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最強で最弱な英雄&優しい魔女の物語♡♡♡  作者: ゆきちゃん
第3章 魔女と英雄は最後に2人で高い壁を飛ぶ
95/108

95 英雄と魔女の故郷は侵略された

第3作目の投稿です。

是非是非、お楽しみください。


 クラリスは魔眼で王都イスタンの状況を探査した。


 そして、驚くべきことを話し始めた。


「この王都イスタンでは魔族のオーラしか感じません。人間のオーラは全くありません。」


 アーサーの表情が曇った。


「私の父上と兄上達は今、どこにいらっしゃるのでしょう。無事でいらっしゃれば良いのですが。」


 クラリスが言った。


「私の父上の領地やアーサー王子様の領地のゴガン州を中心に、ゴード王国全体を探査してみます。」


 彼女は青い瞳の魔眼を強く輝かせ、広い範囲を探査した。


 そして、かなり長い時間、探査を続けていたが、やがて全てを知った。


「私の父上の領地やアーサー王子様の領地ゴガン州を含めて、ゴード王国全てに人間のオーラは感じられます。魔族が占拠しているのは王都イスタンだけです。」


「クラリスさん。ランカスター公爵の城に行き、ゴード王国の現状を教えていただきましょう。」


「王宮が魔族のものになり、アーサー王子様の父上である国王や兄上達の行方がとても心配なのに、私だけ自分の家に帰り、父上に会うのは申し訳ないです。」


 クラリスの顔はつらそうで泣きそうだった。


「問題ありません。父上と兄上達は御無事なはずです。クラリスさんの父上、ランカスター公爵なら、この事態を冷静に分析し御自身の城を固く守っているはずです。」


「‥‥はい。わかりました。それでは、私の父上の城に帰りましょう。丸太小屋の前ならば、すぐに転移できます。それでは今すぐ。」


 クラリスの魔術で、4人は直ぐに転移した。




 ヘルムートランカスターは、自分の城の軍議室で考え事をしていた。


 緻密で明晰な彼は、1か月前に戦った暗黒騎士のことを考えていた。


 始まりは王宮からの早馬だった。


 国王からの伝文は、「すぐに王都イスタンへ。王宮へ、今すぐ出頭せよ。」だった。


 理由が何も添えられていないことが不思議でおかしいと思った。


 しかし忠義心の厚い彼は、急いで数人の家臣とともに出頭した。


 イスタンに着き、王宮の城門に向かうと多くの城兵が警備にあたっていた。


(何かあわてて混乱しているような動き。戦いが始まるのかな。)


 ランカスター公爵が城門に近づくと、城兵達が一斉に彼を見た。


 そして一応に安心したような表情を見せた。


 彼の到着を待ち構えていた騎士団長が言った。


「よかった! 公爵様! 早く早く陛下のおそばにお出でください! 」


 騎士団長は、せかすようにランカスター公爵を謁見の間に引っ張って行った。


 謁見の間の扉を開くまでは、そこには見慣れた光景があると彼は思っていた。


 しかし、全く様子が変わっていた。


 その中は宇宙の中にいるような仮想空間だった。


 そして両側には司令席のような2つの席が設けられていた。


 仮想空間を隔てて向かい合った2つの席。


 片方には疲れ切ったようなヘンリー国王が座っていた。


 そして対局の席には、青白い顔をした騎士が座っていた。


 ランカスター公爵はすぐにわかった。


(クリスタが教えてくれたことがある。これが、クラリスとアーサー王子様が戦っている暗黒騎士の1人だな。今どのくらいの国の災厄を防いだのだろう。ゴード王国も災厄が起きる国の1つなのか。)


 国王がほっとしたような声で言った。


「ランカスター。来てくれたのか。こっちに来てくれ。」


「わかりました。陛下、今すぐ御前に参ります。」


 ランカスター公爵は急いで、国王の席のそばに急いだ。


「あっ! 陛下、この席に縛られているのですね。」


 国王の体には光りの縄が何重にも巻かれており、席から立つことができないようになっていた。


 その時、対局に座っていた青白い顔をした暗黒騎士が話しかけてきた。




「これはこれは、ゴード王国最高の将軍ランカスター公爵様ですね。あなたにお会いすることを私は楽しみにしていたのですよ。」


 ぼそぼそと、単調で、機械的な口調で暗黒騎士は話しかけてきた。


 一瞬、ランカスターはその暗黒騎士と目が合った。


 そして悟った。


「この暗黒騎士の心は深い。そしてとても強い。はるか先を見て、はるか遠くを見ることができる。」


「ランカスター公爵様。言い忘れました。私はイブリース、悪しき心を映す世界では副王イブリースと呼ばれている暗黒騎士、絶対のイブリースです。」


「副王イブリース‥‥ 」


「はい。私は魔王アスモデウス様を直接補助する者。暗黒騎士としてもの力も、魔王様とほとんど同等とされております。」


「副王様。お聞きしたいのですが。私の陛下を相手にして、いったい何をなさっているのでしょうか。戦いのゲームであるのなら、それは陛下がおやりになることではなく、臣下の私がやることです。」


「ほんの少しだけ、国王様と戦いのゲームをしただけです。しかし、国王様も相当な力がお有りになります。敗北の代償がゴード王国全領土だけで済んだのですから。」


 イブリースがそう言っても、ランカスターは顔色を変えなかった。


 そして、イブリースに提案をした。


「副王と呼ばれる方が、戦いの専門家でない我が陛下とゲームをして満足していることはないでしょう。どうですか、今から私とゲームをしませんか。」


「うれしい御提案です。良いでしょう。国王様と後退してください。しかし、ランカスター公爵様が負け続けたら、私はゴード王国だけではなく、この全世界を征服してしまいますよ。」


 ランカスターは顔色を全く変えなかった。


 それを見てイブリースが言った。


「さすがに魔女の国の女王、真実に至る魔女の種馬に選ばれた方だ! 最上級の人間だ! 」


 その言葉を聞くと、ランカスターの心の中には大きな怒りの心が生じた。


 しかし、その変化は彼の顔色には全く現われなかった。


「頭が良い副王様なのに、大切なことがわからないのですね。クリスタは私のことを選んでくれたのですが、私もクリスタのことを選んだのです。そして、人生で一番の幸運が私に訪れた。」


「まあ、愛ですか。そこの部分のことを私は良くわかりません。それでは、国王様に代わって、その席にお座りください。」


 イブリースがそう言うと、国王を席に縛り着けていた光りの縄が消えた。


 国王は少しよろけるように席から立つと、代わってランカスター公爵が座った。

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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