表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

怒り爆発 〜火星から来たエリート調査員の独白SHOW〜

作者: 六地蔵

あらためましてこんにちは。火星人でございます。


あ、いえいえ大丈夫。悪い火星人じゃありませんよ。


取って食ったりいたしませんので、ご安心。 なんて。くふ。


ええ?どっからどう見てもただの人間じゃないかって?


それはもちろん擬態してますから!


私、こうみえて火星ではエリートでして地球へは調査の仕事で来てるんでね。暇って訳じゃあない。左遷じゃないかって?とんでもない。エリートのお仕事です。くふふ。


火星から地球の生物調査の任について早、半年。


今日は火星の未来を担うエリート調査員たる私がどうしてこんな場末のサーカスで見せ物にされているのかを語らせていただきましょう。


聞くも涙。語るも涙。涙涙の涙坂。で、ございます。あなたがたハンカチの準備は大丈夫?くふ。


さて。火星から地球への調査船が飛ばされたのは今回が初めてではございません。


火星の技術力というのは、すんばらしい。


地球なんぞのそれとは比較にならないレベルでございますからね。地球行きの調査船も頻繁にバンバン飛ばしてるって次第でございます。


地球調査なんてほとんどとっくに終わってて「地球人なりすましマニュアル」まであるのでございますよ。


調査船の乗り心地はもちろん快適そのもの。


運転技術?いりません。目的地へはオートパイロットで向かうものですから。


まあ、ふふん。地球産のロケットなんかだとこうは行きませんよね。


国家予算を湯水のように使って発進式はテレビで放送してのお祭り騒ぎ?


え!?パイロットをヒーローか何かと勘違いしてません?あなたがた大丈夫?


別にうらやましくありませんけどね。


私の出発の時は母と弟が見送りに来てくれましたし。そもそも友達とか居ませんし…いえ、ほんと、ぜんぜん、うらやましくありませんってば。


なにそれ?彼女?火星の文化にはないのでしょうか?翻訳が上手くいきませんね?知らないったら!知らないってば!だまらっしゃい!


もう。ほんと、目立つの嫌いなんで良いんですよ。べつに。


まあ、この後目立っちゃうのでしょうけど。


ニュースになっちゃうでしょうか。いちやく有名人?火星人のスター性ってやつですか?仕方ありませんよね?くふふふふ!!


あら。あなたがた、信じてませんね?


ま、話を戻しましょう。 宇宙船では到着するまでダラーっとしてたわけですよ。


「地球人なりすましマニュアル」ってさっきの話にもでたアレなんかを確認するようにとか言われてましたけど、私レベルのエリートとなりますとそんなもの必要ないですよね。


ぶっちゃけ字が多くてつまらないですし…いえね。もちろん私レベルのエリートとなれば簡単に読めるんですけどね。まあ、気が乗らないと言いますか眠たくなるといいますか。くふ。照れちゃう。


とはいえ、何もしないのも退屈なのは世の摂理です。


地球産のマンガなんぞを読んで勉強してまいりました。


地球では有名らしいギャグマンガですけどね。これも一種の文化調査でございましょう。


なにより、私、ギャグマンガって大好きみたい!くふふ!


さて、お待たせいたしました。


地球到着で。私、さっそく地球人と思わしき生物に遭遇いたしました。


二本足で歩き身に布をまとう。マンガとは形が違うようですが、エリート調査員たる私はちゃんと実写的画像データで確認済みですので問題ありません。


さすがですね。ぬかりない。私。


それに私、人見知りなので1人って点が特にありがたかった!さっそく声をかけて生地球人、観察させていただくとしましょうか!


「こんにちは。散歩ですか?いい天気ですね」


ね!!さ!!どうです?これ、この声のかけかた。


そして行動力。完璧でございましょう?


失礼、もちろん自慢ではないのですが私がエリート調査員たるエリートの由来を察しちゃいますよね。


あ。べつに劣等感を持たなくても大丈夫ですとも。


あなたがたが普通なんでね。


普通のモノサシにおさまらない私?に、憧れちゃいます?痺れます?なんちゃって!くふふ!


さて、この地球人とトークして親交深めちゃう!?なんなら、お持ち帰りしてニャンニャンしちゃう!?順調すぎるスタートに「やれやれ」が止まらないってわけですよ!


くふ!くふふふふ!


…ところが、なんということでしょう。その人間は大声で悲鳴をあげたのです。


「きゃあああ!目がハートの形になってる!!!」


私、ギャグマンガで勉強した好意的な目の表現を実践しただけなのですけどね。初対面ではあまりやらないのかしら?まあ、こういう事態は想定外ですが、私エリートですからして臨機応変はお手のもの。


人間は突然大声をあげられると驚くのですよね。そして、驚いた時の表現はというと…


「ぎゃああああああ!?目が飛び出したー!!!!!」


人間、気を失ったのか倒れてしまいました。


そうして、どこから沸いてきたのか人間達に取り押さえられ、気がつけば「びっくり人間」なんて呼び名でこのサーカスに売られてきたって顛末でございます。はい。


それにしても人間ってのは品がない。

マイノリティを見せ物にするだなんて人権団体は何をやってるんですかね。


ま、私、そもそも人じゃありませんけどね。くふふ。


それでも最初は良かった。「へそで茶を沸かす」「腹が黒い」「尻が青い」このあたりウケました。


エリート調査員とは言えウケると嬉しいものですからね。


でも、もう、限界でございます。日に日に歓声に「つまらない」「へたくそ」「やめちまえ」なんてヤジが混じってきて最近ではヤジの方が大きい始末。


自分たちが出来ないことを人に要求しないでいただきたい!まったくもって!


今、ご覧いただいてるあなたがたのことですよ!もう、人事みたいにニヤニヤしちゃって、ひどいなぁ。


くふ。でも良いんです。今日という今日は怒りましたから。限界を超えた怒りを覚えちゃいましたね。私、いよいよアレをやろうと思います。


「怒り爆発」


怒りが限界を超えると爆発するだなんて、あなたがたも不便な生き物でございますね。


その点については同情をしてさしあげましょう。


えーと。爆発規模はこのサーカス会場を吹き飛ばす程度で良いかしら。


くふっ。くふふふふふ。くっふー。


それでは。ご静聴ありがとうございました。


最後のステージとなりましたが、終盤、ヤジの出なかったこと嬉しく思います。


あら?あなたがた、お顔が青い。どうかされました?寒かったかしら。大丈夫?


あ、だめですよ。今、席を立っては。ずいぶん出口が混雑しているから危ないですって。


だいいち、今から席を立っても間に合いませんしね。大人しく座っていてくれません?くふ。


さあさ!お待ちかね! メインイベントのお時間です!


あげてみましょう、でっかい花火!


私、エリート火星人の「怒り爆発」でございます!


くふ!くふふふふ!!!!!

読んでいただきありがとうございます。


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援いただけると励みになります。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで!


ブックマークもいただけるととってもうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ