまs───。」


 ゴンッ!


 女の子が勢いよく頭を下げ、カウンターにおでこをぶつけたせいで騒がしかったスクエア内が一瞬で静まり、女の子に視線が集まる。

 「〜〜っ。」と、おでこを押さえて必死に痛みを我慢する女の子。そんな女の子を見て苦笑いをしそうになった咲闇。しそうになった、と言うのはそこで思い止まったってことだ。


 「…大丈夫?」

 「は、はい…大丈夫です。ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ないです。」


 申し訳なさそうに謝っる女の子。


 「まぁ、そうゆう時だってあるさ。…え〜と、それで登録したいんだけど。」

 「ご、ご登録ですね?ではこちらの紙に…え〜と、確かこの辺に…あったあった、え〜とですね、こちらの紙にお名前のご記入をお願いします。」


 そう言って女の子はカウンターの裏から一枚の紙を取り出す。



 Kランククエスト


 撃刃龍ドラゴン・ラミナ一頭の討伐


 場所…エッセレ村付近の山の奥地


 契約金…1,000,000G


 報酬額…10,000,000G




 「…え?」


 手に取った咲闇が一瞬で固まる。

 まさかの依頼書。しかもKランク。契約金と報酬額がおかしい。


 「あ、あの…これ間違えてません?」

 「え?…!!も、申し訳ないです!」


 女の子は素早く咲闇から受け取り、登録用紙を探し出す。


 「あーあ、またアイツかよ。」


 不意にスクエア内にい一人のエブンが発する。


 「おいおい、職員のクセに間違えてんじゃねーよ。」


 今度は別のエブンだ。


 「あ、ありました。」

 「お?ありがとう。…ここに記入でいいんだよね?」

 「は、はい!大丈夫です。」


 笑顔で答えてくれる女の子。


 「…君は強いね。」


 カリカリと名前を紙と一緒に渡された羽ペンらしきもので記入欄わ埋めながら咲闇は呟く。


 「い、いえ、いつものことなので慣れちゃいました。」


 あははと苦笑い。


 「チッ…。」


 後方から舌打ちが聞こえたかと思うとまた騒がしくなっていく。


 「これで良いかな。」

 「…は、はい、多分大丈夫です。あ、あとここに血を一滴お願いしても良いですか?」


 一本のナイフを取り出しながら聞いてきた。

 咲闇は受け取ると親指を切り、用紙に押す。

 女の子は記入漏れがないことを確認すると後方にある球体(例えるなら水晶玉みたいなやつ)に、何をどうしたらそうゆう原理になったのか、その用紙を近付かせて吸い込ませる。

 すぅ…と吸い込み、しばらくして一枚のカードが水晶玉から現れる。


 「こ、こちらがスクエア・メンバーズ・カードになります。」


 カウンターの上に、なにも記入されていないカードが置かれる。

 咲闇はそのカードを手に持つ。すると、なにも書かれていなかったカードに次々と文字が表示されていく。



 name…モブキャラA(16)

 sex…♂?

 rank…F



 …まぁ、うん、何故疑問系なのかはわからないが間違ってはいないしいいか。


 「…あ、あの、なにか不具合でもありましたか?」


 無言でカードを見つめていた咲闇に不安そうな顔つきで訊ねる。


 「ん?いや、なにも不具合なんてないよ。」

 「そ、そうですか…。」ホッ


 咲闇の返答により一安心する女の子。


 「そ、それとですね、スクエアとスクエア・メンバーズ・カードについてご説明致しましょうか…?」

 「あ、大丈夫だよ。一応、知り合いにエブンがいて、その人から聞いたから。」


 説明を断ると女の子はまたホッとした。


 「で、では最後に。…よ、ようこそ、スクエアへ。わ、わたしはここで受付をしている、ルキア・ウルルクスと言います。よ、よろしくお願いします!」


 今度はカウンターにぶつけない程度に頭を下げる女の子、ルキア。


 「うん、これからよろしくね、ルキアさん。」


 咲闇がそう答えるとルキアは顔を上げ、


 「はい!」


 と、大きな声で応える。

 …キラリとルキアが付けている、ひし形の真っ赤な石が埋め込まれたネックレスが一瞬だけ光った。



誤字や感想、その他もろもろなにかありましたら気軽にどぞ!

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