キス!?
「失礼しますよ~」
と、言いながら僕は扉を開いた。生徒会室の扉を。足を一歩前に踏み入れるとそこには生徒会会長倉井・優衣がいた。僕の顔の前に倉井の顔が見える。鼻と鼻が触れる距離にあった。倉井の口から出る息が僕の顔にかかる。甘くいい香りがする。美人の倉井の目が僕の顔を見つめていた。僕は心臓が今にも弾けそうになるぐらいにドキドキしていた。そりゃ好きになった人がこんなに近くにいればドキドキぐらいする。体が震えていた。顔もほんのり赤くなっていた。倉井が語りかけてきた。
「ねぇ~今どんな心境?嬉しい?」
嬉しい?そんなもんじゃない。ヤバイ。萌える。だがこんな心境言えるわけがない。だから、
「う・うれしいか?って言われれば嬉しいかな。」
「じゃあさ~。こんなことされたら嬉しい?」
倉井は僕の顔の頬に手を当ててきた。しかも両手で両頬を。それはまるでドラマに出るようなキスシーンそのものであった。倉井は顔を左に傾けて口を閉じ唇を僕の唇に向けてゆっくりと押し付けてきた。倉井は目を閉じていた。会長倉井も顔を赤くしていた。だんだん近づいてくる倉井の唇。いきなりだったものだから倉井を遠ざけようと手を伸ばそうとした。だがその抵抗も倉井に止められた。頬にあった手は僕の背中に回っていた。その手は僕の腕ごと抱きしめていた。体と体が触れていた。顔が真っ赤になるのがわかる。会長の倉井も真っ赤だった。そしてとうとう唇と唇が重なり合った。
<キス>
ようやく僕の頭は理解した。これがキスだということを。初めてのキスだった。抱き寄せられ一方的なキスだった。でもそれは正真正銘のキスだった。目を僕は見開いた。倉井は真っ赤な顔をしていた。
静かな朝。誰もいない校舎。二人しかいない生徒会室。僕には聞こえた。倉井の心音が。すごく速くドキドキしているのがわかる。僕に聞こえているなら倉井にも聞こえているのだろう僕の心音が。
顔が熱くなりすぎたのだろう僕の思考を無視して僕は倉井を抱きしめていた。
ゆっくりと時間が過ぎていく気がした。ようやく倉井はキスをやめた。だがまだ抱き寄せあっていた。倉井がはぁはぁと吐息を漏らしていた。僕も吐息を漏らした。この一面だけをみるとただの変態である。
「う・うれ・うれし・・・かった?」
倉井の声は震えていた。
「あ…う・うん…。」
僕は正直に言った。
「ちょ…ちょと…離れて…。」
「お・おう。」
僕は抱き寄せるのをやめ廊下に出た。まだ体は熱い。
「は・初だったんだから…」
「何が?」
「だから。キ………」
「キ…ってなんだよ?」
「キス…」
その言葉に驚いた。こんな僕に大事な初をしてしまったなんて。
僕はどけ座をした。
「ごめん。」
「誤らないでよ…嬉しかったならいいの。」
倉井はまだまっかだった。
これからも書くので指摘(死ねなどなしで)ありましたらよろしく。