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最強で最弱な英雄&優しい魔女の物語♡♡♡  作者: ゆきちゃん
第3章 魔女と英雄は最後に2人で高い壁を飛ぶ
92/108

92 妹は特別な国を目指した6

第3作目の投稿です。

是非是非、お楽しみください。

20万字で最高のフィナーレを目指します。

「姉様。私は行くわ。」


 ザラは瞬間転移して、その場から消えた。


 クラリス達4人はジョージ公国の中心都市であるマーゴの様子を調査した。


 すると、クラリスが伝心魔術で発した警戒警報のおかげで、熱竜による直接の被害はないようだった。


 しかし、別の深い問題が起きていた。


 あっちこっちで多くの人の輪ができ、問題を話し合っていた。


「井戸が枯()れてしまった。」


「用水に水が流れてこなくなった。」


 というものだった。


 人間達にとって、水を得られなくなるということは大問題だった。


 一方、植物人間の魔族にとっては、それほどの問題ではなかった。


 彼らは地面のとても深い場所をわずかに流れている水脈の場所を簡単にみつけることができた。


 そして、体の大きくて強い者達が根を張り、水脈まで到達し水を吸い上げ始めた。


 互いに信頼関係にあった人間と植物系魔族ではあったが、ここで亀裂が生じた。


 わずかに流れている水脈から得た水は、植物系魔族が使うぎりぎりの量だった。


 植物系魔族は自分達が得た水を人間に分け与えようとはしなかった。


 ジョージ公国の領主の城には、多くの住民達が押し寄せた。


 人間達は口々の植物系魔族の悪口を言い、この国から追放するように訴えた。


 ただ、根本的な解決方法がなかった。




 クラリス達4人は、ウォーター川の様子を見に行った。


 すると、驚くべきことがわかった。


 以前、大変な水量があった川には全く水がなくなり、川底が見えていた。


「クラリスさん。なんでこのようになってしまったのでしょう。」


「たぶん。熱竜が最初に現われた時、ウォーター川にたくさんいた水の精霊を全て殺してしまったからでしょう。水の精霊がいなくては、水の流れが止まってしまいます。」


「どうすれば良いのでしょう。植物系魔族の根が届く深さには、わずかな水脈があり少数の精霊はいるのですね。このままでは、ジョージ公国に人間は住めなくなります。」


「ウォーター川の上流部には必ず湖があり、そこには雨が降り多くの水の精霊がいるはずです。そこまで行き、熱竜はアーサー王子様とメイナードさんが退治したことを知って安心してもらう必要があります。」


「わかりました。これからウォーター川の上流に行きたいのですが。」


「そうですね。今すぐ生きましょう。メイお願いします。」


 ムナジロガラスになったメイの背に、クラリス、アーサー、メイナードが乗った。


 乗ったから、クラリスが言った。


「アーサー王子様。湖が近づいたら、熱竜を見事に退治した物語を大いに宣伝する必要があります。」




 ウォーター川をさかのぼると、だんだん空気の湿度が高くなった。


 そして、川底には少しずつ水が流れ始めていた。


 クラリスが言った。


「さあ、今からお2人の熱竜退治物語を投映しますよ。大々的にやりますね。」


 そして詠唱を始めた。


「英雄とその従者の騎士が熱竜を退治した。(いにしえ)から、人が成し得た偉業で最も偉大なるものである。水の精霊を怖がらせるものはもういない。空よ事実を示せ! 」


 クラリスの魔術により、アーサーとメイナードが熱竜を退治した場面が映しだされた。


 その時、空から精霊達の声がした。


「熱竜を殺した英雄アーサーはほんとうにいるの? 姿を見せて。」


 アーサーはメイの背で立ち上がった。


 そして剣を抜き、空に差し上げた。


 すると、雨がポツポツと降り始めた。


 そして、雨はだんだん激しくなり、最後は豪雨になった。


「クラリスさん。水の精霊達が喜んでいるのですね。それにしても、すごい雨です。」


 ウォーター川は豊かな流れを取り戻し始めた。




 ジョージ公国の領主の城の謁見の間では、領主の席にザラが険しい顔で座っていた。


(熱竜は退治されたのだけど、水の精霊がいなくなったのね。この国では水を得ることが難しくなり、このような状態では人間と魔族が仲良く共存できる国は存在できないわ‥‥‥‥ )


 城の外では、植物系魔族の追放を訴える多くの住民達の歓声が聞こえていた。


 ジョージ大公と家臣達はおろおろするばかりだった。


「大公様。どうしましょうか。5万人くらいの大群衆が集まっていますが。」


「門を固く閉じるのだ。そのうちにいなくなるだろう。」


 ジョージ大公にしっかりした考えがあるわけではなかった。


 しかし、大群衆の歓声はそのうち消えて、その代わりに豪雨が降り始めた。


 ザラが言った。


「大公様。雨が降ってきましたね。よかった。」


 そして、次の瞬間、その理由が全て分った。


 ザラが座っている席の目の前に、クラリス達4人が転移して姿を現わした。


「ザラ。もう大丈夫よ。このジョージ公国に精霊達が安心して帰って来たから。」


「姉様。ありがとうございました。きっと、姉様が精霊達を安心させてくれたのですね。」


「アーサー王子様とメイナードさんがカッコ良く戦う姿を見せただけでしたけど―― 」


「私、わかったわ。姉様が熱線のダメージを英雄様とシェアーして死ななかったから、この国の精霊達を安心させに行くことができたのね。災厄は年様の勇気が防いだ。」


「ザラ。人間と魔族が共存して助け合い幸せに生きて行く特別な国を選択したあなたの判断はすばらしい。私にはとても考えつかないわ。」


「姉様にほめられた。私はほめられた―― 」


 ザラがそう言い終えると、ザラが着ていた暗黒騎士の黒い甲冑に四葉のクローバーが生え始めた。


 そして、四葉のクローバーはたくさんの白い花を咲かせた。


 すぐに四葉のクローバーが姿を消すと、ザラは白い純白の甲冑を着ていた。


 ザラは座っていた椅子から降りると、クラリスの前にひざまずいた。


「ザラ。何をしているの? 」


「美しき心を映す世界の守護者クラリス様。私はあなたの家臣、純白騎士ザラでございます。」


「純白騎士? 美しき心を映す世界側にはそのような騎士はいないはずだけど。」


「いいでしょう―― 姉様に対する私の気持ちを表現したかっただけです。」


「それでは―― 純白騎士にして私のかわいい妹ザラよ。これからもよろしくお願いします。」




 魔女の国の王宮、女王の席に真実に至る魔女クリスタが座り、その光景を見ていた。


 クラリスとザラの姉妹とそっくりな母親は、美しき青い瞳から流れ出る涙を手でふいていた。


「ようやく‥‥‥‥ 」


 それだけで、もう声にならなかった。

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

クリスタやアーサーだけではなく、多くの登場人物を魅力的に描くためにがんばります。

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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