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亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【15万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第二部 高難易度ダンジョン編

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79話 マリーと肩を寄せ合って

 脅威の去った十二層の現状を伝えるべく攻略本部へと戻り、レインに説明する。

 今までそんな事例は過去になかったようで、すぐに裏へ向かい、情報を伝えに小走りで去っていった。


 すぐに十二層の攻略に向かった冒険者のリストを持ってきて、レルゲンたちに見せる。

 中には、レルゲンたちに助けを求めてきた男性のパーティもあるようだが、まだ帰還できていないらしい。帰ってくる道にはいなかったが、恐らくは……


「生存者は他に見ませんでしたか?」


「いや、ここまで一直線で戻って来たからわからないが、この男性以外の生存者はすれ違っていない」


「そうですか……わかりました。ダンジョン攻略のため、仕方ないと言えばそれまでですが、ボスを解放できると"知っていた人物"にはお灸が必要ですね」


 レルゲンも頷く。

 ただの高難度ダンジョン攻略だけでなく、裏でボスを解放したダンジョンに詳しい人物を探し出し、できれば捕縛したい……

 だが、レルゲンの絶対条件――二人を絶対に護ることは、何にも変えられない使命だ。


 もっと慎重に立ち回る必要があると、気を引き締め直した。


「とりあえずとはなりますが、十二層のボス討伐――おめでとうございます。今回の層は計測したところ、十四層相当まで連続してあるようなので、一度戻って態勢を万全にしてから再度挑まれるのがよろしいかと思います」


「そうだな。一度装備を準備しなおして、明日からまた十三層の攻略に当てたいと思うが、みんなもそれでいいか?」


 三人がそれぞれ頷く。本日の探索はここで切り上げ、休息を取るべく旅館へ戻る。


 すると旅館の女将がレルゲンたちへ向かって、労いの言葉をかけてくれた。


「ダンジョン攻略お疲れ様でございました。レルゲン様、皆様。お噂は聞いております。さぁ、本日も沢山のおもてなしをさせて頂きますので、どうぞ中へ」


 ダンジョンから離れている旅館にまで噂が広がって来たのだろうか。

 今回の立役者としてまた噂が広がっていくのはあまり歓迎出来なかったが、今のところまだ問題はなさそうだった。


 最悪の場合は、ダンジョンまでセレスティアの隠蔽魔術をかけて、空を飛んで攻略本部に行く可能性も出てくる。

 面倒な未来が一瞬レルゲンの頭をよぎったが、そんな考えも、風呂に浸かって洗い流す。


 いつもならここでセレスティアとマリーが突撃してくるのだが、今回はマリーだけ姿を見せた。


「身体、洗うから」


「ああ」


 あまり見ないように頭をマリーとは反対に向き、石でできた大浴場に寄りかかって座る。


 水が流れる音が聞こえて思わず想像してしまうが、今はダンジョンのボスについて落ち着いて考える必要がある。身体を洗いながらマリーがレルゲンに話しかける。


「十二層のボスだけど、やっぱり意図的に解放した奴がいるのよね?」


「恐らくはそうだな」


「解決するまではここにいるつもりなの?」


「女王から期限の言いつけがあるけど、俺は解決してから帰りたいと思ってる」


「そう、ならいいわ。私もこのまま帰るのは嫌だし」


 身体を洗い終わったマリーが湯船に入り、レルゲンの真横にゆっくりと腰を落ち着けた。


 レルゲンは静かにその場に留まっていると、マリーが頭をレルゲンの肩に乗せてポツリと溢す。


「私、やっぱりあなたと一緒になれてよかったわ」


「……ああ、俺もだよ」


 レルゲンはマリーの肩を抱き寄せ、二人は静かに身を寄せ合った。

 大浴場に珍しく来なかったセレスティアは、長湯をしている二人を想像して、自室の縁側で夜風に当たりながら、瞳を閉じて休んでいた。

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