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第6話

やったねお気に入りが10を突破していたよ!

…よし、次は20突破を目指すぞ!

よろしくお願いします!

 「一人部屋を二人分頼みたいのだが。」

 「お二人分ですね?お一人様、一泊500Gゲルトですのでお二人様、一泊1000Gになります。」


 ここはチェロヴェーク王国内にある、宿屋の一つ「ぷくぷく満腹亭」。

 海に面した王国であるため、魚介類をメインとした料理を美味しく、安く!をモットーに提供する宿屋だ。

 何かの動物の皮で作ったのであろうと思われる、茶色のローブを羽織りフードを被った男はカウンターにいる、緑色の髪を生やした、大体15、6歳位の女の子に銅のコインを一枚渡す。


 「お部屋は、二階の05号室と06号室をお使いください。」


 カウンターの内側から二本の鍵を取り出す。


 「ありがとう。…ほら、君の分だ。」

 「あ、ありがとうございます。」


 男の隣にいた咲闇は、男から鍵を受け取り、男と共に二階に上がっていった。







 「そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はライド・ウェーバー、よろしくな。」


 先程までローブを羽織っていた金髪に紫色の瞳、身長は咲闇より20cmも高い180cmのおっさん、ライド・ウェーバーが咲闇のいる06号室の椅子に腰掛け、自己紹介。


 「おれ…僕は心道 咲闇と言います。改めまして、先程は助けていただきありがとうございます。」


 部屋の中に一つだけある窓側にあるベッドに座っている咲闇はぺこりと頭を下げる。


 「あぁ、別に大丈夫だ。それよりもシンドー・サクラか…シンドーって変わった名前だな。」

 「あ、すいません、咲闇が名前なので、サクラ・シンドーになるかと思います。」

 「名前が後にくるのか…まるでアイツみたいだな…。」

 「?どうかしましたか?」


 ぼそりと呟いたライドに咲闇が訊ねると「いや、なんでもない。」と返ってきた。


 「そうそう、怪我とかはないか?…ランクAのワームを三匹相手にしていたんだからな。」

 「いえ、怪我はありません…それより、あの変な怪物ワームって言うんですか。」

 「なんだ、知らなかったのか?」


 その問いに「えぇ、まぁ…。」と答える咲闇。


 「それにしても、ライドさんはお強いんですね。あの再生能力が馬鹿みたいに高いワームを一瞬で灰にしてしまうなんて。」

 「…なんだ、知らないのか?ワームは物理的に斬られたり、潰されたりしても再生してしまうんだが、魔気を媒介に作り出された魔術、通称“魔法”での攻撃では再生されないんだ。…まぁ、例外はいるがな。」


 (物理的攻撃では再生してしまうが、魔法では再生しない…どうゆう原理なんだ?)


 咲闇の中でそんな疑問が浮かぶが…ここは異世界。剣と魔法が交差する世界だから、と自分を納得させる。


 「魔気ですか…。」

 「どうした?」

 「…その魔気がないと、ワームを倒すのってキツいですかね?」


 物理攻撃のみでワームを相手にする事がキツいと言うことは既にわかってはいるが、もしかしたら何かいい方法があるかもしれない!と思った咲闇はライドに聞いてみる。


 「あぁ〜、キツいな。」


 返ってきた答えは欲しかったモノではなかった。…まぁ、予想は出来ていたのでそこまで落胆はしなかった。


 「あ、そう言えば、お前って身分証明書みたいのは持ってないんだよな?」

 「え?…あ、はい持ってませんが。」


 本当は学生証を所持しているが、まず文字が違うため使えないと判断。

 持ってないと言った方がいいだろと思った咲闇。


 「ふむ、なら今日は遅いから明日、スクエアに登録しに行くか。」

 「スクエア?」


 ライドの発言の中に気になった単語が耳に入る。


 「…まさか、スクエアを知らない訳じゃ…?」


 ライドが咲闇に訊ねる。


 「…そのまさかです。」


 面目ないと言う咲闇を見て、昔の友に似たような奴を知っているライドは咲闇に聞いてみる。


 「お前、別の世界の人間か?…そうだな、例えば…地球、ってところの人間とか。」

 「え?」


 一瞬、固まってしまったがすぐに顔を横にぶんぶんとふり、否定する。


 「安心しろ、お前に似たような奴を知っている。」


 案外、あっさりとバレたな〜と思う咲闇は苦笑い。


 「全く似てはいないが、その無知っぷりがあまりにも似ていたのでな。」

 「そうなんですか、いや〜まさかバレるとは。」


 あははと頭をかく咲闇。


 「しょうがない、今のままでは何かと不自由だろう。…痛いが、我慢してくれ。」


 そう言うとライドは腰をあげ、桜の近くに歩み寄ると咲闇のおでこに人差し指と中指の先端で触れ「【転写】」と呟いた───瞬間。


 「!?」


 目を皿のように見開いたかと思ったらぎゅっと目を閉じ、Yシャツの袖を握り締める咲闇。


 「…終わったぞ。」


 スッと指先を離すとそう言ってきた。

 「はぁ…はぁ…」と息を切らしてゆっくりと目を開ける咲闇。すると、つーっと咲闇の黒色の瞳に溜め込まれた涙が頬を伝っていく。


 「…驚いたな、まさかあの量の情報を転写されたのに悲鳴どころか声一つあげないとは…。」

 「グスッ…すっごく痛いです。」

 「わ、悪かったからそんな目で見ないでくれ。」


 うるうるの瞳で上目遣いされたライドは、うっ…と、ひるむ。


 「…ところで、一体なにをしたんですか?その、転写って…。」


 何なんですか?と訊ねようとしたとき、ふと、頭の中で“転写”の単語が浮かび上がる。


 【転写】

 相手に自分が記憶している情報を脳内に刻みつける魔法の一つ。

 その刻みつけられる際、受けた者は激しい頭痛に襲われる。

 しかし、転写によって記憶された情報はまず忘れることはない。


 「…あれ?」

 「わかったか?それが転写だ。」


 むむ?と首をひねる咲闇にライドは続ける。


 「俺は転写でお前の中にこの世界に必要な最低限の知識を刻んだ…どうゆうことかわかるな?」

 「…要するに、僕はライドさんに傷物にされたって事ですか?」

 「違う!なんだその言い方は、人聞きの悪い。最低限の知識と言ったろ?この世界に通じる字の読み書きに通貨、それに世界の国々と種族、魔獣や植物に関する知識などなどだ。ちゃんと転写されてるはずだから確かめてみろ。」


 そう言われて咲闇は色々と思い浮かべる。…本当だ、無いはずの知識が入ってる…なんか、不思議な感じ…と咲闇は思う。


 「どうだ?」

 「あ、はい大丈夫です。」

 「そうか。…じゃあ、そろそろ飯でも食いに行くか、腹減ったしな。…お前も腹減ったろ?」


 言われてみればそうだ。今日、咲闇は朝食しか口にしていない。


 「いや、僕は…大丈夫です。」


 お金が無いのだ。こればかりはしょうがない。

 宿代を払って貰ったのだ。これ以上、お金を払わせる訳にはいかない。


 「金なら大丈夫だぞ。この宿は朝夜の分の飯は出るからな。」

 「あ、そうなんですか…ではいただきます。」


 それなら話は別だと思った咲闇はライドと共に部屋を出た。
















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