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第3話

すみません。サブタイトルが思いつきませんでした。


やったね!PVが1000を突破したよ!ありがとう、ありがとう!みなさん!

 ───なんだろ、この感じ───


 ───とても、心が落ち着く───


 ───それに、優しくて暖かい───


 ───例えるなら…そぅ、まるでお母さんにおぶられてる感じに似ている───


 ───あれ?どこ行くのお母さん──


 ───待って、待ってよ───



 「お母さーん!」

 「……え?」


 ガシッと不意に手を掴まれる咲闇。


 日の高さからして、おそらく正午。

 そろそろ昼食を取りたいと思った咲闇は、先程からおぶっている金髪の少女を少し街道から外れた森の中の木の根元に下ろし、何か食べられる物を探しに行こうとした時だ。


 お互いに顔を見合わせて、たっぷりと十数秒間。


 「お母さんじゃ、ない…。」


 するりと咲闇の手を離し、しょぼんと顔を伏せる少女。

 いきなり手を掴まれて驚いたが、その顔を見てしまった咲闇はポリポリと頬をかくと、少女の隣に座り、頭をそっと撫でる。


 「まぁ、あんな事があった後だから元気出せよとはいわないが、いつまでもしょぼくれてんなよ。」

 「!…。」


 咲闇の言葉を聞いた瞬間、「ごめんな、さい…」と呟き、その小さな体を小刻みに震わせ、泣いてしまった。


 (やっちまったぁぁぁぁっ!)


 どうするどうするどうするっ!?と、咲闇はあたふたしながら泣き止ませる方法を考える。

 そして、ピタリとその動きを止め、いきなり少女を抱き寄せる。


 「え──。」

 「口、閉じてろよ?」


 咲闇は抱き寄せた少女にそう言うと、抱えたまま木の上に跳躍する。


 「どこ行きやがった!」


 ぞろぞろと、先程まで咲闇達がいた場所に盗賊らしき者達がわいてきた。

 その中に一人、頭一つ分以上、周りから飛び出ている奴を発見する。


 「なんだ、あいつか…。」


 ポツリと呟く。

 見た感じ、軽く50人はいるだろう。


 「あ、あの…。」


 不意に少女が潤んだ目で咲闇を見上げる。

 流石にお姫様抱っこは恥ずかしいのだろうか、頬を赤らめる少女。


 「この近くにどこか街とか村っぽいのってある?」


 そんなのお構いなしに咲闇は少女に問い掛ける。


 「え、え〜と、この森にある街道にそって抜ければすぐにチェロヴェーク王国が…。」

 「あ!お頭!あんな所に!」

 「やべっ。」


 咲闇は瞬時にその場から跳躍し、街道に出る。


 「待ちやがれ!」


 待てって言われて待つバカがどこにいる。と、心の中で思い、走り出す。


 カッカッカッ


 「っとっと。」


 咲闇達を遮るように前方に複数の矢が突き刺さる。


 「もう逃がさねぇぜ。」


 咲闇の前から消えて2時間もたってないと言うのに、咲闇の背後にその姿を現す2mぐらいの大男。

 そして、足を止めた咲闇を囲うように盗賊達が円陣をつくる。


 「…ったく、めんどくさいな。」


 咲闇はそう呟くと、少女を下ろし今まで握っていた、刃を布で巻かれたロングソードを構える。


 「あぁ!その剣は!さっき、俺が落としていったやつ!」


 大男、お頭さんが指を指して声を上げる。

 その通り。このロングソードはあのお頭が落としていった物だ。


 かなり、良さそうな剣であったので拾っておいたのだ。


 「目、瞑って。いいって言うまで絶対に開けちゃダメだよ。」


 こくりと頷き、目を閉じる少女。素直でよろしい。


 閉じたのを確認すると咲闇は一歩、前にでてロングソードを横に一閃。


 ビュン!


 と、一閃されると同時に、三日月型の衝撃波が風を切って前方に遮っている盗賊達目掛けて撃ち出される。


 闘気。


 今、撃ち出されたモノだ。


 闘気とは、生きとし生きるモノ全てに備わっている、生命力を変換させたものである。

 柔らかくする、堅くする、纏わすなど多種多様の使い方がある。………が、闘気を扱うにはそれ相応の、言うならば“血反吐を吐く程の訓練”が必要である。


 都合の良いことに、咲闇はその闘気を完璧に…とは言えないが、それに近いぐらいには扱えるのだ。

 ちなみに、2時間前に返り血を防いだのもこの闘気を身体を覆い、まるで鎧のように纏わせたからだ。


 ヒュン


 一瞬の出来事だ。闘気が妨げとなっている盗賊達を斬り抜けるのに1秒も必要ない。


 何が起こったのかわからない盗賊達は、自分自身に何も影響がないと思ってしまった。

 そして、自分の身体の異変に気付くのは、少女を抱き直した咲闇が盗賊達を飛び越えた時だ。


 「待てっつってんだろ!」


 闘気を受けた盗賊の一人が咲闇につられて体の向きを変える……が、自分の足が動かなかった。なのに、自分の体は咲闇の方に向いている。

 はて?と思った盗賊は無意識に目線を下半身に落とす。

 盗賊はギョッとし、そのまま意識を失う。

 

 流石にこればかりは、ギョッとしてもしょうがないと思う。何故なら…「下を見てみたら、何故か自分のお尻が目の前にあった(・・・・・・・・・・・・・)」のだから。


 その後、その盗賊の上半身はまるでロケットのように下半身から打ち出され、ゴトっと地面に落ちる。…まぁ、下半身から上に向かって噴き出す力と、上半身の下に向かって噴き出す力がぶつかったのだ、しょうがないだろう。


 そして、それを合図に「ぎゃぁあぁあぁぁ!!」と叫びながらどんどん打ちあがっては落ちる盗賊達。…結構、シュールな光景。


 もちろん、その間は少女を下ろし、空いた両手で少女の耳を塞ぎました。

 これで退いてくれたらいいな〜と思っていた咲闇だが…


 「て、テメェら!何をボケッとしていやがる!さっさと殺っちまうぞ!」


 後方からそんな声が聞こえた。

 咲闇は一つ、溜め息を吐くと、少女の耳元に口を近付け、


 「このまま、そのチェロなんちゃらって国に向かって走るんだ。振り向かずに。ドレスだし、走りづらいとは思うけど、本気で。」

 「え?」

 「いいよ、走って!」


 そう、咲闇が言うと少女の背中を優しく押し出してやる。少女は目を開けると、咲闇の言う通り走り出す。


 「…嫌な予感がする。」


 「オラァアァア!」と、雄叫びを上げながら咲闇に近付く、盗賊達。


 咲闇は、振り向きながら、ロングソードを横に振るった。



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