第1話『揺れる決意』〜The Bouncy Resolve〜
世界には、おっぱいがあった。
大きなおっぱい、小さなおっぱい、丸いおっぱい、尖ったおっぱい。多様なおっぱいは人々を笑顔にし、文化を育み、時に宗教の対象にすらなった。
だが今、そのおっぱいが次々と奪われていた。
勇者パイタロウは、荒れ果てた村を歩いていた。
人々は胸を押さえて泣き崩れている。全員が同じ、無機質な平らな胸。かつて谷間を誇っていた踊り子も、母なる農婦も、みな板胸にされていた。
「……皇帝フラッティアの“無限フラットビーム”。おっぱいを奪われた世界に、平和なんて訪れない」
パイタロウの手は剣の柄を強く握りしめていた。
「パイタロウちゃ~ん!」
その時、軽快で甘えた声が響いた。
駆け寄ってきたのは僧侶ミルク。ツインテールを揺らし、胸元を大きく開けた僧侶服からは、彼女の巨乳が元気よく揺れ弾んでいる。
「やっぱパイタロウちゃんカッコいい~♡ 真剣な顔してるとドキドキしちゃうんだから~!」
ミルクはニコニコ笑いながら腕に抱きつく。その巨乳が彼の腕に押しつけられ、パイタロウは思わずたじろぐ。
「み、ミルク……状況を考えろ」
「だってぇ、パイタロウちゃんのためなら、アタシなんでもしちゃうし♡ おっぱいだって、この通りフルパワーで守るからっ!」
彼女は胸を張り、巨乳をこれでもかと強調した。
そんな時、空を裂く金属音が響いた。
黒い翼を持つ機械兵が舞い降り、胸の「=」の紋章を光らせる。
「フラットの名のもとに! すべてのおっぱいを均一にせよ!」
光線銃が一斉に火を噴いた。
「きゃっ!? パイタロウちゃん、守って~♡」
「任せろ!」
パイタロウが剣で光を切り払い、ミルクは聖なる杖を掲げる。
「おっぱいは命! 《ヒーリング・パイパイ・シャイン》!」
ミルクが放った柔らかな光が広がり、二人を包み込む。しかし敵の数は多すぎた。
「ちょっとぉ! アタシたちのおっぱい、本当にヤバいかもっ♡」
ミルクの声は甘え混じりだが、切迫している。二人は背中合わせに必死で応戦するが、光線の雨に追い詰められていく。
「くっ……押し切られる!」
「パイタロウちゃん……離れちゃダメだよ♡ ずっと一緒にいようね!」
その言葉にパイタロウは力強くうなずく。だが光線は止まらない。
――その時。
「……大いなる炎よ。我が言葉を聞き届けよ」
低く荘厳な声が響いた。次の瞬間、紅蓮の魔力が大地を震わせる。
「燃えさかる劫火よ、天を覆い、地を焦がせ。
偽りの均一を焼き払い、豊穣なる谷間を守り抜け!
汝の名は――《フレイム・ティティ・ウォール》!!!」
詠唱と共に、炎の壁が天高く立ち上がった。
機械兵の光線はすべて燃え尽き、逆に炎に包まれて爆散する。
「ま、マローネ!」
「お待たせしました!」
長いローブを翻して現れたのは魔法使いマローネ。知的な瞳が光り、胸元をさりげなく強調したデザインが炎に照らされる。
「マローネちゃーん! 遅いよぉ! アタシとパイタロウちゃん、もうちょっとでおっぱいペッタンコにされるとこだったんだから!」
「間に合ったのだからいいでしょう。……でも本当に、あなたたちは騒がしいわね」
マローネは小さく笑った。
敵は退き、森に静けさが戻る。
「助かった、マローネ」
「当然です。私もおっぱいを守りたい仲間ですから」
「わーい♡ やっぱ三人そろえば最強だね!」
ミルクはパイタロウの腕にさらに寄り添い、デレデレと胸を押しつける。
「……重い」
「えへへ♡ 嬉しいくせに~!」
パイタロウはため息をつきつつも、剣を掲げる。
「よし。俺たちは旅に出る。皇帝フラッティアを打ち倒し、この世界におっぱいを取り戻すために!」
「うんっ♡ アタシ、どこまでもついてくよ! だって……パイタロウちゃんのおっぱい勇者なんだから!」
「まったく……。でも、その調子でいてくれると心強いわ」
こうして、勇者パイタロウ一行の新たな冒険が幕を開けた。
それは、笑いと涙、そしておっぱいに満ちた伝説の旅の始まりだった




