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乞食姫と呼ばれた王女  作者: 大介
第1章 孤児院の改革
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閑話 ヒルデ 王女様の環境整備

私が教育長になったのは先代の頃です。


今の奥様の教育も私が手掛けております。

優秀過ぎて何もしていませんが…。


そしてエリエッタ様の教育も任されました。

私はアり―王女様からエリエッタ様の秘密を聞いております。


王女様の秘密を知る人はお城の中でも限られています。

とても重要な秘密であり、それだけ信頼されているという誇りもあります。


現在、教育中のエリエッタ様が少し臥せっています。

何か問題があったのか声をかけます。


「エリエッタ様、ご気分が優れませんか?何かお困り事がありますか?」

「いえ、何となくですが最近になって物凄く見下されている様に感じるのです。一生懸命に頑張っているつもりなのですが、どうしても馬鹿にされている様に感じてしまって、とても辛く息苦しいのです」


何て事でしょう。

誇りある国の仕事でその様な態度をとる者がいるなど…。


許せません!

エリエッタ様も何故その様に感じるか分からないのでしょう。

王女様の言葉の通り、まだ目の力が未発達な為、何となく不快感を感じてしまうのですね。


教育長として私が選んだ教師の中にその様な人物がいたなど。

情けない限りです。


しかし、私には誰か分かりません。

王女様の力を借りるしか無いのです。


「アリー王女様、エリエッタ様の情報が漏れています。お力を貸して下さいませ」

「話して頂きありがとうございます。エリーの環境を整えるのは当然の事です。全力で臨みます」


王女様は近衛騎士に声をかけます。

「エリエッタに関係した事のある方を全て広間に集めて下さい」


孤児院に乗り込んだ衛兵。

お世話をする侍女。

勉強を教える教師。


集まった人達は全てエリエッタ様に接した事があります。

彼女の心に傷を付けるような態度をとるのは教育長として許せません。


王女様は普段と違い笑顔を一切見せません。

徹底的に邪魔者を排除するつもりですね。


「集まった方の中でエリエッタの情報を誰かに漏らした方はいますか?または、何か知っている方はいますか?」


衛兵3人。

侍女2人

教師2人。


やはり教師もいましたか…。

情けなくて仕方がありません。


生徒を見下すなど教師失格です。


「衛兵の方に確認します。エリエッタの情報は国家機密であると理解していないのですか?何故、話すのですか?」


そうです。

国の仕事で得た情報は全て機密扱いです。

他人に漏らして良い事ではありません。


「ああ、あなた達2人と侍女2人が仲が良いのですね。お話で盛り上がりましたか?それでエリエッタの情報を知った侍女は差別をしているのですね」


王女様の力を見ていると怖いです。

何も話していないのに、全てを知られているのでは無いかと思うのです。


「衛兵2人は情報漏洩の罪で牢屋に連れて行って下さい」

「かしこまりました」(近衛騎士)


「侍女2人に聞きます。誰かにエリエッタの事を話しましたか?」

「いいえ。聞いただけで誰にも話していません」

「私も同じです」


私では彼女達の言葉が嘘か本当か分かりません。


「嘘は言っていない様ですね。2人を反省室に連れて行って下さい」

「かしこまりました」(近衛騎士)


「さて、あなたはどれだけの人にエリエッタの情報を話したのですか?」

王女様はかなり怒っていますね。

初めての友達ですからね。

馬鹿にされている現状は許せないでしょう。


「私は何も話していません。ただ孤児であると言っただけです」

この衛兵、それが機密情報だと分かっていないのですね。

かなり問題があります。


「あなた、ご自分が何を言っているのか分かっていない様ですね。今までどれだけの機密情報を流しているのか分かりません。拷問室に連れて行って今までの彼の行動を把握して下さい」

「かしこまりました」(近衛騎士)


「さて、教師2人がこの場に残りましたね。あなた達は話を聞いただけで誰にも話していませんよね?」

「はい。何もしていません」

「誰にも何も話していません」


教師達は分かっていないのでしょう。

王家からの依頼である事を。

話していなくても仕事を適当にし、あまつさえ生徒を見下すなど有り得ません。


「あなた達はヒルデから王家の仕事だと聞かされたはずです。あなた達の仕事の態度は王家を侮辱している事になると分かっていないのですか?」

「いいえ。真面目に仕事をしています」

「私も一生懸命に教えています」


本当に情けないです。

この様な教師を選んでしまったと言う事に。


「真面目に仕事をしながら生徒を見下すのですか?それは真面目に見下しているという事ですか?教師を反省室に連れて行って下さい」

「かしこまりました」(近衛騎士)


「ヒルデ、ありがとうございます。この様な状態ではエリーの心に傷が付いてしまいます。今後も定期的に確認をしますので、よろしくお願いしますね」

「はい。今回はありがとうございます」


あの衛兵はどれだけの人に話していたのでしょう?

貴族にも漏れている可能性が高いですね。


この様な状況でエリエッタ様が学園に通うのがとても心配です。

アリーにとって、エリーの輝きが唯一の癒しです。

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