スラム街のボス
クリスタの話を聞いた後、直ぐにスラム街に向かおうと思いましたが止めました。
孤児院の改築を行うのです。
スラムにも沢山の人がいるでしょう。
環境が整った状態で声をかけるのが一番だと思った為です。
改築は半年で完成しました。
私はエリーの様子を見たり、エリーに手を振ったり、エリーに笑顔を向けたりして過ごしました。
エリーに会っているだけの毎日ですね。
とても幸せです!
今まで同世代の子が周りにいなかったのです。
お城で一緒に生活しているというだけで、とても楽しいのです。
孤児院の環境が安定したら、エリーを連れて見学に行きましょう。
きっと驚くと思いますからね。
その時が楽しみです。
さて、スラム街に行きますか。
「今からスラム街に向かいます。アンナ、アンネは危険ですのでお城に残って下さい」
「「かしこまりました」」
「セバス。行きましょう」
「お任せ下さい」
私達は馬車でスラム街まで向かいました。
馬車が来る事など無いのでしょう。
多くの人に囲まれました。
「私はこの国の王女です。孤児を救いに来ました。ここを纏めている人はいますか?」
「王女がスラム街に来たってか?面白い冗談だ。怪我しないうちに帰りな」
「私が孤児院改革の責任者です。王国の全ての孤児を王都で集める為に孤児院の改築も終えました。あなた達も救う対象者です。素直に私の言葉を聞きなさい」
「本気で言っているのか?面白いな!いいぜ、ボスの元に案内してやるよ」
私とセバスは多くの人に見られながら小屋まで案内されました。
ボスと呼ばれる方はここにいるのですね。
「あなたがスラム街のボスですか?ここの孤児を纏めているのですね。皆を連れて王都の孤児院に来て下さい。勉強も出来ますし食事もあります。既にあなたが纏めているのです。隊長として衛兵や護衛騎士の訓練をしても良いですよ」
「おいおい、いきなり何だ?クルト、誰を連れて来たんだ?」
「孤児院改革の責任者の王女様です」
「マジかよ。今言った事が事実だとして、どうやって証明するんだ?」
「孤児院を見に行けば良いじゃないですか?」
凄い疑われています。
しかし、言葉でしか説得出来ません。
「そこで貴族に捕まるのか?どんな罰ゲームだよ」
「孤児を攫っていた貴族の関係者は全て私が極刑にしました」
「本気で言っているのか?」
「私は孤児院改革を本気でやっています。命まで狙われているのですから」
少し信じてくれましたね。
あと何か切っ掛けがあれば…。
「命を狙われているって事は後ろの執事は護衛か?」
「その通りです。強いですから手を出さない方が良いですよ」
やるき全開ですね。
余程喧嘩に自信がある様です。
「俺が負けたら孤児院に皆を連れて行ってやるよ」
「分かりました。セバス、気絶しない程度に倒して下さい」
「かしこまりました」
セバスの言葉を聞いたと思った時には、ボスが倒れていました。
何が起きたのか全く分かりません。
「セバス、お疲れ様でした。大丈夫ですか?」
「あ、ああ、マジで化け物だな」
「自己紹介を忘れていましたね。私は第1王女アリエッタです。よろしくお願いします」
「俺はアルベルトだ。約束通り皆を連れて行ってやる。隊長でも何でもやってやるよ」
良いですね。
本気みたいです。
スラム街にいても心は濁っていません。
貴族ほど欲深く無いと濁らないのでしょうか?
「楽しみに待っています。それでは失礼しますね」
「ああ。またな」
孤児院に寄りクリスタに声をかけます。
「スラム街の方達がこちらに来てくれる事になりました。代表はアルベルトです」
「凄いですね。よく彼らを孤児院に来る気にする事が出来ましたね」
「セバスの力で納得してもらいました」
「なるほど。時には力で解決する事も必要ですね」
「後はよろしくお願いします」
「かしこまりました」
馬車に乗ってお城に戻ります。
多くの孤児が勉強して好きな人生を送れる様になると良いですね。
アルベルトは喧嘩でボスになりました。
出来る限り孤児が攫われない様に助ける事もしていました。