病院で…
俺は目を開けた。そこには白い天井が見えた。手には点滴がしてあった。起きようとしたが、横からの声で止められた。
「起きちゃだめだよ。また血が出るよ。よかった生きてるんだね。」
誰だろう。俺の横にいるには誰だ?いやほかにもいる。2年2組の…いや俺たちのクラスのみんなが来ていた。先生もいた。優衣がこちらを見て泣いてるのがわかる。
「ごめん。私のためにこんな…」
「いいよ。優衣が助かったんなら。」
優衣はまだ泣いていた。それは俺には耐えられなかった。だから、
「優衣耳かして。」
「うん」
そう言いながら優衣は僕のほうに耳を近づけてきた。そして俺は周りの視線を無視し、優衣の頬に軽いキスをした。優衣は顔を真っ赤にしてこっちを見ていた。後ろからは「あいつ何してんだ!?」とか「付き合ってるのかな?」とか「嘘だろ」などの声が聞こえた。今の俺には優衣の声しか聞こえていなかった。
「バカ…でもよかった生きてるんだね。」
「うん生きてるよ。優衣が助かったんならよかったよ。」
「バカ…」
そう言って優衣は寝ている俺に横から抱きついてきた。抱きついたといっても、覆いかぶさってきただけだ。俺の耳元に優衣の顔がある。優衣の吐息が耳にかかった。温かい吐息だった。後ろでは「うわー!!」という叫び声がした。でも俺も優衣も気にしなかった。ただ俺は優衣に抱かれゆっくりと眠りについた。