ガラスのカケラ
今日は月曜!
月曜真っ黒シリーズです。
オトコが投げ付けたご飯茶碗は私の頬を掠め、棚の上に1枚だけ置いてある二人の写真へぶつかった。
盛大に割れる音がして、額が落ちる音と茶碗が転がる音が追い掛けた。
「クソがっ!!」
捨て台詞を残し男は自室へ籠る。
そこは掃除をする事もできない立ち入り禁止の場所。
オトコがそこで何をやっているかは分からない。
私は……『大人しくゲームでもやっていて欲しい』といつも願うだけだった。
とにかく片付けなきゃ!
掃除をしなきゃ!
椅子から立ち上がってフローリングの床へ跪く。
私のどこがいけなかったのだろう?
あの人、お昼を食べ始めたばかりだったのに
どうするんだろう……
そんな事を考えながら使い古しの新聞紙を広げ、
ガチャリ!ガチャリ!と割れたカケラを積み上げる。
両手を使って
用心しながら摘まみ上げていた筈なのに……
割れた額の写真の中の……
珍しく優しい表情のオトコの隣であどけなく笑う“私”と目が合って
私の手がブレ、左の薬指の先がチクリ!とする。
「痛!!」
指先を斜めに走る赤い線から
血の雫が溢れ出し
堰き止める指輪も無いのだから
そのまま新聞紙の上へポトリ!と落ちた。
この新聞紙……
なにしろ“100均の包装紙”だったから……
掲載されている記事も時季外れのジューンブライド特集……
この記事を書いたライターも……自分の書いたものが血の涙で染められるとは思っていないだろう。
こんな不毛な事からは勿論目を逸らしたいから、私は額と茶碗のカケラごと、それらをガサガサと包み込んだ。
でも、このままではダメだ!
また三枚、新聞紙を出して水に濡らし、それでフローリングを拭き上げる。
雑巾代わりの新聞紙には小さなガラスのカケラがいくつもくっ付いた。
それらはまるで……痛んだ私の心から吹き出す涙で……ただ後悔によってだけ流させるものであって欲しいと……私は切に願った。
まあ、今週もどうしようもないです……(-_-;)
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