第3章:空からの捕食者(1)
その日の午後――。
物体が落下した田んぼには、まだ多くの人々が集まっていた。
現場の周囲には規制線が張られ、数人の警察が警戒にあたっている。だが、好奇心に勝てない村人たちは、そのすぐ外側に群がっていた。
「よく見ろよ…これ絶対に金属だぞ」
中年の男が声を上げる。
肉屋の女主人は腕を組んで叫んだ。
「ほら見ろって言ったでしょ!絶対に宇宙船だって!」
後ろでは若者たちがスマートフォンを掲げてライブ配信をしている。
「みんな見てくれ!現場から生中継!これ本物のUFOだぞ!」
ざわめきは止まらない。
だが、その中心で――
**ヴァン・ティエン(Vân Thiên)**はただ静かに立っていた。
視線は焼け焦げた宇宙船に釘付けになっている。
彼の頭の中には、朝から消えない映像が浮かんでいた。
星々の空間。無数の戦艦。爆発する惑星。
そして、遠くから呼ぶ声。
しかし、その声ははっきりと聞こえない。
「……俺は、どうしたんだ?」
ヴァン・ティエンは小さく首を振った。
「ヴァン・ティエン!」
背後から声がした。
振り向くと、父親が立っていた。
「お前、ずっとここにいたのか?」
「はい……」
父は宇宙船の残骸を見て、深くため息をついた。
「もう帰るぞ。あとは政府に任せればいい」
ヴァン・ティエンはうなずいた。
しかしその場を離れる前に、もう一度だけ振り返る。
その瞬間――
胸の奥に奇妙な感覚が走った。
まるで、それが彼を待っているかのように。
ありがとうございました。
また次回。




