プロローグ ~ 前回までのあらすじ
この小説には、「前回までのあらすじ」が書かれていますが、「前回」はありませんので、ご了承ください。
今まで、そんな話を読んできたつもりで、読み進めてもらえると嬉しいです。
『むかしむかし、一つの平和な世界がありました。
その世界に暮らす人々は、「魔法」と呼ばれる不思議な力を使うことができました。
そしてその魔法の恩恵により、世界は大いに潤っていったのです。
人々は魔法の力から、さらに大きな力と恵みを手にしようと研究を重ねていきました。しかし、それこそが平和を侵す【影】を生み出してしまったのでした。
研究を続けていた一人の魔法の才ある若者が、ある時強力な力を持つ【闇】の力を知ってしまいました。【闇】は若者に「力」と「知識」を与えました。そして【闇】は若者に囁きます。
『ヤァ…、人の子ヨ。
―失われし《ワガ》力と知識。大いなる【闇】を、望んでいるのだろウ?』
闇の魔力は抗いがたき魅力でした。大いなる力を求めた若者は闇に飲み込まれ、そして【黒の王】と呼ばれる魔王へと変わってしまったのです。
魔王は太陽の輝きを遮る黒き霧を放ち、世界を闇に染めてしまいました。黒き霧は魔物を生み出し、人々を絶望の淵に追い込んでしまうのです。
そんな時、光の中から現れた一振りの光の剣を持った青年と、魔を退ける力を持った少女が現れました。彼らは街々を覆う黒き霧を討ち払い、人々に希望を与えていきました。そしてついに【黒き魔王】を倒し、かくして世界は平和の光を取り戻したのでした。
…それから年月は流れ。世界を再び黒き霧が閉ざした時、伝説の勇者の血を引く若者の新たな冒険の旅が始まるのでした…。』
* 前回までのあらすじ *
平和の続いた世界に黒い影が降りた。
《黒き王》と呼ばれる魔王が、村々を隔て魔物を生み出す黒い霧を生み出したのだった。
伝説の勇者の血を引く青年・マルスは、魔を封じる力を持つ少女・パステルや仲間たちと共に世界を救う旅を続けていた。そしてついに霧を払う〔光の剣〕を手に入れたマルスたちは、魔王の部下だったアリスの案内で『黒の霧海』を抜け、ついに魔王との最終決戦に臨むのだった…。
・登場人物
マルス・アレグヴァル
伝説の勇者の血を引く青年。
ユイリア・アグリッパ
マルスの幼馴染で魔法道具屋の娘。
パステル・コンチェルト
魔王を封じる力を持つ聖女。
アリス・マロリー
元魔王の配下。魔王を裏切りマルスたちに協力する。
ボブ
アリスの持つぬいぐるみ。