帝都の夜
※※12月14日夜 東京※※
この日、東城と国竹は驚き疲れていた。
朝は変人を応対し、昼には見たこともない高速で移動する乗り物に乗せられあっという間に東京に来てしまった。東京で見たものはどれも知らないものでいちいち驚愕するのすら嫌になるほどだった。
そして今は夜、目の前にな輝かしいばかりの夜景(これでも緊急時のために節電されていて普段よりは暗いらしいが)。
東京タワーといったか、紅い塔が空に聳え、ここからは見えないらしいが、なんとあれより高く634メートルもあるスカイツリーなどという塔も少し東にあるらしい。
なんとも信じがたい光景だ。
「...夜景といふのは美しいものだな」思わず口から零れる。
「技術がないのもそうだが、今は戦争中だから物資の面でも、敵襲の面でも、ここまでのものは我々は見ることができない...」
横にいる葉山が言う。
「ですから今は玲和元年。70年以上も未来なのです。平和な世の中なのです。
東城首相におかれましては、国内の混乱を避けるため、西日本側の日本軍の武装解除と西日本住民に対しての事実共有を手伝っていただけないでしょうか...」
沈黙。
少しして東城が答える。
「それは少し違ふのではないか?」
「というのはどういう意味でしょうか」葉山が尋ねる。
「...私は昨日も南方戦線から電信を受けてゐる。大阪で電信を受けてゐる。それはラバウルからブナへの物資輸送作戦の電信だった」
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※※数時間前 東京都 市ヶ谷 防衛省※※
『こちら哨戒機P-1。応答せよ。応答せよ』
「こちら市ヶ谷。何かあったか」
『現在ウラジオストク上空。ロシア太平洋艦隊海軍のものと見られる艦船あり。
ただ...帆と煙突のようなものが見える。
それに軍艦旗には...共産主義の鎌と槌が描かれているように見える。これはどういうことだ?』
自衛隊哨戒機の前にあるのは、ロシア海軍の艦船ではなかった。
それはソビエト連邦海軍のそれだった。
もっともその信じがたさによってこの報告が葉山にされるのは同日の夜遅くになる。
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「...南方戦線からの電信を受けたのだ」
東城は続ける。
「今現在も南方戦線は続いてゐる。
だから今は、恐らく照和17年であらう。
我々が君たちの時空へ行つたのではない。
君たちが我々の時空へ来たのだらう」
その静かな声は玲和日本が戦争に巻き込まれたことを告げる声だった。
プロローグが長くてすみません。
これでプロローグは終わりです。
次回からが本編となる予定です。
ここまでの疑問等ありましたら、感想欄等で質問などしてもらえればこの後の展開で可能な限り触れるつもりです。




